初めての本場HALLOWEEN

Beginning of my new Life #22

初めての本場HALLOWEEN

Contributed by Asuka Naka

Trip / 2024.05.01

『とにかく旅をするのが好き!』高校生の時に初めて訪れたインドがトラベラーへのきっかけだった。多くの国を旅する好奇心旺盛な彼女だからこそ感じる面白さと発見。出会いと出来事を振り返りながら綴るAsuka Nakaさんの旅日記。

今回からは番外編として高校生の頃に訪れたアメリカでの交換留学の様子をお届け。



この一年間、アメリカ生活の中でイベントは沢山あったものの、一番強烈だったのがこのハロウィンであった。
アメリカではハロウィンの季節になると、様々なお店がハロウィングッズ専門店となり、仮装道具などを売り始める。ハロウィン“ガチ勢”がこの国は多く、その本気度も日本とはまるで比べ物にならないのだ。
私はそのハロウィン専門店に何度か行き、ハロウィンの日に備えた。面白い系で行こうか、可愛い系で行こうか、と迷いホットドッグの仮装をすることも真面目に考えていたが、さすがに少しの恥じらいを感じて無難なナイトメアビフォアクリスマスのサリーになることにした。

ハロウィン数日前にハロウィンパーティーをするからおいでと、ウラから招待状が届いた。持ち物はかぼちゃ丸ごと一つ。アメリカではこの時期になると、どこのスーパーに行っても大きなかぼちゃが売っている。そしてパンプキンファームもあり、かぼちゃを育てた農場での販売も行っていて、ほとんどのアメリカ人はかぼちゃを買う。もちろん料理に使うこともあるだろうが、多くの人はパンプキンカービングをしてかぼちゃでハロウィンのデコレーションを作るために購入をするのだ。このウラのハロウィンパーティーではパンプキンカービングをみんなでする。パーティー用のカボチャを買うためにホストファミリーとスーパーに行った際には、そこで一番大きなかぼちゃを選んで当日に備えた。

いざハロウィンパーティーの日。
ホストファミリーが私をウラの家まで送ってくれた。緊張しながら家の中へ入ると、ウラの学校の友達が何人かいた。はじめましてと挨拶をし、小話をしながらお菓子を食べる。ウラの学校はとても小さいため、在校生みんなが知り合いらしい。学校での出来事を聞きながらパンプキンカービングを始める。私はハロウィンの日にナイトメアビフォークリスマスのサリーの仮装をするので、サリーの恋人であるジャックの顔を彫った。最初にかぼちゃの中身を取り出して、マジックペンで自分の切りたいところを描き、小さい鋸のようなもので彫っていく。そして最後に中にキャンドルを入れて灯せば完成だ。



中々うまくいったが、もっと想像力を働かせたデザインをしたかったなと少しの悔しさもあった。
みんなが完成すると、ウラのお母さんが、「じゃあパニックポイント行きたい人は誰〜?」と聞いた。もちろん“パニックポイント”が何か全くもってわからない私はとりあえず行くことにした。Never Say No。しかし数人は行かないと言った。私はその時なぜその子たちが行かないというのか分からなかったが、その後身に染みて分かった。



パニックポイントに着いた私を含む参加者4人。そこには木々が生い茂る薄暗い夜の会場で真ん中にはステージがある。そしてステージ上では踊っている人たちもいれば、チェンソーを持って本気で殺されるのかと思うくらいの怖い仮装をして追ってくるスタッフもいた。ここに並ぼう、と言われたのでその場所に並びながら4人でガールズトーク。ポーランド語のFワードや、日本語のFワードを教えて! というアメリカ人2人。私は日本語でのFワードが思いつかなかった(日本語にFワードという類はあるのか、私はいまだにわかっていない)。

そんなこんなをしているうちに、何の列かも分からないまま並んでいる私たちのグループの順番が来た。4人で行くよ! と言って森に進む。私は一気に怖くなって、ウラにしがみついた。そこはリアルお化け屋敷(森の中)というようなものであった。私も家に残ったあの子たちとゆっくりお菓子でも食べながらテレビを見てればよかったと、瞬時にNOを言えない自分を恨んだ。腰は完全に引けながらも少しずつ進む。さっきのチェンソーマンと同じような人たちがところどころにいる。本当に出るのではないのかというような小屋も通りながら、私は周りを見る余裕もないままウラにしがみつきながら進んだ。





何とかそのコースを終えるとウラが大爆笑している。チェンソーマンよりも何よりもアスカの叫び声にビックリしたよー! というウラ。確かにウラにしがみつきながら叫んでいたので相当な迫力。そして迷惑な人だっただろう。しかし私には余裕がない。また次のコース行くよ! とどんどん進む彼女たちの横で私は半泣きであった。しかし慣れとは怖いもので、少しずつ楽しめるようになってきた私もいた。チェンソーマンが追ってくれば誰よりも全力ダッシュをした。

なんせアメリカではハロウィンの仮装に混ざって本当にナイフで人を襲う人もいるという。そんなリアルな恐怖心もありながら、人生初のパニックポイントを全力で楽しんだ。この日の恐怖を私は一生忘れない。今となってはいい思い出だ。そして結果的に楽しかった。そしてこの日を境に私は人生で一度も見ようともしてこなかったホラー映画にハマるほどであった。



アーカイブはこちら
Travelling is my Life 過去の記事はこちら

Tag

Writer