Life is a journey #23
怒りと喜び
Contributed by Daijiro Inaba
Trip / 2024.03.01
#23
つい先日、友人に怒りをぶつけた。
お酒の席で、怒りが爆発した。なぜそんなことで怒ってしまったのだろう。
そんな時、見ていた高校サッカー選手権で感情と向き合う機会をもらった。
センチメンタルな感じで始まるけど、2024年もよろしくお願いします。
葉山の木々と鳥たち
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1.感情ってやつ
2.怒りの威力
3.泣いて喜ぶ姿
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1.感情ってやつ
年末年始に毎年恒例の高校サッカー選手権が開催されていた。
毎年熱中して観戦しているが、今年はなんだか見え方が違った。
熱中したい自分と、一歩引いて俯瞰してみようとする自分がいた。
決勝点を決めて歓喜の輪に包まれて全身で喜びを爆発させている選手たちを見て、「これが喜怒哀楽でいうところの喜びってやつか」と思った。
HappySocksコレクションとTACOS Shopの靴下
試合を観戦しながら「うわ! こいつうまい!」とか「イヤー今のプレー渋いな!」とか言って、会ったこともない選手たちに感情移入しながら熱中していた僕の感情は、きっと楽しんでいる感情なんだろうと思った。
鎌倉に向かう海で
高校サッカー選手権はノックアウト方式なので、負けたら即終了。高校3年生は、負けたら即引退。全国大会に出てくるようなチームは青春のすべてをサッカーに捧げているチームばかりだから、負けた瞬間に感情が爆発するのは当然のことだ。
「涙のロッカールーム」で監督から感謝や労いの声をかけられて涙がとまらなくなっている選手たちの姿を見ていると、僕まで涙が止まらなくなる。これは「哀しみ」なんだろうか。
そういえば、僕自身高校サッカー選手権の東京都決勝で敗戦した時に大泣きしたな。
その直前の大会で相手チームとの接触で鎖骨を骨折した時はもっと大泣きしたな。
あんなに泣いた日はなかったな。
ある日の湘南新宿ライン
2.怒りの威力
怒ってしまったことをきっかけに色んな感情と向き合ってみた。様々な感情と自分自身の経験を重ね合わせて過去を振り返っていると、喜びや楽しみ、時には哀しみを伴った経験が、成長のきっかけになったことが多々あった。そんな感情が入り混じる場に、人の心も揺れ動く。感動して涙することもある。
僕自身の感情に残念な気持ちになっていたけど、喜びや楽しみ、哀しみってものはそんなに悪いもんじゃなさそう。
丸の内の夕暮れ
一方で、怒りについてはどうか。僕が友人に怒りをぶつけてしまった出来事の後、怒った張本人の僕は二次会に参加した。
一緒に行こう! と友人が誘ってくれたのもあるが、当時は周囲のことが見えていなかった。僕の怒りの感情のせいで、周囲の大切な仲間たちの喜んだり楽しんだりする感情を奪ってしまっていることを強く感じた。終始仲間に気を遣わせてしまった。
張本人である自分自身も、大切な仲間との時間を喜びきれなかったし、楽しみきれなかった気がする。なんて愚かなことをしてしまったんだろう。
森戸神社の木々
翌日、怒りをぶつけてしまった被害者である友人に謝罪をした。被害者である友人も、加害者である僕に謝罪をしてくれた。僕が怒ったのに、謝らせてしまった。
それからしばらく、起きるいろいろな出来事に感情が動かなくなった。何をするにも無関心で、喜べなかったし楽しめなかった。怒りって何なんだろう。周囲の友人に気を遣わせて、怒りをぶつけられた被害者にも気を遣わせて、僕自身の無関心も連れてきて、なんか、いいことなんもないじゃん。
何かを思うつきみ
唯一あるとしたら、自分の愚かさを思い知って、こんな振り返りの機会をくれたことくらいかな。
怒りってやつは強力なエネルギーを持っていて、時にいろんなものを失うけど、成長のきっかけもくれているのかな。いや、それは怒った自分を正当化しすぎているかな。
いずれにしろ、怒りってやつの力は強大だ。
一ノ関の夕暮れ
3.泣いて喜ぶ姿
高校サッカー選手権を観ていて、もうひとつ感じたことがある。
ある学校が激戦の上勝利した際に映し出された観客席で、喜びのあまり涙している学生やその家族が映し出されて、「喜びって感情にも涙ってあるんだな」と思っていた。
何かを成し遂げて、心から涙したのはいつだろう……。
中学時代にサッカーで全国大会2連覇した時も、チームメイトにすごい選手がいっぱいいたからか、泣けなかった。それ以上に何かに必死になったことってあったかな……。オンラインサロンの立ち上げは初めてのことで四苦八苦しながらだったから、メンバーが感謝を伝えてくれたときは嬉しくて大泣きしたな。
それくらい……かな。もっとある気がしていたから、思い出せなくて悔しいけど。
母校の正門
履歴書に書けることは増えたし、ちょっとした欲は満たしてきたかもしれないけど、僕は僕の力で何かを成し遂げたい欲をずっと満たしていないことに気付いた。
自分以外に怒ることや、楽しみのシャワーに溺れる行為や、誰かに思いを寄せて哀しむことに時間を割きすぎた。僕が心底求めているのは、自分自身で勝ち取る「喜び」だ。この数十年ずっと、泣いて喜ぶ誰かを見て羨ましく思ってきた。
富士山に吠えるつきみ
何かに怒っている時間なんて本当にもったいない。
他の何かによって楽しませてもらう時間も、いまはもったいない。
よく分からない何かに哀しんでいる場合でもない。
泣いて喜んでいる自分自身もほんのわずかイメージできるようになってきた。
あとはやるだけだ。
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Daijiro Inaba
1986年川崎生まれ、東京育ち。葉山在住。趣味はSUP、ウクレレ、サウナ、フットサル、ワイン、BBQ、逆光アート、愛犬と過ごすこと。 オンラインサロン「大二郎酒場」主宰、教育系DAO「DSK」主催。