bit, bits, bitty

London, Can you wait? #6

bit, bits, bitty

Contributed by Chika Hasebe

Trip / 2024.05.31

ロンドンに来てみた。実際に住んでみたら、自分は何を感じてその先に何を求めるか見てみたかった。ロンドンに拠点を移した会社員・Chika Hasebeさんによる、社会との体当たり日記。現在と過去を交互に綴ります。

#6


今回は最近思ったこと、英語について。

イギリスに住んでいるノンネイティブ日本人です。日々触れてはいるものの、ほぼ毎時間レベルで英語に対して疑問が湧いてきます。新聞に出てきた単語が難しくてわからず、調べたときに「へ〜」となるのはもちろんだけど、どちらかというとよく使う単語・フレーズの別の意味について教えてもらったときの方が、「へ〜」「使えるようになりてぇ」となることが多い。学んだことを書いてみる回の前編。


ちょっとだけbitについて

a little bit, a bit ofなど「(全体の中の)ちょっと」という意味合いで使われるbit。多分ほぼ毎日使う言葉なので、特に難しいことはない。この間見て面白かったのは、これの別の意味での使われ方。


家でスキー用のブーツ履いている友達


自転車でバスの後ろを走っていたとき、バスの背面にオレンジジュースの広告が載っていた。ちらっと見ると「with no bits」「with bits」と商品名に書かれている! 今まで幾度となくオレンジジュースを買っていたが、全く気づかなかったこのワード。ここでいうbitsは「つぶつぶ」を意味しているのだ!



おそらくイギリスの方が日本よりもオレンジジュースとの付き合いが長いからか深いからか、スーパーでは種類が豊富。日本だと高いか安いか、果汁100%かそうじゃないかぐらいしか違いはないような気がするが、イギリスでは果物のつぶつぶ感があるもの、そうでないものという違いもちゃんと存在する。個人的にはつぶつぶ感がある方が、生の果物を摂っている感覚になるので好きだが、のどごしよりなめらかさを取る人もいるようだ。商品を選ぶ上で一つの基準となるつぶつぶ感。それがbitsという言葉でスッキリ表現されている。

確かに考えてみるとかなりしっくりくる。オレンジ一個を絞ったときにちょっと残る果実のつぶつぶ感って、まさに全体の中のほんの一部分。でも目に見える上に、数えようと思えば数えられるから複数形になってbits。飲んでいれば何度かつぶつぶを喉で感じることができるので、これが単数形だと違和感があるのもわかる。bitsに感動しながら帰宅した。


Alexandra Palaceから。Ali Paliと呼ばれているらしい。アリパリパリ。


もう一つ、今週職場で知った単語はbitty。イギリス人の同僚からのテキストで知った。
「They said it was likely to last all day, but will be ‘bitty’」
彼自身もクオーテーションマークで括っていたので、元からちょっとoddな使い方なのだが、「これどういう意味なんだろうね」ともう一人のドイツと日本のハーフの同僚に聞かれたので、あまり普段聞かない表現なのだとそこで気づいた。

前後の文脈から考えると、「大事な情報がちょっとずつしか出てこなくて、ずっと聞いていてもそこまで意味がない」ということを言いたいのだろうなと思ったが、一応調べてみた。
「bitty: made up of a lot of different things that do not fit together well」(Cambridge Dictionary)
結構筋がいい予想だったと思う。一言でいうと「断片的」が適切な言い換えなのかな。


職場の誕生日会、bittyと言った同僚の顔にちょっと似ている


これも一度わかると腑に落ちる表現。全体の要素の中でちょっとずつあるという状態を言いたければ、bit + tyで形容詞の形式にして状態を表すことができる。

総合的に考えると、bitは「片」に似ているという所感。「断片」と言えるし、「破片」「片鱗」など、全体から考えたときの一部を意味する単語と結びつきが強い。英語も日本語も応用が効くものってあるんだなと納得した。



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