はじめてみる景色の中を歩いて

真夏の風を探して #4

はじめてみる景色の中を歩いて

Contributed by satsuki azuma

Trip / 2024.06.11

「みんな同じ地球にいるはずなのに、自分の知らない世界が存在する」
はじめての食べ物、はじめての当たり前、はじめての現地の人との会話。旅先での“はじめて”は、いつだって私にワクワクを届けてくれる。モデル・俳優としても活躍する東咲月さんが等身大の姿で「旅」の出来事を綴ります。





旅をしている時は、ただ無心に初めての景色を横目に歩くのが一番好き。
自分が見たことのない景色、そして人間観察。
新しい世界を見たら、日本に帰って見る景色も新鮮に感じることができるかもしれないし、心の余白を作ることができて好きじゃなかったことが好きになれたりするかもしれないから。

ニューヨークを初めて訪れた時も、晴れた雪道の中を2時間歩き続けていたら、ユダヤ教の礼拝の時間だったみたいで教会から同じ格好の人がたくさん出てきたの。その当時はなんの集まりか分からなくてとっても恐かったけど、その時彼らを見ていなかったら、そのことを知るきっかけにならなかったなと思って、旅先ではなるべく歩くことにしている。



今回のタイでは有名観光地のワット・ポーの中をひたすら歩くことにした。



しかし……5分でバテた。暑いのが苦手なこと忘れてた。
なぜなら今、日本は冬だし、夏の記憶なんて半年くらい前だし……。
なんで毎年暑いと言っているのに、冬になったら暑くて暑くて仕方なかった夏の記憶を忘れてしまうんだろうか。



タイに来る前、YouTubeでワット・ポーについて調べたら、「水を無料で配っている」って書いてあった。
ワット・ポーに到着して、すぐに水が配られている自販機を探しに行ったら、まさかの有料になっていた。有料でも安いから全然気にならないのだけど、それよりもコロナの影響なのかYouTubeで見たタイとは違うことがいくつもあって、なんか悲しくなってしまったので、自動販売機の横にあった箱に寄付することにした。

“募金すると、あなたの願いを祈祷したタイルをワット・ポーの建物に貼り付けます”
そんなような説明が書いてあって、このタイルに上に貼り付けられている紙に願い事と自分の名前や家族の名前、住所を書く。



このタイルは将来的にここに貼られるのかな。
ちょっと館の形が違う気がするから他のところに飾られるのかもしれない。



このタワーは入り口のタワーと同じものだから、お花のタイルが貼られるんだね(左がタイルを貼る前で、右が貼った後)。

帰りの飛行機でもタイの経済事情について調べてみたけど、コロナをきっかけに、より貧富の差がより大きくひらいたみたい。
そういうこともあって、自分のできる範囲になっちゃうけどできる限りタイに持ってきたお金を使えたらという考えもあった。

誰かが儲かっていて、誰かがすごく大変な思いをしているっていう現状は減って欲しいよね。満遍なくお金が巡って、経済がまわっていくことが叶うようになったらいいな。

そろそろ気温が一番高くなる時間になってきた。
ワット・ポー内にあるマッサージ屋さん〈ワット・ポー・マッサージ・サービスセンター〉を見つけたので、予約をしようと並んでいたら約1時間半待ち! 待合席が空いていたのでそこで待たせてもらうことにした。



ここはタイでマッサージの勉強をしたい学生たちが、世界中から集まってくる学校で、基本的なことを学び終えたらタイの保健衛生省から免許が発行される仕組みなんだって。
お客さんに実践をする場所でもあるから、私たちお客さんはお手頃な価格でマッサージを受けることができる。
そういえば神楽坂にも、ここと同じような形態の寿司屋があって行ったことがある。そこは寿司学校に通う学生が見習いで寿司を握ってくれて、90分くらいで食べ放題だった。学生の頃に行ったなぁって思い出した。

私は1時間480THB(約1920円)のフットマッサージを受けることにした。〈ワット・ポー・マッサージ・サービスセンター〉はメニューも豊富なんだけど、昨日まで宿泊していたスクンビット付近とは違って足を洗ってくれたりするサービスはないから、なるべく自分で拭いてからマッサージ台に座りたいところ。だってマッサージ師に汗っかきの足を触ってもらう……と考えたらなんだか申し訳なくなっちゃう。



私は施術の時間まで足の汗を乾かしておこうって考えて、靴と靴下を脱いで持っていたウェットティシュで足を拭いて乾かした。そんなことをして待っていると、順番になってもお客が来ないから先に入っていいよって言ってもらえた! 20分くらいで入れてとってもラッキーだった。

ワット・ポーは人気の観光地で、横になっている「ねはん仏」が有名。そしてバンコクで一番古い寺院なんだって。
さっき、水を購入した自動販売機がある場所から真反対側に一直線、“ねはん仏”までは約15分くらいだから、観光しながら歩いていたら、もっと歩いていたはず。しかも、この暑い日差しの中、汗をたっぷりかきながら。ジムで運動しているよりも、もっと健康的な運動をしている気がした。

そんなこんなで歩きすぎて、もうすでに足が棒みたいになっていた私。それでマッサージしてもらうことにしたんだけど、ゆっくり寝れるかなぁ、なんて甘いこと考えていたら、す!ご!く!痛くて、目を瞑りながら大丈夫なふりしていた。でもやっぱりリアクションしちゃうくらい、とても痛くて、お姉さんに大丈夫か? って何度も聞かれたよ(笑)。でも、これを乗り越えた先は、足が軽くなる予感がしてずっと我慢していた。

特に、眉間にシワがよりそうになったのは棒みたいなので指先をぐりぐり押されたとき(観光地によくある石畳のマットのような、痛い!でもキモチヨイくらいの感じ)。
でもお姉さんが一生懸命やってくれていて、それが嬉しかったから黙って座っていた。
「終わったで」ってお姉さんに言われて目を覚ますとあら! びっくり……!痛みが全て取れていて、感動した。「これでホテルまで帰れるよ、本当にありがとう」ってチップを渡してお店を出たんだけど、私たちが並んでいた以上に外まで並んでいた。



ワット・ポーのマッサージ屋さんは観光客にすごく人気があるから、先にマッサージ屋さんの場所を探して予約をとってから
ワット・ポー内を観光することをおすすめします!
そうすると、ちょうど観光し終わったくらいに自分の順番がきてマッサージを受けて帰るっていうプランを組むことができるよ。

ここは結構、強めの揉みほぐし方だったから、強めが好きな方にはおすすめ。次の日もみ返しがあるかなって予想をしていたけど、何もなく、次の日の朝も足がスッキリしていた。




二つ目は、エラワン交差点にある〈ターオ・マハー・プラマ〉。ここはヒンドゥー教の神、ブラフマンを祀っている場所。タイで最も御利益がある祠みたいで、参拝に来る人がすごく多い印象だった。お姉さんたちがダンスしている時間もあるんだけど、それは奉納の伝統舞踊らしい。
そして、この場所は2015年、悲しいことにテロがあった場所。そういったこともあって、元々有名だった場所により観光客が来るようになったみたい。私たちが行った日は、平日だったけどたくさんの人で溢れていた。近くにバンコクで有名なショッピングモールもあったりするから、バンコクを観光するときはエリア毎に分けて予定を組むと巡りやすくておすすめ!

〈ターオ・マハー・プラマ〉は、お願いごとをするときお賽銭の代わりに金色の像の中心地にお花をお供えするの。ちなみにお供えものの花束は「プアンマーライ」っていう黄色いお花。1つ1つ手作業で作られたお花だよ。
もちろん観光客もたくさんいたけど、現地出身らしき人々もいて、地元の人にも愛されているんだなって印象があった。
お花と蝋燭は、サイズやお花などの量などで金額が変わってくるんだけど、私は100から200THB(約400円)くらいのサイズを選んだよ。購入場所は寺院の入り口。人だかりができているところを目印にしてね。

お参りの作法は、まず蝋燭を置いて、次に頭の前方高めにお花を持っていく、そして願い事をした後にお花を中心地にかける。このやり方は近くにいた人を真似たんだけど、その人があまりにも長めにお祈りをしていたから私も真似をしたの。でも初めてきたのに願い事をたくさんするのも嫌だなって思ったのと、でもせっかく日本から来たし…ということで自己紹介をするところから始めてみたら、長すぎたみたいで後ろにお祈りの列ができちゃっていた。



お花の中の蜜が美味しいからなのか、目の前でたくさんのスズメが嬉しそうにお花を突っついていて、なんて平和な景色なんだろうって思った。ここにいたスズメは、日本にいるスズメと同じ種類のはずなんだけど、サイズが大きいことが印象的だった。

そして、あまりにもたくさんの人がお花をお供えするからか、中心に立ってお花を整理していたおじさんが疲れちゃって、みんながお供えしたお花にヒジをついて休んでいた。そんな景色もなんだかおもしろかった。

今日はたくさん歩いたので早めにホテルに帰ることに。寺院を後にして、ホテルのプールでゆっくりすることにした。
ちなみに、タイの電車はBTSっていう日本でいうと山手線みたいな電車があって、それに乗るとかなり便利で観光地にも気軽に行くことができるよ!


ホテルでのお話は次週の回をお楽しみに!!



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