A Spell On You #11
あったかい街、ニース
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2024.06.25
#11
まりかとなあみんと行くニース2日目、続き。
街をあてもなくぶらぶらしたあとは、お家に帰ってディナーのために洋服を着替えた。なんせ、フランクフルトでは到底出番のなかった夏服たちが、トランクにたんまり眠っていた。
少し前に買って、殆ど出番のなかったリックオーウェンのドレスをきた。ドレスといっても、これはメンズのタンクトップなんだけど、とっても長いからドレスのように着られた。
ホテルを出て、夜のニースへ駆り出す。さっきまであんなに明るかった街は一気に暗くなって秋風が少し肌寒い。フランクフルトと違って、ニースの昼間はとても暖かいけど、 夜になるとそれが嘘みたいに肌寒かった。
私たちはお昼と同様に、また公園の中を潜って海辺までいき、その後はビーチに沿うように歩いてレストランへむかった。今日のレストランは、3年前、まりかとたまたま入って気に入ったところ。お店の名前はわからず、昔の写真を遡って、その位置情報から、どうやらここらしいというレストランを見つけた。
ここは、地中海の魚介を豊富に使ったイタリアン。その魅力は、何を頼んでもとにかく美味しいことと、量がとんでもなく多いこと。少し並んで、テラス席に座った。
周りの人や、SNSの写真を習って、メニューをオーダーした。どれも美味しくて、相変わらず量は多かったけど、3人で完食。またニースへ来ることがあれば、絶対またここに来たい。
おなかがいっぱいだったから、タクシーに乗りたいまりかを無視して帰りもてくてく歩いて帰った。
次の日。今日は最終日、なあみんはひと足さきにロンドンへ帰り、まりかとわたしは旅の最終地点、パリへ発つ。今日もニースは天気がよく、ジリジリと日差しが強い。わたしたちは自然とジェラート屋さんへ向かっていた。
昨日とは違うお店、ニースはフレンドリーな人が多いが、このお店はとくにフレンドリー。アイスのショーウィンドウ越しに、たくさんお話した。
大きなジェラートを三人で食べた。
わたしたちの隣に、こんがり小麦色でカーリーヘアーのお人形みたいな女性がいて、あんまり可愛いのでお願いして写真を撮らせてもらった。日焼けした腕にだけガッツリとちょっと毒のあるファンシーなタトゥーが散りばめられていて、そんなギャップもすてきだった。
スカートは手作りだそう。
旧市街の蚤の市で買ったラベンダーが詰まった布袋。これを枕元に置くと、とてもリラックスして眠れる。
しばらく歩いていたら、フィルムカメラがないことに気がつく。個展を控えていて、写真を沢山撮っていたのだけど、デジカメに、フィルムカメラに、携帯に、手元はいつもごちゃごちゃとしていて、無くしそうだと思っていたら案の定消えた。
自分が撮った写真を遡ると、アイス屋のレジ下にある棚に写っていて、急いでお店へ戻ったけどもうなかった。さっき仲良くお話ししていた店員さんも、誰かに取られちゃったみたいだね、と肩をすくめた。
使い始めて数ヶ月経ったけど、あんまり手に馴染まないフィルムカメラだったから、そういう運命だった、と案外諦めがついたけど、そのカメラの中に、つい数時間前に入れ替えたばかりのEktarのフィルムが入っていたことが心残り。奮発して買ったのに……。
なあみんが空港に向かう時間。また、何ヶ月か会えなくなるのが寂しいけど、こうしてまたヨーロッパで会えて良かった。なあみんを送り出して、またまりかと街中をぐるぐる、お店を見て回ったり、街の人のスナップを撮ったりした。
まりかが撮ってくれた。
またね! ニース。
最後の目的地、パリへ。
つづく!
#Gloomy day All day
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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