
A Spell On You #12
ニースから、パリへ。
Contributed by Aya Ueno
Trip / 2024.07.09
#12
2022年秋、ヨーロッパ旅の最終地点、パリ。今日は、ニースからパリまでのハプニングだらけの移動について書こうと思う。本当にハプニングだらけだったので、写真もない。
夜の飛行機だったから、パリに着いたのも11時近く。フランクフルトからここまでたった1時間半のフライトといえ、前後の移動もあってオルリー空港に着いた時にはすでにぐったり疲れていた。ここからエアビーに到着するまで、もう一踏ん張りしなきゃいけない。
こんなに疲れている時に、大きなトランクを持って電車を乗り継いだりしたら、それこそ口も聞けないくらいに疲れる。でも、ロータリーに囲まれたこの空港でUberと出会うのも……それはそれで、酷な時間だった。
まず、まりかが呼んだUberの運転手とわたしたちによる、"着いた"、"見つからない"、の平行線が実に30分以上続いた。3年前に留学をしていたまりかが久々に使うフランス語と、方言の強い運転者のフランス語の相性は最悪そのもの。大きなトランクを車にぶち込みスマートに帰路に着く、という願いは儚く散り、実際は運転手が停めたというロータリーを探し周り、1のAだ、2のAだ、あっちだ、こっちだと、必要以上に歩き回るハメになった。もちろん車をキャンセルしたかったのだけど、 運転手はそれだけは断固お断りで、いやいや、今、君たちのいるところに停めなおした! と返ってくる。そしてまた、"着いた""見つからない"が始まるのであった。
結局1時間以上経って、もう絶望的な気持ちになったとき、彼はとうとう車から降りてわたしたちの元まで来てくれた。いい人だった、と思ったのも束の間、彼の車が止められていた場所は、ロータリーではなく、地下にある駐車場。そりゃあ見つからないワケだとため息が出た。
車に乗りこむと、次に押し寄せてきたのは全く不快としか言いようのない、爆音のビープ音。お願いだからこの音を止めてくれといっても、故障なんだ、とあっけからんとする彼。
一刻も早く帰ろう。でも、ハプニングはまだ続いた。オルリー空港の駐車場を出る時、ぼんやりあった不安は的中して駐車料金を払うことになった。確かにこのドライバーが払うのも可哀想だけど、わたしたちだって全く払う筋はない、と交渉しかけたが、「当たり前だろう、なぜ僕が払わなきゃいけない」と笑ったり怒鳴ったりしながら言ってくる彼は怖かったし、トランクが二つ後ろに入っている限り簡単には逃げられないしで、結局不本意ながらその駐車料金の36ユーロを払った。
そのあとはパリ都心のエアビーまで、ひどいビープ音と馴染みのない音楽を浴びせられながら、数十分の地獄のような時間を過ごした。このままどこかへ連れ去られるんじゃないかという恐怖と闘いながら、わたしとまりかは文字通り手を取り合って、到着を待ち侘びた。
家に着くと、5階までエレベーターはなし。螺旋階段にトランクを打ち付けながら上り、バカになった鍵をこじ開けてやっとの思いで宿に到着した。どうしようもないくらいに疲れて、くたくたになって寝た。

エアビーについた。まりかは熟睡。
なあみんと離れ、まりかと2人になった途端に見舞われた数々のハプニング。でもこれこそがわたしたちの旅らしい。まりかとの、7回目のパリ旅行がパンチを効かせて始まった。
#Gloomy day All day
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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