パリの地下鉄。

A Spell On You #17

パリの地下鉄。

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2024.08.27

フォトグラファー/ライターの上野文さんの新連載『A Spell On You』。2022年の秋に渡ったドイツ・フランクフルト、フランス・ニース&パリでの様子を、彼女の“トキメキ”が詰まった写真と共に綴ります。

#17


パリ3日目、つづき。

古着屋さんを出て、カフェへ行こう。
以前、雑誌か何かで見つけて気になっていたところがあった。Bonjour Jacobといって、アートブックがたくさんあるところ。少し遠いしどうかなと思ったけれど、まりかが快諾してくれたので、ちょっと足を伸ばしていくことに。

初めて降り立ったリパクリック駅は、オンボロな建物が並ぶ、なんだかインダストリアルな雰囲気。オシャレな人たちが多く、可愛いスケーターと幾度となくすれ違った。そんな彼らが数人集まっている路地があって、そこにお目当てのBonjour Jacobを見つけた。

入ってみると、カフェはまさにわたしの好きが詰まった空間だった。打ちっぱなしの壁に吹き抜けの天井。まるで本屋さんみたいにたくさんのアートブックが、壁とテーブルにたくさん並んでいた。





本を何冊も選んで席に腰掛けた。蔦屋書店へ来たみたいに、カフェをしながら本を読む。隣のまりかはデザートに夢中。辺りを見渡すと、仕事をしない人の方が珍しいほど、ほとんどのお客さんがパソコンを開いて仕事をしている。わたしもパリに滞在していたら、ここまで仕事をしにきたいな。カフェの机って大概狭くて、椅子との高さが近い。パソコン作業をしようものなら、肩が上がって背中は丸くって体が凝るのがつきもの。それでも何故だかカフェで仕事をすると捗るんだ。だからわたしも、たまに家から1時間もかかるカフェまで仕事しに行ったりする。




たくさん歩いた足を少し休めて、一息ついてお店を出た。


駅に戻る道中に、絶対に可愛いと確信するセレクトショップがあった。導かれるように中に入ると、そこもとにかくドツボなお店だった。驚いたことに、日本の雑誌、ポパイの最新号がある。セレクトブランドにしても、AURALEEやNEIGHBORHOODのように日本のブランドが多く、それも何だか嬉しくて店員さんと話して仲良くなった。
ここでは結局、とっても可愛いSTUSSYのアウターをゲット。柄物で私には少し挑戦的だ。昔だったら着ないような服を最近少し着るようになったと思う。


お店の名前は、THE NEXT DOORだった。


パリのメトロって、日本の電車に慣れたわたしにはやっぱりとてもユニークに感じる。チケット売り場の一つにしてもそう。券売機は、誰にでも使い勝手がいいように、できるだけシンプルで使いやすくあるべきで、その点日本のそれは実に無駄がないなと思う。ところがどうだろう、こっちのものは、画面のタッチは聞かず、ボタンは1つの目的しか果たさないものが2種類。画面をスクロールするには、この横長い棒をギコギコ回す必要がある。わかりにくいったらありゃしないんだ。
でもひょっとすると、フランス人にとって日本の券売機は難物で、こっちのデザインに敵うものはないように見えているのかもしれない。だとしたら、文化背景とかって、CGとかVGゴーグル並に人に違った視界や解釈を見せているんだ。



あと、こちらの座席の日本では見かけない配色でなんともたまらない。地味でもないし、奇抜でもない。でも、落ち着いた遊び心がある。電車の座席のデザインはいろいろなものがあったが、太いストライプ柄のものが特に好き。




ゴミ箱一つにしても、謎な形状だと思う。パンツに見える。





今日もまた、可愛い人にたくさん巡り会える日だ。


つづく!


#Gloomy day All day

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