Couch Surfing Club -Seoul Art Walk編- #1
初渡韓!
Contributed by Yui Horiuchi
Trip / 2024.08.08
#1
一体どこから手をつけようか、今はそんな感じで2023年10月に3日間の強行スケジュールで巡ったソウルのアートトリップのことを回想している。
編集部の皆さんにも「YUIちゃん、これはさすがひどい!(笑) 自分たちの取材でもそんな過密スケジュール組んだことない!(笑)」と呆気にとられてしまった(笑)。
実際、調べたギャラリーのいくつかは展示替えやお休み中だったところもあったため、営業中のスペースはほぼ予定通りにコンプリートすることができた。しかし帰国してからあまりの情報量の多さに自分でも唖然としていることは言うまでもない。
今回の渡韓に至ったきっかけは単純だった、まだ行ったことがない韓国という土地、食、アートに惹かれていたこと。9月頭に国際級アートフェア『フリーズソウル』と『Kiaf』が開催されていたこともあり、各国からの来賓に向け市内のギャラリー、美術館のコンテンツに期待ができたということもある。
まずは一体どんな強行プランで挑もうとしていたか、というところからご紹介しよう。
一通り調べたギャラリー一覧がこれ。
大雑把にエリア別に区分けしてみた、三清洞(サンチョムドン)、梨泰院(イテウォン)、江南(カンナム)だ
手順としては、ローカルのクリエイティブ周りの友人のおすすめや日韓アート関係の友人のお墨付きなどをリストアップしていき、エリア別にピンニングをしていった。
使用した地図アプリはNAVER MAP、どうやらGoogle Mapは韓国では乗り換え案内など正常に機能しないことがあるという。起動してみるとよく分かる、空を飛んでいるような経路が表示された。理由は防衛対策らしい、納得。
ある程度ギャラリーや美術館情報が地図上で把握でき始めたところで、一日に回れそうなエリアの地図をプリントアウトして営業日を書き出していく。
次に、営業日の被っているエリアごとに訪問日を決めていった。例えば美術館は月曜休みが多いのでなるべく他のエリアを回るようにするなど……。タイトな滞在になる初日は木曜日、元気なうちに密度のあるエリアを周りたいと思っていたので、スペースが集中している三清洞(サンチョムドン)のエリアから回っていくことにして、今度は開廊情報を調べていった。
16箇所中、5スペースは展示替えのため閉廊中のようだ。
11件の営業時間を調べ上げて効率的に回れるように、オープン時間の早いところを優先的しつつ、クローズ時間の遅いものを後回しにするようなコーディネートをしておく。
大体の見通しが立ったところで、初日に同行してもらう予定でいた心強い助っ人、25歳の現地の友人、グラフィックデザイナーのヒーチャンへ「こんなプランにしてみたー」とシェアしてみたら、案の定、「これは……回れるかどうか分からない……かなり挑戦ではあるね(笑)」と初っ端から余裕で引かれる始末だった(笑)。
でも、やってみないと分からないよね!
とりあえず回れそうなとこは回ってみようというスタンスで挑んだ初渡韓。20時羽田発の便で金浦空港からウーバーを手配して明洞のホテルにチェックインしたのは深夜も回った頃
近くにあった韓国のコンビニ事情
北海道で売ってるっぽい、気になったアイスモナカ
寝てしまう前に軽く現地らしいことをしたくて韓国ビールを飲みに行こうと思って外出してみたけど、飲食店はどこもクローズかラストオーダーを終えていて、結局近くにあったセブンイレブンでとりあえずTERRAを買い飲み歩きしながら滞在先の周辺の様子を伺いつつ散策することに。
ゲットしたビール缶の裏には「Product of Australia 」と書いてある、これは韓国産か? と疑問に思いつつ喉を潤した(結論:韓国のビールでした。軽くて夏場に飲みたくなる味、気になった方はぜひ新大久保で買ってみて)
明洞は東京でいう原宿みたいなところで、とても賑わっていると聞いていたけど、どうやら滞在先付近は若干コアなショッピングエリアからは外れて多少旧市街の名残があるような一帯だった。最寄りの駅は乙支路3街(ウルチロサムガ)。調べたら金浦空港から一本で出てこれたみたいだ。
移動が深夜帯だったので次回は電車で移動してみようと思う。
特に印刷に特化したエリアのようで作りや間口は小さいが、巨大な印刷機が横丁並みに狭くて緩い坂道の路地の左右を守り固めるように威厳というか威圧感を持っていて、通り過ぎていく人々を薄明かりの中静観するように鎮座している。
吐き出したものかこれから刷られていくものか、印刷機の周辺にはクレートの上に印紙が山のように積まれている。
使われている重機は日本製の三菱だ
後でヒーチャンから聞いた話だが、美大生たちのzineや展示のフライヤー類の多くは、このエリアで刷られたもの、とのこと。皆こぞってやってきては各々好きな印刷所を利用するんだと教えてくれた。東京で例えるなら河童橋のように同業種が軒を連ねているイメージだろう。
到着して最初に街歩きをしたのが夜間だったこともあり、飲食店クローズ後のゴミの山を至るところで目にすることになった
そんな事情もあり、初めてソウルに来た感想は残念ながら「超汚ねえ!」(笑)。
(日中はそんなことはない)夜出かけない人のために、ここで一部始終をご紹介しよう。
歩くとこ歩くとこ大体こんな感じ、飲み屋も立ち並んでおり大通りの交差点では追い出されたであろう若者たちが名残惜しそうに余韻を持て余していた。
これ以上行く当てもないな。
で、ホテルに戻るついでに立ち寄ったコンビニで、翌朝の軽食を適当に見繕って帰ることにする。
ゆで卵が欲しいと思って売り場に行くと、茹で時間ごとに選べるオプションがあるなんて……。思ってもいなかったことには、純粋にカルチャーショックを受ける。迷わず半熟っぽい 1hour soft boiled eggを手に取った。
でも1時間も茹でていたら固茹でになりそうなのにな、どういうことだろう。実食するまで真相は謎。
余談だが、冬は余裕で氷点下にもなるソウル。
コンビニでホッカイロが欲しい時は、これがそれらしい。冬場になるともう少し種類が並ぶようだ。
ホテルに戻りながら見つけた公衆電話の前で友人と話していたら、ほろ酔い気味のオンニに『コンバンハ〜』と声をかけられる。
アメリカの公衆電話とデザインが似ているなと思って写真を撮っていたところだったけど、この後多方面でアメリカのインフルエンスを受け融合されたであろう独自の文化を目の当たりにしていくので、そちらも追々コラムの中で触れていきたい。
10月の中旬は寒くて凍え始めると聞いてはいたものの、秋晴れの続く過ごしやすい滞在の始まりだ。
アーカイブをチェック↓
NY編はこちら
西海岸ロードトリップ編はこちら
Seoul Art Walk編はこちら
Tag
Writer
-
Yui Horiuchi
東京を拠点に活動するアーティスト。幼少期をワシントンD.C.で過ごし、現在は雑誌のイラストや大型作品まで幅広く手掛ける。2015年に発表した「FROM BEHIND」は代表作。自然の中にある女性の後ろ姿を水彩画で描いた。自然に存在する美や豊かな色彩を主題にする彼女の作品は海外でも評価されている。