パリは夢の街

A Spell On You #18

パリは夢の街

Contributed by Aya Ueno

Trip / 2024.10.01

フォトグラファー/ライターの上野文さんの新連載『A Spell On You』。2022年の秋に渡ったドイツ・フランクフルト、フランス・ニース&パリでの様子を、彼女の“トキメキ”が詰まった写真と共に綴ります。

#18


パリ3日目、つづき。

今日は、まりかがパリで作った数少ないお友達(失礼)、ヨンヒョンとエイドリンとのディナーを約束していた。私もヨンヒョンとは何度か会ったことがあったし、エイドリンともずっとSNSで繋がっていたから、会えるのがとても嬉しい。

シャンゼリゼ通りでお買い物をして、そろそろディナーへ向かおうとしたところ、人気ドラマ『ストレンジャーシングス』のポップアップストアをたまたま見つけた。地下に繋がっているようで中は見えないけど、とにかく人の出入りが激しく、見るからに人気だった。

まりかは、「行っていい?」と言いながら、その足はもうすでに入り口を向いていて、そのまま吸い込まれるように中へと消えていった。一話も見ていない私だが、そんなまりかを追って暗闇に入ってみた。

中は、撮影スポットが数箇所、きっとドラマを観た人にはたまらないマーチャンダイズが大量に並んでいて、まりかはあちこちで歓声を上げる。私にも、これはこーだ、あれはあーだと説明してくれる様子が可愛い(依然としてピンと来ないけど)。
まりかだけでなく、彼女と同様、狂ったように喜ぶ人たちが文字通り大人から子供まで溢れかえっている。恐るべし、ストレンジャーシングス。こんなに人を狂わせるドラマはすごいな。





いつ着るねんと言いたくなるようなTシャツをはじめ、あれこれ細々したものを買って大満足のまりかとストアを出る。あたりは真っ暗。急いで帰って、ディナーへ向かおう。(余談だが、この間仕事終わりに彼女とごはんを食べに行ったら、ちゃっかりこの時に買ったTシャツを着ていた)




今日とびっきり可愛いスナップが撮れた。


今日のディナーは、常にパリの最新おしゃれスポットを熟知するエイドリンが予約をしてくれた。モダン美術館のパレ・ド・トーキョーに併設されたBambini Parisというレストラン。とにかくどこを撮っても絵映えするようなオシャレなお店だった。ヨンヒョンと合流して、程なくすると、仕事帰りのエイドリンがやってきて、ディナーが始まった。ファッション関係のお仕事をするエイドリン、今日はAMIの撮影があったらしい。いいな! 昨日ちょうどお店に行ったところだ。まだまだ下っ端だから、と大変そうだけど、とても嬉しそうに楽しそうに話してくれた。





口が悪くてダークジョークが好きなヨンヒョンに、どうでもいい究極質問を繰り返す。究極質問というのは、扉が閉まらず開けっぱなしの家か、知らない人と共用スペースのみで暮らすか、どちらがいいか、などといったありもしないどうでもいい質問のこと。みんなが苦い顔で渋々答えるのが楽しい。
ディナーは平和そのもので、本当に楽しかった。みんな英語が母国語ではないから、わたし(とまりか)の中途半端でボロボロの英語も、うまく意図を汲み取って理解してくれる。

レストランを出て、裏にある、パレ・ド・トーキョーのショップへ行ったのだけど、閉店時間をギリギリ過ぎていて空いてなかった。一番好きなショップなのに、とっても残念。お店は鉄の格子がおりていて、入れもしないのに中はよく見える。囚人みたいに鉄棒の隙間から覗き込んだ。なんとも名残惜しい。

パレ・ド・トーキョーを出て、毎時最初の5分だけキラキラと光るエッフェル塔を見にいった。エイドリンといい、ヨンヒョンといい、私が知っているだけでももう5年はパリにいるはずなのに、今日も嬉しそうにうっとりとエッフェル塔を眺める。家族とか、友達とか、大切な人たちと離れてパリで生活するのは、なかなか大変なときもあるかと思う。でもそれでもこうしてパリに住み、夢を追いかける2人を見れば、わたしも頑張らなくてはと刺激を受ける。



私がもしどこか海外に住むとしたら、どんな毎日になるのだろう。
想像してみても、こんな感じだろうな、というイメージはなかなかつかない。今の東京の暮らしが好きだけど、そんな真っ白な絵本みたいな想像もできない世界も、まだ少し、興味がある。


つづく!



#Gloomy day All day

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