Beginning of my new Life #37
Nice to meet you!
Contributed by Asuka Naka
Trip / 2024.10.09
番外編として高校生の頃に訪れたアメリカでの交換留学の様子をお届け中。
メンバーが続々と到着するホテルのロビーはなんだかソワソワした。
部屋も既に振り分けられていた。何人かの日本人らしき子たちの姿も見えた。久々に対面で会う日本人という存在がとても貴重に思えた。そしてとても嬉しかった。同じ国から同じ境遇にいる人はそう多くはない、そして唯一この状況を共感できる存在でもあった。今となっては留学あるあるなのだが、中には日本人とは関わりたくない日本人の子もたくさんいた。せっかく留学に来ているからと、日本語を話したくないらしい。
私はこの一年間で日本語を話せる機会なんてそうそうなかったため、日本語が通じる世界線に驚いていた。留学の過ごし方は十人十色。引きこもりで留学期間を過ごして英語も文化理解もせずに帰国する人もいれば、完全に日本人離れする人もいれば、新しいことにチャレンジする人もいる。
その時はその場に慣れることに必死だった私は、留学のあり方などそこまで考えてはいなかったと思う。
ただそれが良かったのだとも思う。現地の人と現地の生活をできることは何度か留学を経験している私だが、この高校交換留学だからこそできたことである。そしてこのカリフォルニアトリップは、一生に一回しかできないような唯一無二の経験をしている世界中からアメリカに集まった子たちに出会える限られた機会であった。
続々とくる留学生の中に、顔に見覚えのある子を見つけた。
日本人の交換留学生の子だ。私は有名人にあったような気がした。その子は留学生活をシェアするインスタグラマーの子で、私はこの留学生活が始まった時からその子のアカウントをフォローしていた。いつもキラキラした写真を撮っていて、チアリーダーで……。同じ留学生とは思えなかった彼女と会えたことがとても嬉しかった。
このトリップ中、彼女の前では少し緊張していた私であったが、彼女の経験も中々のものであり、やはり同じ留学生で頑張っているのだなと感じた。いまだに印象的で覚えているのが、食べかけのドーナツを投げられたという話だ。
外国から来た留学生で、英語も第一言語ではないローカルの子たちからすればヨソモノである私たち。そしてエリアによっては白人しかいないような学校で唯一のアジア人として見られることもある。そんな経験が高校生のヤングアダルトとしてできるなんて素晴らしい反面、学びがあり成長を要することもある。キラキラしている留学生活を送っているようなインスタグラマーの子でも、食べかけの食べ物を投げられていた、というのが衝撃だった。
しかしその子はだからどうこう言うこともなく、留学生活を素晴らしいものにしている。そんな姿に私自身が励まされた。今まで何をやっていたんだろう私は、と日頃の態度を反省するいい機会となった。
私がいまだに大好きで会いたいなと思うタイ人の子ともこのトリップで出会った。その子の学校は白人しかおらず唯一のアジア人であるため、廊下を歩いているだけで振り返りながら見られるらしい。
しかし彼はそれを誇らしく思っていた。要するに受け取り方の問題なわけだ。現代では差別が重要視されているが、差別とは一体なんなのだろうかとも私は思う。いわゆるいじめと同じではないか。された側がいじめと思えばそれはいじめ、といつかの先生は言っていた。ではいじめられた側は純粋な被害者なのか。いつもの光景と違う光景を見れば少しは気を取られるものではないだろうか。それに対しての反応がどうであるか、そしてどう受け取られるか。私はこのタイ人の子と出会って、何事にもポジティブな姿勢、楽しむ姿勢、周りを笑顔にする心意気を教わった。
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Asuka Naka
湘南出身、イギリス在住。アメリカ高校留学を経験し、イギリスの大学に進学。高校生から旅人デビュー。現在はヨーロッパを拠点に旅する真面目大学生。海外生活、旅をトピックにシェア。