London, Can you wait? #11
a random and accessible week
Contributed by Chika Hasebe
Trip / 2024.12.20
#11
今回は最近の振り返りをしてみる?
一年半ほど住んでみても、まだまだわたしはロンドンを知ることができていないと思う。時間だけ走り去って、自分は置いていかれている。それでも、自分の知る限りでのロンドンの好きなところは、ランダムかつアクセッシブルなところ。先週の一週間がまさにそれを物語るものだったので、ちょっと日記にしてみよう。ただ、先週自分がしたことの詳細が思い出せないので、カレンダー、写真、チャット履歴、メール、カード明細履歴、など色々かき寄せて、記憶を絞り出しました。
10月7日(月)
ハマスがイスラエルを攻撃してから約一年が経った。会社ではBBC、Sky News、日本のテレビ番組を常に流していて、今日はこの一年でイスラエルとパレスチナ(特にガザ地区)がどう変化したか、どのチャンネルも調査報道のようなものが多かった。今年は宗教、利権、故郷、矛盾について嫌になるほど考えた一年だったと思う。いまだに目の前の事実との向き合い方がわからないけれど、ちゃんと解決するまでずっと関わっていきたい。
病み上がりプラス週末の飲みが残った頭で久々に出社したので、帰ってバタンキュー。文字通り何もしていない。
ペニシリンを見るといっつも綾瀬はるかのモノマネを思い出してしまい、一人でしばしば笑っていた。
イギリスの病院では抗生剤をあまり出してもらえないとよく聞く。実際、レムシップ(緩和剤)やパラセタモール(鎮痛薬)で頑張れと散々言われてきたが、そんな飯事じゃ治んねえんだよ! といつも心の中で怒りまくっていた。今回は奇跡的に抗生剤が手元に余っていたので飲んでみたが、もちろん効かない。かかりつけ医(GP)に電話をしたら、提携薬局をすんなり紹介してもらえた。簡易問診の末、ちゃんと症状に合った抗生剤を出してもらえた。薬剤師のおばちゃんにも笑われたが、勝手に判断して抗生剤は飲んじゃだめ。でも治したいのよ!
10月8日(火)
昨日友達と近所で飲む約束をしていたが、当日の今日になって、しかも約束の時間が過ぎてから「やめとくか」と、別日に変更するというマイペースぶり。イギリスに引っ越してきてから、ドタキャンすることもされることも増えた。基本的に事前の約束って、どこかの予約など確定するもの以外は全て仮予定の認識っぽい。前日や数時間前に「いける?」ってお互い確認するのが普通で、ここで初めて確定する感じ。この会話でのイギリス人のあるあるは、「二日酔いで今日はパブに行く気分になれないからやめとく」です。
霧雨のシャワーが太陽に照らされている
わたしは仕事の忙しさに毎日ばらつきがあるので、仕事でいっぱいいっぱいになっちゃって気分が乗り切れないとき、無理せず遊びの予定をCall it offって言える、仮押さえ文化がありがたい。日本にいたときは、多少体調が悪くてもドタキャンするほうが嫌がられたし、友達と約束するときも三週間後先の日程を決めていたりしたので、結構予定調整はストレスだった。ちゃんと予定を守る誠実さは素敵だけど、身体や心に正直に生きることも大事。
久々に出社したという彼氏が会社の飲み会で結構酔っぱらい、帰りにバスの後部座席でチキンを食べていたそう。ラーメンなんてそこらじゅうにはないから、イギリスではケバブかチキンで締める。今までケバブ派だったけど、写真が送られてきたことでなぜかわたしも酔ってないのにチキンを食べたくなってしまった。でも買いには行かなかったからえらいぞ自分。
わたしは東京でもロンドンでも、マックの袋を持って電車に入ってくる人を見かけるとかなり許せない。謎に食欲が掻き立てられるのに、こっちは食べられないなんて不公平じゃないか!
10月9日(水)
家でインドカレーを食べた! ブレンダーでちゃんと滑らかにしたら、より美味しくなることを初めて実感した。今まではレシピでみんなギュインと最後にブレンドしているのを眺めているだけ。
10月10日(木)
仕事で空港まで出向く用事があった。日本に住んでいたとき、どこかに行ってしまいたい気持ちが強くなり過ぎると、よく空港に飛行機を見に行った。国際線が良くて、絶対羽田の第三ターミナルだった。いろんな国の飛行機が集まっては、飛び立っていく姿をじっと眺めていた頃をふと思い出した日。
仕事後、友達が好きな画家のギャラリーオープニングに行きたいと言うので、ついて行ってみた。なんだかんだイギリスに住み始めてから、ギャラリーのオープニングは初めて来たような気がする。いつも色々な冒険に誘ってくれてありがとよHarry!
先に入っていた彼と待ち合わせようとしてびっくり。入場するための列が、建物を囲むようにできていた。ガラス張りのハウザー&ワースギャラリーは、中も人でごった返しているのが外からも分かる。個展は今回初めて行うGeorge Rouy、かなり注目株だったようだ。
大型作品が多かったRouyの絵は、Francis Baconを思わせる雰囲気、肉体の強調、そして作品自体の破壊が特徴的だった。Harryが彼の作風について説明してくれたので、細かいタッチまで見てみた。Rouyには、自分の描いたものへの未練があまりないというか、壊して次に進むやり方がある。下書きのままになった部分やシルエットを崩すように重ねた色など、これらの’未完成’の箇所を全て綺麗に仕上げてしまったら、彼の作品の魅力はなくなる。力を感じたとてもいい展示だったな。
夜はパブで一杯ひっかけ、火曜からずっと食べたくてしょうがなかったチキンを道中でテイクアウト。そのあとHarryとそのまま、友達が開催しているパーティに遊びに行き、踊ってスッキリしてから自転車で帰った。
10月11日(金)
Facebookマーケットで部屋の仕切りを見つけたので、レイトンのちょっと奥まで取りに行ってみた。帰り道、ロンドンで初めてルーマニアショップを見つけたので、立ち寄ってみた。
外に座る椅子があるところ好き
多分アジア人なんて滅多に来ないのだろう。等身大の仕切り(受け取ったばかり)を引きずりながら入店してきたわたしに、お店のおじちゃんが話しかけてきた。「彼氏がルーマニア人だからなんか買っていこうかと思って…」とわたしが応えたら、「(彼氏は)どこ出身だ?」と興味津々のおじちゃん。あ〜教えてもらったんだけど、覚えてないな〜カタカナの地名、一生覚えられないんだよな〜。おすすめしてもらったひまわりの種を買って帰宅。
10月12日(土)
前のフラットメイトは、彼女の親がロンドンにフラットを買ったので、少し前にそこに引っ越して行った。それ以来初めて家にお邪魔した。ロンドンは一軒家や低層フラットが一般的なので、久しぶりに高層マンションに足を踏み入れた気がする。高層と言っても、13か14階でそこまで高くない。それでもベランダで足がすくんだ。暑さといい、高さといい、慣れなくなるとすぐダメになるのね、身体って。
東京に住んでいたとき、目の前の家がタワマンだったので、タワマンに住んでみたいと思う時期もあったが、ロンドンに来てからはそんな気持ちも完全に消えてしまった。どちらかというとイマドキなフラットやマンションにはあまり生活感を感じられず、落ち着けないだろう。
ただ彼女のマンションの二面採光の間取りは最高だと思う。東京で感じた、タワマンへの憧れを少し思い出した。ちなみに、わたしと彼女が一緒に住んでいたフラットは20世紀初めに建てられたもの。歴史的建築物レベル。
わたしたちが住んでいたフラット。この外観に惹かれて入居した。
招かれて早々、色々話したいことがあったのに、Switchをやろうと誘われた。まあ、やってみるか。わたしは日本人だが、Switchは人生で一度もやったことがない。ゲーム歴はWiiで更新が止まっている。困惑しながら始めてみたら、Wiiよりとても進化している! と驚き。
なぜWiiの記憶がそんなに新鮮かというと、先週と先々週、二つの異なる友人宅で偶然にもWiiをやる機会があったからだ。普段ほとんどゲームをやらないのに、懐かしのWiiからSwitchまで三週連続でやることになるとは。しかも三週連続でやったのは、Sports。Wii Sportsのテニス、友達の家で散々やったな、小さいとき。
自動生成のアバター、やたら自分に似ている
そのあと急いで別の友達の誕生日パーティに向かった。その道中で彼氏から、ジプシー音楽のライブのフライヤーが送られてきた。見たいのかなと思い、行く? と聞いてみたら、案の定行きたいとのこと。ただ始まるの今日の夜11時半からなんだよな、しかもブリクストン。友達の誕生日パーティを早めに抜けて、そのライブに行くことにした。
料理が趣味だというなおきくんが作ってくれた。これはもうレストランだ!
音楽がとにかくエネルギッシュで、陽気で、面白くてとってもいいジプシーたちだった。クラブ以外の場所で、みんなが音楽に向かって全力で踊っている場面に遭遇したことも久々で、いいエネルギーももらえた。彼はルーマニア人が少なくて意外だったらしい。みんな本当に色々な音楽を知っているんだなあ。
帰りにMorley’sでまたチキンを食べた。デリバリーの配達員がみんな、Morley'sのbossmanに絡みに行っていて面白かった。そんなbossmanは、そんな数のチキンでいいのかよとわたしたちに絡んできた。いいんだよ! これはつまみだ、つまみ!
10月13日(日)
前日こんなに夜更かしするつもりじゃなかったので、この日は元々ハイキングに行こうとしていた。普段土日はクラブばかり行っているので、たまには新鮮な空気を。結局3時からハイキング開始。以前友達と来たことがあるボックスヒルを散歩した。
4マイルはやりすぎだよねと、2マイルのコースを選んだのに、途中でルートから脱線し、感覚で進んでいたら、最終的に4マイル以上歩くことに。復路の途中で陽が落ちた。ミーティングポイントに戻って来たときには、車も人も誰もいない。わたしたちが最後のハイキング客になっていた。やっと降りきって最寄りのパブで一息。でも一息つき過ぎて、電車を逃しそうになる羽目に。久々に全力で走ったよ。一時間に一本の電車は逃したくないものだ。最後の最後で、綺麗な空気をまとめて吸った気がする。
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Chika Hasebe
1998年生まれ。2023年5月よりロンドンに拠点を移し、報道記者の仕事に従事する一方、フリーライターとしてカルチャーについて発信もしている。