
As I Like It #38
秋の食生活
Contributed by Utano Katayama
Trip / 2025.01.20
#38
少し前まで夏だったことを思うと、季節の移り目は何とも一瞬で過ぎるみたい。夏とのお別れは少し寂しい。
ブライトンは夏でも過ごしやすい気温だし、天気も良くて、ビーチで寝転んで海を眺めるには最高の場所。
それでも私の心は踊っている。だって1番大好きな季節、秋がやってきたから!
葉っぱがカラフルな黄色やオレンジに色づきはじめ、空中を舞いながら少しずつ散っていく様子が大好きなのだ。少し寂しくて、どこか虚しくなるこの気持ちも何だかよく思える。
ただイギリスは冬に近づくにつれ、曇りや雨の日が多くなるのがちょっぴり憂鬱なところ。

秋になったことだし、今回は最近の食事情を書きたいと思う。
最近はクラスメイトのシャタと、カフェで勉強会を開くのが日課になってきた(たまに図書館にも行く)。彼女はサウジアラビア出身の二児のママだ。2人の子供がとっても美形で可愛いのは、ママ譲りだから羨ましい。
勉強会と言っても、一緒に課題を済ませたり、授業で分からなかったところをお互い教え合っているというような具合。
ちなみに私は勉強会という理由をつけて、シャタにクラス以外で会えるのがとっても嬉しい。シャタと学校のことやお互いのことを話していると、心が不思議と浄化される気がして、ありのままの自分でいられるのだ。
実は彼女、かなりのカフェ通。お洒落で美味しいフードのあるとっておきの場所を、いくつも秘めていたりする。彼女は基本子どものお迎えなどで忙しいママだから、たまに空いた時間でそれらを少しずつ、一緒に巡るのが私の密かな楽しみにもなっている。
この日もかわいいカフェのテラス席で待ち合わせをした。秋らしいメニューの数々に思わず胸が高鳴る。ちょっぴり寒いけれど、せっかくだから綺麗に秋のカラーに色づいた大きな木の下で食べることにした。

パンプキンスープを迷わずオーダー。こんなのもう頼むしかないよね!
綺麗なオレンジカラーは秋にぴったり。かぼちゃの濃厚なスープと、シャタとの何気ない会話のおかげで、寒さなんて吹っ飛んで、私の心はぽかぽかになった。


私が何か質問すると、ササっとノートにまとめながら「これがこうで、これは......」と丁寧に説明までしてくれる。
私にとっては大切な友人でありながら、お母さんのような存在でもある彼女。この時間がずっと続けば良いのに.........そんな風にいつも願っている。
ある日、一緒に住んでいるアニータが、イギリスの家庭料理のひとつ「コテージパイ」を作ってくれた。

牛ひき肉の上にマッシュポテト、チーズを乗せてオーブンで焼く。アニータはグレービーソース(イギリス特有のソース)が大好きだから、パイの上にたっぷりと回しかけてくれた。
イギリス料理は基本的にフライドポテトやマッシュポテトなどが付いていて、じゃがいもが使われていることが多い。日本でいう「米(おかずのお供)」の感覚だと思う。
コテージパイといってもパイ生地が使われている訳ではない。だけど、アニータが時々作ってくれるおかげで私の大好きなイギリス料理のひとつになった。しっかりと「また作ったら少しちょうだい?」とお願いもしておいた。
このときのお礼を兼ねて翌日、日本料理を振る舞うことに。
前日の夜、イギリス人が好みそうな味は何かな? とじっくりベッドで考えてみたけれど、好んで食べてくれるか少し心配なところ。考えても仕方がないから、早速料理に取り掛かる。

ひとつ目はカレーライス!

そう、もうひとつは豚の角煮にした
イギリスでカレーライスがとても人気なのは知っていたからひとつ目はこれに。ちょうどお母さんが、この前のパリ旅行の際にスーツケースいっぱいにカレールーや日本の調味料などを持ってきてくれていたから本当に助かる。
もう一つは豚の角煮。イギリスで揃う材料で作れそうだし、何よりアニータは中華が大好きなのだ。アニータは終始嬉しそうに料理をパクパクと口に運び、結構な量を入れたと思っていたお皿をあっという間に平らげた。
イギリスではインドカレーなどのスパイス系の方が主流みたいだけど、日本のカレーはこんなにも美味しいのね。と感激しながら言ってくれた。ふぅ、良かった〜。前日に沢山悩んで決めた甲斐があった。

やっぱり日本食が恋しくなる。最初はあまり日本食シックにはならなかったけど、気付けば日本食や米、アジア料理を無意識に食べるようになった気がする。知らぬ間に、鍋でご飯を炊く際も、計らずとも感覚で出来るようになっていた。
この前は寿司レストランでイクラ軍艦を食べて、友達とお箸で食べる練習もした。
慣れない箸で餃子を掴もうとする友達は、指先に全神経を集中していたみたいで、ずっと口をぱくぱくさせながら頑張っていた(すごく気持ちがわかる 笑)。

すごく上手だったけど、変なところに力が入って指が疲れてしまったのか、途中からフォークに切り替える友人。本当にナイスチャレンジだった!

帰りのバスではかわいい男の子たちと相席に
レストランに行かないでお家で料理を作ることが増えたりして、近ごろの食生活は充実している。


唐揚げに、そしてチキン南蛮も作ってみた
海外に居ても日本の調味料さえあれば日本ロスを大幅に軽減できるんじゃないかな。日本の調味料って偉大だ......。この自炊ブームを維持して、帰国までに料理上手になるという新たな目標を立てた。
次はどんなものを作ろうか?
つづく
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Utano Katayama
2000年生まれ、京都在住の大学生。自分探しも兼ねてイギリスのBrightonという海沿いの街に留学中。イギリスのカルチャー、世界観にますます惹き込まれている日々を綴った"As I Like It"をContainerにて連載中。自慢できることは何でも食べられること。食、アクション映画が好き。












































































