
London Calling! snap編
ロンドンで出会った古着ラバー20人のフィロソフィーを探る
Contributed by Chihiro Fukunaga
Trip / 2025.01.30
ロンドンにとって古着は、パンクやモッズ、ゴスなどのサブカルチャーとも共に発展した、歴史的・文化的な文脈も内包する自己表現の方法。昨今では環境問題への意識が高い人々が、サステナブルとファッションを両立できる選択肢として支持する一面もあるよう。中心街に近いShoreditchやCamden、Portbello Roadなどのエリアには、ビンテージショップやマーケットが点在する。
街ゆく人の装いに注目すると、トレンドに左右されないベーシックなアイテムをベースに、セカンドハンドで見つけたようなアイテムを上手くミックスさせているように見える。本人にとっては小さな選択の積み重ねかもしれないけれど、一つ一つに個性や主張が滲むそのスタイルは、見ているだけで飽きない。
今回はロンドンの古着マーケットの様子を、カメラを抱えてウォッチング。私が惹かれた古着ラバー20人を写した。

ト音記号や猫ちゃん、うさちゃん、あひるちゃん!心ときめくモチーフがちりばめられたスタイリングに、27歳の私の幼女心が疼く。ご本人の笑顔もキュートでした

季節を問わずに活躍するレザーのジャケットはロンドンの古着好きにとってキーアイテムで、みんなが着ている。そんな中で、レザーでありながらもスポーティーな印象のバイカージャケットを選んだ彼女は、新鮮に映りました

中国の出身だというふたり。左の方は水色と赤、アニマルモチーフのスカーフ&グローブと、大胆な合わせを自分のムードに巻き込んで楽しんでいる。右の方のような、インディーバイブス溢れるグラフィックのTシャツは私も大好き

オールブラックを素材違いで合わせていたこの方。レザーやサングラスのハードな印象が、インナーのボーダーで中和されています。そういえば私は、意外とボーダーのTシャツを持っていない。インナーとして持っていたら、こんな風に使えるだろうな

グレーにカーキ、ブラックと落ち着いた色味をベースに、シルエットでエッジを効かせていてカッコいい!昨年の夏によく見かけたハーフパンツのスタイルは、ブーツやタイツと合わせて秋冬も着られる。スクエアトゥのドレッシーなブーツが、ストリートの雰囲気も感じさせるパンツと良い関係を築いています

下まつ毛に赤いマスカラを塗ってポイントにしているのも素敵だった!ブリーチした眉と、黒いバラクラバ(なのか、タイトなフードつきのトップス?)が赤いマスカラをより際立たせていました

古着好きのファッションに注目していても、このムード人ってなかなかいない。ハンチング×フリルのブラウス×ウエストが絞られたダブルのジャケット、そして織りのスカートをセンタープレスのパンツにレイヤード。トレンドに左右されずに、自分のスタイルを貫く姿勢が素敵です

ハンチングからいくつもの細かい三つ編みを覗かせたヘアアレンジも独創的

彼女のスタイルも新鮮なギミックが盛りだくさんだった。オレンジと青の大胆な補色合わせ。スエットの上から太いベルトのエッジィなスカートを重ねている。首元のコードの結び方や頬に添えたニキビを隠す星のステッカー……見ている人をワクワクさせるスタイリング

売り場で気になったスノーブーツ。パフィーなシルエットを足元に持ってくる発想は自分になかったけど、上手く取り入れられたら面白いかも

ファーのコートとブラックデニムのカジュアルな組み合わせだけど、ヘアメイクや小物のチョイスにこの方らしさが出ている気がした。私も普遍的なアイテムを身につけても自分らしさを醸し出せるような人になりたい。美術館や本屋などのトートバックは、“固有名詞を身につける”ことができる手段の一つだし、コミュニケーションのきっかけにもなりうる

個人的にドストライクだったスタイリング!赤のギンガムチェックをストリートっぽい文脈で取り入れつつ、裾をスエードのブーツにインして意外性のあるシルエットにしている。ライムイエローの総柄Tシャツを裾から覗かせてポイントにしたさりげなさも含めて、何度も見返してしまうドタイプなコーディネート

そして、今この写真を見て気がついたけれど、グローブが左右で違う〜!!ディテールに注目することで、あれもこれもと本人のこだわりポイントが見つかるスタイリングは楽しい

バックグラウンドが全く予想できない、ユニークなグラフィックのトップス。なんとなく気になってシャッターを切りました

ビーニーにStussyのブルゾンと、ストリートなムードが漂うスタイリングだけど、スカート×レザーのブーツのオールブラック合わせで、シックに寄せているのがかわいい。真似したい!

ロンドンでファッションの勉強をしているという、日本人の彼女。英語で話して、後から日本人同士と分かる時ってすごく嬉しい!ミントグリーンのシューズを含む淡いトーン合わせが愛らしい。私は手癖で暗い色を選びがちだけど、彼女のような人に出会うと、ニュアンスカラー合わせも試してみたくなる

ロンドンは、カーキやブラウン、アイボリーなどのナチュラルな色味をベースにコーディネートを組んでいる人が多い気がする。そんなイメージから私はこのふたりからとてもロンドンらしさを感じた。右の方の膝丈カーゴパンツ×ホワイトソックス×革靴の合わせが新鮮

ユニークなバランス感!ビーニーとフードの帽子二つ重ね、そして揺れるブロンドがとてもかわいい。足元もチェックの膝丈スカートと、何と呼ぶのか分からない不思議なシェイプのブーツ。ぜひこの方のほかのコーディネートも見てみたいし、どういう文化から影響を受けているのかも気になる

Tシャツにジーンズ、キャップのカジュアルな合わせに、チェックのスカートを挟むととても新鮮に見える。(スカートは今日、こういう文脈で語るまでもないけど、やはり)ジェンダーの境界を自由に行き来する人たちの装いとアティチュードに惹かれてしまう

こちらも私が最近気になるアイテムの一つ。小学生の頃、雑誌の中のお姉さんが履いていて、憧れたスニーカーブーツのようなこの手のシューズを今、取り入れたい。レザー×スエードだから、トライしやすそう

眉上バングのふたり組!黒のコートとビンテージ風のバッグが共通しているからこそ、そのほかの差異が個性を際立たせている。ラインで目元を囲んだアイメイクや、ブラックのヘアカラーに馴染むタイトなニット帽などディテールもかわいい。この写真の“ラスボス”感、気に入っています

私がカメラを持って歩いていると、撮って撮って!と陽気に声をかけてくれたふたりは、自分に似合うものを知っているように見えた。ある意味、それが大人になるということなのかなと思う。左の方は日本の相撲が大好きで、今度試合を見に日本に行くそう
ロンドンで出会った魅力的な古着好きの人々は、自分のスタイルを確かに持っていた。スタイルは、ティーンエイジャーの頃に憧れた文化的なシーンに始まり、大人になって得た経験/学び/主張までの個人的な集大成であり、その人にしか作れないものだ。
当たり前と言えば当たり前だけど、つまり、自分の歴史をもっと信頼していいのだと思わされた。そうすれば、数多くある古着の選択肢の中でなにか運命的なものに出合えた時にも、迷わずに手に取ることができるはず。
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Chihiro Fukunaga
1997年生まれ、神奈川県横浜市出身。幼い頃から手描きの雑誌を作り、家庭内で発表する。高校生になると編集者を職業として意識し始め、大学在学中に編集プロダクションに所属。その後、INFASパブリケーションズに入社し、ファッションメディア「WWDJAPAN」の編集部に編集記者として参加する。2024年春に渡英し、フリーランスの編集者・ライターとなる。ルポルタージュやスナップが好き。美しいだけでないリアルや、多様な価値観に迫りたい。












































































