Mimu Note #3

走りたいから走っているだけ。

Photo & Text: Mutsumi Mimura

Trip / 2018.06.25

ラスベガスをでてしばらく走ったら、アリゾナ州に入る。

ルート66ではおなじみのセリグマンで一度車を停めた。



ルート66を復興させたエンジェルおじいさんの床屋(現在はお土産屋)に寄ってルートビアを買った。

いつからかエンジェルおじいさんは昼寝に忙しく、あまり姿を見せなくなったらしい。
2年ぶりくらいに来てみたらおじいさんのパネルが立っていた。
元気なんだろうか。



そして目的地のフラッグスタッフに到着。
フラッグスタッフはとても優しい街で初めてきた時から大好きになった場所。
恐怖と緊張が続いていたので、この街で少し休もうと決めていた。

小さな街だけど、とても綺麗でリベラルな楽しい街。

ここに来たら必ず行くお菓子屋でおきまりのジェラートを買って広場で食べる。
さて、何をしよう。
気になるカフェがたくさんあったので色々と行ってみることにした。



その中で最も衝撃的だったのは、ビーガンカフェで食べたフォーだった。
「フォーの要素ゼロ」のフォーを食べて、日本から遠く離れた異国にいることを実感した。

フラッグスタッフには3泊した。
特にやることはないけど、この街を離れるのは名残惜しい。やっぱり好きな街。

フラッグスタッフから山を1時間程下ればセドナに着く。

セドナは私にとって特別な場所。
アメリカという場所の強烈な印象を私に与えたのは、
ロサンゼルスでもニューヨークでもなく、セドナだった。

パワースポットのイメージが強いけど、スピリチュアル的なことは私にはよく分からない。
ここに住む友人はいつも私に、インディアンの話をしてくれた。

「インディアンたちは、本当に大切なことを知っているんだよ」と。

それを知っている人たちが集まっているからなのかよく分からないけれど、とにかく、ここの空は特別な気がしている。



セドナに来たら必ず登るカセドラルロックに登った。
一人で登るのは初めて。登頂まで1時間くらい。わりとキツイ。

どうかロードトリップが無事に終わりますようにと願いながら登った。

初めて登った時にも道を間違えたけれど、今回もやっぱり間違えて茂みに入って転んだ。

赤土の岩山を一歩一歩、サボテンを踏まないように気をつけて登っていく。

なんとか頂上に着いた途端、一気に世界が広がる。
山の上なのに、ここにはいつも温かくて優しい風が吹いている。



滞在中、コットンウッドやジェロームという小さな街にも遊びに行った。

ここまではなんとなく知っている場所だったけど、この先は未知。先に進むのがすごく怖かった。
楽しくてずっとここでダラダラしたい気分だけど、そろそろ次を目指さないと。

考えた結果、
「モニュメントバレーに行きたい!」
「しかも夕日も星空も朝日も見たい!」
ってことでいきなりモニュメントバレーでキャンプすることに決めた。

急いで車を走らせて、ウォルマートで24ドル(安!)でテントをゲット!

インディアンのジュエリーショップにちゃっかり寄り道しながらも、ギリギリ陽が沈む前にモニュメントバレーに到着。

着いて早速、生まれて初めてのテントの組み立て。
この辺りでそろそろくじけて泣くかと思っていたけど、意外とすんなり組み立ててしまった。
ちょっと自分に自信がついた……。



陽が沈んで行くのを見届けて、すぐに就寝した。

夜中、風の音がうるさくて目が覚めて、テントの外に出たら星があまりにも綺麗で驚いた。人生で1番の星空だった。



次の日も夜明け前に起きて、しっかり朝日を拝んだ。

ずっと遠くに感じていた憧れの景色を、毎日こんなにテンポよく目にすることができるなんて、なんだか全部嘘みたいな気がしてくる。



次の場所に向かう途中で、映画『フォレスト・ガンプ』に登場する場所を通った。

3年間走り続けてアメリカを横断していたフォレストが、「ただ走りたいから走っているだけ」と言っていたシーンを思い出して、勝手に親近感が湧いてきた。

「観たい景色がたくさんあり過ぎるから、全部まとめてロードトリップしているだけ」
なんて、やっぱりおかしな話なんだろうか。

強引に自分をフォレスト・ガンプに当てはめて、次の目的地へと車を走らせた。


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