Ending of my new Life…

Beginning of my new Life #55

Ending of my new Life…

Contributed by Asuka Naka

Trip / 2025.03.24

『とにかく旅をするのが好き!』高校生の時に初めて訪れたインドがトラベラーへのきっかけだった。多くの国を旅する好奇心旺盛な彼女だからこそ感じる面白さと発見。出会いと出来事を振り返りながら綴るAsuka Nakaさんの旅日記。

番外編として高校生の頃に訪れたアメリカでの交換留学の様子をお届け中。



私の留学生活もついに終わりを迎えた。帰国日を楽しみにしていたと同時にその日が近づいていくことが怖かった。日本の家族や友達に会える喜びと、今あるこのアメリカでの友達や家族との別れ。とても複雑な気持ちでいた。しかし時間の流れには逆らえない。帰る日までにホストマザーの友達やファミリーみんなが会いに来てくれてハグしてお別れをした。前日の夜はいつも通りソファでNetflixの映画をホストファミリー3人で観て、少し夜更かししてベッドに入る。帰ったら何をしようかな、親にはどんな経験を伝えようかな、1年分の思い出なんて伝わりきらないだろうな。でも素晴らしい留学経験だったな。







翌る日、朝起きて荷造りしたスーツケースを持ってリビングに降りる。私が荷造りをするのもお土産を買うのも見守っていてくれたホストマザー。いつも“帰らなくてもいいのよ?“と声をかけてくれていた。冗談半分に流していたが、当日になれば帰らなくてもいいなら帰りたくないかもなんて思ったりもした。寂しいモードのままホストファザーの車に乗って空港へ向かう。ホストファザーの車に乗れば毎度コーヒーロッジのカフェでドライブスルーするのがお決まり。これも最後か、なんて思いながら緊張と色々な気持ちが込み上げて吐きそうな気分であった。

空港に着いてチェックインをするのだが、私はギターを二個持っていたため超過料金を支払うこととなった。帰りはシアトル乗り換え。そしてミユと合流した。渡米を一緒にしたメイトのミユ、帰りも一緒だ。セキュリティに向かう時間になればそこでホストファミリーとお別れになる。この一年間毎日顔を合わせていたファミリーと次いつ会えるかわからないお別れなんて、どうしていいのかもわからなかった。私の拙い言葉で感謝を伝える。でも伝えきれないのがわかっていたから、こっそりお家の私の部屋にお手紙を置いてきていた。ハグをしてお別れをしようとするとホストマザーは涙目だった。私はとても複雑な気持ちでいた。母国に久しぶりに帰るのは楽しみだけれど、同時にアメリカ生活が終わる。想像もつかなかった。毎日が必死で、濃厚で、この一年を乗り越えられると思ってもいなかった。ひたすらに毎日を生きていたら終わりの時間になった。

留学仲間の中にはアメリカに残るという選択肢を選んだ子も何人かいた。しかし私は日本の高校を卒業するのが条件で留学を許された身、帰る以外に選択肢はなかった。今となってはあそこで日本の高校を卒業したことへの価値は見出せていない。ただアメリカに残っていればまた違う人生があって、日本に帰った自分の人生は今の私に繋がっていたわけだ。どちらも間違っていないと思う。



飛行機に乗ると日本に帰っている現実が受け入れ難かった。何度も日本に帰りたいと思い夢に見たこの景色。いざとなると不安で仕方がない。そしてアメリカに渡ってきた飛行機を思い出す。大泣きだった。これからの生活が想像できなくて不安だった。帰りでも同じ状況だった。でもきっと不安を乗り越えてこそ何か新しいものが見えたり得られたりするのだろう。


シアトルに着くと飛行機が遅れていたためにダッシュでトランジットをした。最後に何かアメリカンな食べ物を食べたかったが、そんな時間もなく最後の乗客として乗り込んだ。日本行きの飛行機に乗ることはこの一年でなかったために色々なことに驚いた。キャビンアテンダントの方が日本人だったり、映画に日本語のものがあったり、一気に日本語が通じる世界になった。リクライニングシートを下げていると、後ろに座るマダムにちょっと上げてもらえる? と言われ、言われるがままに少しシートを上げた。すると日本人のキャビンアテンダントの方が来て「いいのよ、下げて」といってくれた。あなたにはこれを使う権利があるのだから。まさにアメリカのエアラインであった。言われるがままになるな、自分のために立ち上がれ、そういうふうな感じに私には聞こえて涙が出てきた。まだまだ弱っちい自分に対してと、アメリカを離れる寂しさと、これからの不安と、色々が混ざっていた涙だったと思う。

日本に着けば母がゲートで待っていることになっていたので緊張しながら急いで向かう。成長が伝わるかな、留学行った意味があったって証明できるかな、とドキドキしていた。ゲートを出るとそこには行きに見送りに来ていた友達2人と母がいた。一気に安心感が溢れ、涙が出た。涙を流してばかりの私の帰国だった。



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