
As I Like It #41
シンプルが幸せ
Contributed by Utano Katayama
Trip / 2025.03.10
#41
まだ11月に入ったばかりだというのに、イギリスの街はなんだか忙しない。
その理由はあちこちのお店が我先にとでも言うように、クリスマス仕様に模様替えをしているからだと思うけど、クリスマスが好きな私は心の中で小さなスキップをするほど内心嬉しい。
スーパーでもクリスマス用のチョコレートやフードたちが一角を占めているし、どれも可愛くて欲しくなっちゃうなぁ。

徐々にクリスマスカラーに染まっていく街と共に、私の心も高まって、寒い外とは対照的にぽかぽか暖かい。
でも、12月頃から本格的なクリスマスムードが漂いはじめる日本に慣れているから、心の準備はまだまだ追いつかないんだけどね。

入り口のオーナメントに惹きつけられて店内に入ると、かわいいサンタやトナカイにも巡り会えた。
寒い冬に赤色って何だかいい。ほんの少しでも気持ちが温かくなる気がするよね。
最近は、シンプルだけど幸せな毎日を送れている。
やっぱり冬は雨が多いからちょっぴり憂鬱だったけれど、今となってはこの気候に完全に慣れたし、雨の日も趣があって好きになれた。
むしろ雨が多いから、晴れている時間が少しでもあるとそれだけで1日がハッピーになるし、何より太陽のぬくもりも感じられる。ヨーロッパの人は日が短くて太陽を浴びる時間が十分に取れないから、ビタミンのサプリを飲んでいる人が多い。ビタミンDは日光を浴びることによって体内で合成できるから、ということらしい。私の周りでも飲んでいる人はいたけれど、私はぜんぜん無くても過ごせる具合だった。

この日も窓を打ちつけるような雨が降っていた。たらたらと窓の雨が垂れていく様子を眺めていると、何だかひとつの油絵の作品のように見える(最近ゴッホの絵を見たから?)
そんなことを考えながら少し退屈な授業を終えた。
帰りに友人のシャタと行きつけ(小さなキッチンカー)のクレープを食べる。
ここのバナナ×ヌテラチョコの組み合わせが最高なんだって、彼女がずっと前に教えてくれた。ヌテラに馴染みがなかった私は、言われるがまま彼女と同じメニューをオーダーして、今ではすっかりヌテラファン。この甘ーいもったりとしたチョコクリーム、知らない方が良かった気がする。罪だけどまた食べたくなる味。

今日ももちろんヌテラチョコ先輩に従う
雨の中食べるクレープってこんなにも美味しいんだ。出来立てほかほかのクレープは口の中で溶けて、冷えた体にいつもより染みる。
日本のホイップたっぷりのクレープも好きだけど、今は薄っぺらいクレープの方が食べやすくて好きかもしれない。これももちろんシャタのおかげ。

ブライトンミュージアム
やっぱり、雨の後の晴れは、人も街もキラキラしている! 心なしか、いつも通りすがる何とも思っていなかったブライトンミュージアムも、いつもより綺麗に見えて写真に収めた。

一輪車に乗って通勤か通学をする彼も、たぶん晴れを心待ちにしていたに違いないよね
そのまま軽い足取りでいつも通っているJubilee libraryへと向かう。光が燦々と降り注ぐ窓際のカウンター席が一番の特等席。
開放感があるし、探しきれない程の本たちに囲まれると、何かと捗って勉強や作業ができる。周りには高校生や大学生が沢山いて、少し本を読みに行っただけでもすごく勉強した気持ちになるから、何だか不思議と頑張った気分になれる。もしかすると、私だけかもしれないけれど(笑)。

1人の時間も大切だけれど、誰かと話す時間も同じくらい、それ以上に大切にしたいな


クラスメイトの友人を誘ってカフェに
友人は、元々スイスでシェフとして働いていたけど、休みを取ってイギリスで勉強することにしたんだって。ネイルをいつもしているおしゃれさんだからか、イギリスのアートやカルチャーも好きみたい。美術館やおすすめの場所などたくさん教えてもらった。もちろんシェフだからお料理のことも。
シェフになるまでの専門学校のことや、フレンチで最も大切な盛り付けのことを語ってくれたけど、まだまだ料理未熟者の私には少し難しかった。結局、「いつかお店に食べに行かせてね」ということが、強いて言うなら今日のヘッドライン、私なりのまとめだ。
何でもない素朴な毎日も、天気や色々な景色、誰かとの会話で、まるで贅沢な1日に変わる。
海外でしてみたかったことは、こんな毎日の何気ない生活だったのかもしれないな。
日本にいると、忙しさで小さなことに目を向けることすら忘れてしまうから、シンプルな日々も時には必要なんだってことに気づく。

1人の時間も、誰かと過ごせる時間も、大切にしよう☺︎

新たな日の幕開け。今日もいい一日になりますように。
つづく。
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Utano Katayama
2000年生まれ、京都在住の大学生。自分探しも兼ねてイギリスのBrightonという海沿いの街に留学中。イギリスのカルチャー、世界観にますます惹き込まれている日々を綴った"As I Like It"をContainerにて連載中。自慢できることは何でも食べられること。食、アクション映画が好き。









































































































































