初めてのクリスマスマーケット

As I Like It #42

初めてのクリスマスマーケット

Contributed by Utano Katayama

Trip / 2025.03.17

子供の頃から漠然と「海外に留学したい」と考えていたUtano Katayamaさん。そんな彼女が綴るイギリス、Brightonでの留学日記。憧れの海外生活をスタートした彼女の、小さいけれどずっと大切にし続けたい思い出。

#42


今日もいつもと変わらず目覚ましのアラーム音で起きる朝。
ここ最近、朝がすごく冷えるようになってからというもの、なかなかベッドから起き上がれない。というより布団から出たくない病にかかっている。

少し布団の中でぐずぐずと引っ張って、何とかして顔を洗いに行く。私の部屋は2階にあるんだけど、ドアを開けると向かって正面の部屋に洗面台とトイレがあるから、これは本当に助かるところ。
わざわざ一階へ降りる手間がなくて済むのは、面倒くさがりな性格からすると本当にありがたい。

蛇口を捻ってしばらくそのままにしてから顔を洗う。水が冷たすぎて朝から凍りつく大惨事になることを防ぐため。
イギリスの家は日本の家よりも心なしか冷え切っている気がするから、もちろん水も比例して冷たい。そのついでに歯を磨くと、それを終える頃にはだんだんと目が覚めてくる。


準備を全て済ませて、バスまでの時間が余れば朝ごはんを食べに1階へ降りる。
階段を降りてから、リビングのドアを開けて、アニータ(ハウスメイト)に挨拶してからキッチンへ向かう。いつも「おはよう〜!」と言うけれど、アニータが前日に遅くまで飲んでいた日は昼くらいまで寝ているから反応がない。
パパッとシリアルでお腹を満たして学校へ向かう。


かわいい制服姿で登下校する子たちを見送って、私も遅れないように早足で歩く



お昼は近くのベーカリーでチョコレート入りのパンをゲットして軽く済ませた


ランチ選びは日によってまちまち。
友人とカフェで勉強しながら食べる日もあれば、がっつりレストランへ行く日もある。
他にもハンバーガーやブリトーをテイクアウトする時もあるけど、混んでいると昼からの授業がギリギリになってしまうから簡単に済ませるほうが内心好きだ。


午後の授業が終わって、ちょうど夕焼けの時間。サンセットを見るために近くのビーチにやって来た。
太陽の沈む先にちょうど雲があって、真っ赤に染まった太陽を隠してしまった。


その代わりに、不思議とみんな同じ方向を向いた、何だかかわいい形の雲を見ることができた


実はこの後、クラスのみんなと事前に決めていた、すごく楽しみな予定がある。

まずは行きつけのタイ料理のレストランに集合。このメンバーでも何回も来ているくらい、みんな大好きな味。
友達のお家に来ているような、どこか懐かしくて落ち着く感覚になるのも好きなところ。お店の店員さんもフラットで話しやすくて、大好きなんだ〜。


この日はグリーンカレーにした


ココナッツのまろやかな香りが鼻まで抜けて、最後に少しだけピリッとする辛さが堪らない。
甘いのと辛いのが不思議と調和しているのがグリーンカレーの魅力だよね。少しパサついたタイ米も、案外日本のモチッとしたお米よりも軽く食べられてお気に入り。
話に花を咲かせてゆっくりとくつろいだ後は、やっとのお楽しみ。それは「クリスマスマーケット」へ行くこと。クリスマスマーケット設営準備の段階から、学校の行き帰りのバスで窓から覗いて見ていたんだ。入り口に大きな観覧車が立っているのも、もちろん完成前から知っている。マーケットが開かれてすぐに、クラスのみんなと行くことになった。窓から見ていた景色を間近で見られるなんて、今日はなんて良い日なんだろう。


ブライトンの街もクリスマスのイルミネーションが徐々に増えてきた


キラキラと輝く大きな観覧車を横目に入り口のゲートをくぐると、真っ赤な絨毯に煌びやかな装飾たち、ずっと先まで続くかわいいお店たちに心が舞い上がる。一気に夢の世界に飛び込んだみたい。
私にとって海外で初めてのクリスマスマーケット。何となく想像はしていたけれど、やっぱりバスから見ていた景色とは全く違う光景が目の前に広がっている。


キャンドルホルダーのお店


小さな屋台が両サイドにずっと続いていて、どれもクリスマスに関係するものばかり。
入り口にあったキャンドルホルダーのお店は、所狭しとキャンドルが並べられている。蝋燭の熱でくるくると回る度にきらきらと輝いて、これ以上なくロマンチックなムードで私たちを迎え入れてくれた。


チョコレートのお店。中に大きなマシュマロが入っているみたい


チョコレートのお店だけでも何種類もあって、甘い香りが辺りに漂う。
種類ごとにピラミッドみたいに積み上がったチョコレートは、何だか崩すのが勿体無いくらい綺麗にそびえ立っている。





ひと通りお店を見て回って辿り着いた先は、ユニークな帽子屋さん。寒い中ふかふかのファーの帽子を被れてご機嫌な様子。
フードの屋台やキッチンカーからはぷんぷんといい匂いが漂っていたけれど、タイ料理がまだまだお腹に溜まっていた私たちは結局何も食べずにゲートをくぐる。



帰り道煌びやかな道を歩きながら、さっきのマーケットに思いを馳せる。

本当は甘〜い香りに誘われてホットチョコレートが飲みたかったんだけど、それは次回のお楽しみにとっておいた。近いからまたすぐにフラッと寄ろう、と言い聞かせて、この日は家へと帰ることに。

これからの本格的なクリスマスシーズンが待ち遠しい。せっかくだから色々なところへ行って、沢山のものに触れよう。
年末までの、またひとつ小さな目標ができた。


つづく。



アーカイブはこちら

Tag

Writer