
mind of novice on a moment to moment #5
At the gun range
Contributed by Mikito Hyakuno
Trip / 2025.03.14
#5
ピナクルズを降りた後、ソレダートという街に到着した。Cucuyos Restaurantという名のメキシカン料理屋に寄って昼食を取ろうとしたところ、ザ・アメリカンな富裕層ぽいマダム達が、店の中でカードゲームをして遊んでいた。店員さんはオルチャタをパンパンに入れてくれた。最高なのだけど、なんだかすごく社会を感じた瞬間だった。アメリカの旅では、小規模な街ほど保守的な社会構造がいまだに根強く残っていることを体感する。カードゲームのイベントだったのかなんだったのか真相は知らないからなんとも言えないが、横柄に盛り上がっていたからか、フードの待ち時間は気分が良くはなかった。


店のトイレにはernest hemingwayの詩やf.scott fitzgerald短文が飾ってあったり。結局ハイクで時間も伸びたもんだったから、次に進むべくテイクアウトして向かうことに。
夕方のBig Sur合流まであと4時間ほど。
その前に、今回の自分の中の大きな出来事として、この国で射撃体験をした話をしよう。

遡ること旅の前、みんなで前夜祭をした日の深夜。その日は準備のせいか、寝床の場所がなくケイシーの布団で寝ることになっていた。その時「幹人にも是非体験して欲しいのだ」という熱意ある話をされ、布団の下から現物を見せてくれた。
その熱意あった話と何故彼が持っているかの背景として、ケイシーの父親はアメリカ人で昔ながらの風習として一家には必ず銃を持つという考えだった。銃社会の防衛として男は銃を扱えなければならないというある種の考え方が存在しているのだ。ケイシーは父親とダウンタウンの方にもあるガンシューティング場で練習を何度かしていたそう。その体験をアメリカに来ているなら、幹人とタイコウにも是非やって欲しいと話してくれた。俺は是非やるタイミングあったらやろうと伝えたが、タイコウはちょっといいかなと。そんな中、合流する前のソレダートの近くにシューティング場があると知った僕らは、2人で訪れることにした。

場所の名前は〈The Range〉という場所。ここでは銃と弾は持ち込みで、場所借りをしてシューティングするところだ。使用前に契約書を記入し、場所代を支払い、案内してもらう。かなり荒野の中にあるところだから敷地も広かった。すると突然ライフル射撃の音が場内に響く。真っ直ぐ立てず、少し前傾姿勢になってしまい音にも構えてしまう。

早速ケイシーのお手本。彼は父から教わっているので僕に教えてくれた。僕らはグロッグなので、耳栓ヘッドホンをつけなくても大丈夫かなと思い、テストしたところ壁から挟まれた音は破裂音より大きく、人生で聞いた強烈なスピーカー音よりもでかく感じた。そして数分程正常に耳が聞こえなかった。以降はヘッドホンをつけてやるも、それでも大きな銃声音であった。そして初めて握った感じの感触はとても重く、筋が凍ってしまった。やはりどうしても力んでしまう。玉を入れるのもコツが必要で不慣れな手順に戸惑った。何せ、これは的に撃っているけれども向けるものを間違えれば……といろんな考えがめぐる。



何度か銃弾練習しているうちにかなり慣れてきて、そこそこスムーズに連射できるようになり、的にも数回は当てることができた。慣れることにより肩の力が抜けて判断が鈍らなくなるだろう。この感覚は緊張した時と同じで、精神状態をまず俯瞰して見つめコントロールできるようになってから力が発揮できることなのだなと思った。そういった教訓にもつながったし、この荒野に響く音は忘れない。日本にいたらできない貴重な体験をすることができた。

特に何事もなく、無事にシューティングを終え、残りの2時間ほど僕らは車を走らせた。

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Mikito Hyakuno
2000年生まれ、湘南辻堂出身。体現写真を自身の主題とし、製作や撮影業務の傍、パブリッシャーBong Sadhuを共同運営し、国内外の展示やアートイベントを行う。またDJコレクティブ Million Dollar Soundsのメンバーでもあり、活動は多岐に渡る。 2025年春にフォトグラファーとして独立。










































































































































