
FIND YOUR OWN #20
life goes on!
Contributed by KYOKO
Trip / 2025.03.25
2022年の年末、ニュージーランドからすべてがはじまった。暮らすように旅をするKYOKOさんが教えてくれる、「無期限無計画旅」のススメ。
#20
この旅のフィナーレにふさわしい場所へ今から向かう。
ニュージーランドの北島最高峰の山「トンガリロ」へ。
予定はまったく決めず、「直感と流れ」に身を委ねようというのが今回の旅の醍醐味だったので、何も決めずにここまでの旅を過ごしていたけれど、とうとう終盤に差し掛かった。ニュージーランドに着いた当初は、1ヶ月くらいかな〜なんてざっくり思っていた。そしたらびっくり、3ヶ月(観光ビザが切れるまで)しっかり滞在して最後の最後まで大満喫。
タウポにて必要な物を買い出しして、トンガリロ付近のキャンプサイトで1泊する。
キャンプサイト付近の指定されたバス停からバスに乗って登山口まで向かうので、キャンプサイトとバスのチケットは必ず自前で予約しておく必要がある。
キャンプサイトに到着。真夏なのに、朝晩は真冬のように寒い。あたたかいシャワーを浴びて明日のために早く就寝。

いつかのランチ
サンドイッチにチップスをサンドするスタイルなかなか美味しいよ!
朝5時、まだ外は真っ暗だし極寒。着込んだけど寒いな〜。指定されたバス停に向かい、バスに乗り込むと席はほぼ満席になっていた。ハイシーズンということもあって、多くの人が登山をしにここを訪れに来ている模様。バスに揺られること約30分、登山口へと到着した。

ニュージーランド北島で1番高い山。
ここから19.4kmのハイキングがはじまる!「登りたい!!!」と張り切ってはいたものの、目の前にすると本当に大丈夫かな? と弱音が出る。富士山を登ったことがあったので、全くの経験がないわけではなかったけど久しぶりの本格的な登山なので少し緊張。天気に恵まれたことはとてもありがたい。自然の中でのアクティビティは天候が付きもので、今回も天気予報を見て「この日なら良さそう!」とこの日に合わせた。

まずは普通のハイキングコースのように平坦な道が続く

平坦かと思っていたらハードな道になってきた。岩場が多くて歩きづらい


今まで見てきたニュージーランドの自然とはまた違って、違う惑星に来たかのような異空間が広がる。とにかく壮大で自然のパワーも凄い。どんどん変わっていく景色。


上り坂が続いていたので少し疲れてきたわたしとは逆に、サクサク登っていくキャム。
往復19.4kmの登山中、キャムとわたしはほとんど喋らず各々の時間を過ごした。話していると息が上がるので、わたしは体力温存の為に知らぬ間に無言になっていたみたい。
だんだん酸素が薄くなり、疲れも出てたので歩くスピードが遅くなるわたし。キャムはどんどん進んでいくのでだいぶ距離が出来た。「もう無理かも〜!」と、なんでトンガリロに登りたい! なんて提案したんだろうと思ったりもした。
そんな時、だいぶ先を進むキャムがわたしを待っていた。バッグからドロップキャンディーを出して「朝ご飯ちゃんと食べてないからエネルギー不足なんだよ。この飴とバナナ食べたらまた元気になるから!」と差し出してくれた。「ありがとう、でもお腹空いてない。食べる気分でもない」なんて心の声は言えず、ありがたく貰った。
たくさん水分補給もして、1番キツいであろう上り坂を頑張って這い上がる。この登山でのTOP地点へ無事に到着。そして見えたこの景色。

この景色が見たかった!
写真で見たこのエメラルドグリーンの湖。実際に自分の目で見てみると、神秘的すぎて感動した。なんでこんなに綺麗な色をしてるの? しかもこんな山の上! わたしはよく写真を見て、ここに行ってみたい! と思うことが多い。そう思ったらそれを引き寄せる。口に出したり、行動する。今回のニュージーランドの旅を振り返ると、たくさんwish listをクリアした。
諦めずに頑張って登ってきた甲斐があると心から思った瞬間。

ちゃっかり記念撮影!
指先がかじかむくらい寒かった。
出発当初は青空も見え、お天気も良好だったけど「山の天気は変わりやすい」とよく言うように山頂に着く頃には霧が出てきて、雨も若干降っていた。それでもラッキーなことに、このエメラルドグリーンの湖は顔を出してくれた。この景色を目に焼き付けて、ここからは下り坂。一気に下って行く。

まるで違う惑星
数分前まで自分があそこに居たなんて信じられない。
ニュージーランドのキッズ達はワイルド。大きなリュックを背負って楽しそうに登山していた。授業の一環か何からしい。わたしも小さい頃に、学校の授業で登山することが多々あったけどこのレベルはなかった。さすがニュージーランド!

この日は3月22日。新月だった。
新月はわたしにとって「新しい事をスタートさせる」だったり「NEW」というキーワードがテーマ。
数日前に行ったブルースプリングの透き通った空気を胸いっぱいに吸いながらハイキングした後、ゆで卵がトゥルッと剥けたような爽快な感覚になった。そして19.4kmの登山中、無言で歩きながら色々なことを考えた。いいメディテーションだった。
ここ数年、心の奥に「何か」が引っ掛かっている感覚がした。その「何か」がスーッと流れたらわたしの心はもっとスッキリするのになぁ、とそれこそ今回のニュージーランドの旅中何度も感じていた。
この登山をきっかけに、自分の深いところまで自問自答して、その「何か」を探ってみた。(壮大な自然とこの景色が、無意識にわたしをこういった思考へ導いてくれたらしい)
自分へのコンプレックス、トラウマ、ハートブレイク、未来の不安、出てくることはなかなかネガティブな想いばかりだった。約3年間、国内から出れず、日本に閉じこもっていたので私の心も閉じてしまったのであろうか。日本を飛び出して見る新しい景色、経験、出逢い、そして「今」居るこの場所。こんな景色が世界には存在するんだな〜地球は広いし、わたしのネガティブな悩みなんてちっぽけに感じた。「昔」で時が止まってしまった古い気持ち、この「古い気持ち」をlet goしないと! と、ハッと気付いた。
「今」の自分は心から幸せで、満たされているのに、昔の自分が邪魔するなんてもったいない。わたしのこの気持ちなんて地球は知ったこっちゃないというように今日も普通に周り続けているんだから。
「物事において執着するのはやめよう」と心から思えた。昔に執着していて、今を見失っていたなぁって。コンプレックスもトラウマも、自分次第でどうにだってなるし、ハートブレイクした気持ちも終わってしまったことなんだから引きずってもしかたがない。未来の不安も、「今」さえ全力&幸せに生きていればきっとこのポジティブなマインドが続くはず。life goes on!
ニュージーランドのパワーがわたしをポジティブなエネルギーでいっぱいに包みこんでくれた!! OLDな自分からNEWな自分に生まれ変わった気分。自分の中で答えが見えた、というか落とし込めて、突っかかってた「何か」がスーッと流れた。カラダはガチガチに疲れていたけど、わたしの心は軽い!I'm in a really good mood♥

いっぱい助けてくれてありがとう、キャム!

ここを下っていく
平均8時間かかる登山を、わたしたちはなんと6時間45分でフィニッシュ!
最後の最後で、トンガリロというニュージーランド北島最高峰の山を登山したことは、わたしにとってかなりmean to beであり、人生においてスペシャルな経験となった。自然に囲まれて、無心で歩き続けた6時間45分。途中、本当に辛くて諦めたくもなったけどやり切った爽快感。あの山を歩き切ったんだ! とさっきまで登っていたトンガリロを背に、また一つ成長した自分がいた。
日本にいる自分よりも、海外にいる自分が好き。
学びも多いし、自分が自分らしい状態でいられる。
そんなことをこの登山中に思った。

目の前に見えたトンガリロ山が、今度は背後に見える
駐車場に無事辿り着いた。
さっきまであんなに寒かった体はいつの間にかポカポカになり、なんなら汗までかいていたのでサッと着替えて裸足になった。終わった〜!!! 少し休憩して、タウポへ戻ることにした。長い登山明けなのに運転ありがとうキャム。
登山で疲れ果てたわたし達の夕飯は、楽ちんにできる「ミーゴレンに目玉焼きトッピング」。簡単に作れるのにこれがいつでも美味しい!!
わたしはとうとう、明日の便でニュージーランドを離れる。今夜は前回お世話になったフリーキャンプサイトに泊まる事にした。

トイレはコンポストトイレ
自然の中での生活、不便なバンライフとも明日でお別れ。
翌朝、川へ泳ぎに行くことにした。
川で泳ぐ = シャワー(お風呂)代わり
タウポ付近は、ロトルア同様に温泉地なので自然と温水が湧き上がる場所がある。


この透き通った川で泳いでから、横にある温泉でカラダを温める。幸せを通り越してまるで天国。しかもこれがタダ。無料の自然温泉というわけです。ニュージーランドって本当にすごい!!! 最後までたくさん楽しませてもらった。
「Spa Thermal Park」
タウポへ行ったらここが1番オススメかもしれない。


キャムのバンとお別れ。楽しかったバンライフをありがとう!
川で思いっきり泳いで、温泉でカラダも温まり、スッキリさっぱりした。これでもうニュージーランドに思い残すことはない! というくらい楽しみ切ったので、次の旅に出る心の準備が出来てワクワクしてきた!
キャムへ感謝の気持ちを込めてギューッとハグをしてバイバイした。
オークランド空港行きのバスに乗り、空港へ向かう。
ニュージーランドからオーストラリアへ。
3年ぶりのオーストラリア。
心が満たされる、「居心地のいい場所」と思えるところはオーストラリアのどこかにあると確信したので、今からそこを探しに行く。ニュージーランドでの3ヶ月の旅のおかげで確信できたこの直感と気持ちだから、本当に意味のある3ヶ月間だった。ノープランでスタートしたニュージーランドの旅もこれにて終了。
FIND YOUR OWN
自分をたくさん見つけられた旅だった。
色々な感情と向き合ったな〜
新しい経験いっぱいしたな〜
たくさん泣いてたくさん笑ったな〜
新しい出逢いも多かったな〜
そんなことを思いながら飛行機の窓から外を見ると、こんなに綺麗な朝焼けが。

どんどんどんどん綺麗に焼けていく朝焼け。
新しい旅へ送り出してくれているようだった。
これからまた新しい旅が始まる。
でも、わたしが探してる場所はすぐそこにある気がしていた。
ニュージーランド、たくさんの思い出をありがとう!
おわり
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KYOKO
東京生まれ東京育ち。自分に合った心地良い生活を送るためにたどり着いたオーストラリアのビーチタウン。自然と調和しながら太陽をいっぱい浴びスローライフを送るなか、旅や人生のなかで見つけた学びや経験をシェアしたい! と思うようになり文章を綴る。人生楽しむ! がモットー。










































































































































