ただシンプルに生きる。バカンスを待ち望んで。

Vive les vacances ! ~Time to spare Heart to spare~ #40

ただシンプルに生きる。バカンスを待ち望んで。

Contributed by Mizuki

Trip / 2025.03.31

Vive les vacation!=“バカンス万歳!”
バカンスを生きがいにし、「暮らし」や「人生」に豊かさを求めるフランス人の生活を表す言葉。そんなフランスに留学中の大学生Mizukiさんが、現地から仕事やお金に執着せず、日々の生活をどう楽しむか、豊かな暮らしを送るヒントをシェア。


#40


フランスと聞くとどんなイメージを思い浮かべる?

フランスに行く前の自分は「オシャレ」や「ゴージャス」など、とにかく「ファンシー」なイメージを抱いていた。実際フランスにはヴェルサイユ宮殿などの豪華な歴史的建造物が多く、シャネルにヴィトン、エルメスなどのハイブランドが揃うファッションの聖地としても有名だ。



しかし実際の生活はどうかと言うと、いたってシンプルで「ゴージャス」なイメージとはほど遠い「質素」なものだった。

というのも、フランス人は買い物が大嫌いだから。(マルシェでの買い物は別物だが)

食材などの日用品はともかく、洋服など、彼らで言う「買わなくても生活に困らない」ものに対してのパッションは相当低い。私のホストマザーはショッピングセンターに入るといつも早歩きで、メモに書いた必要なものだけを揃えてさっさと帰っていた。



「でも、フランス人ってオシャレなんでしょ?」

確かに、雑誌など多くのメディアでは「パリジャン/パリジェンヌのオシャレスナップ」と言うような内容でよくフランス人の格好が取り上げられている。そして私もフランス人を「オシャレ」だと思ってる。でもその理由は服をたくさん持っているからではなく、着こなし上手だからである。言い換えると、必要最低限のものでの着回しや、自分の「似合う」を知っているからである。

また良いものをお手頃に見つけるのもポイント。ここで言う「良いもの」とは長い目で見て価値のあるもの。だから普段服にお金をかけないフランス人でさえも価値があるものとされれば大金も惜しまない。その代わりそれをとことん着こなす。最近はリーゾナブルな価格で運命を見つける “Friperie”(フリプリ=古着)が若者内では主流で、宝探しを制したものこそがオシャレさんなのだ。

この例から「フランス人ってケチなの?」と思うかもしれない。

実はそんな彼らでもあるものには相当太っ腹。

それはもちろんバカンス!



バカンス大国と呼ばれるフランスだが、基本的に5〜6週間の休みがあり、会社によっては7、8週間になることも。それに加えて祝日やクリスマス休暇など、とにかく休みが多いフランスだが、それがまさにフランス人にとって必要不可欠なもの。

フランスのバカンスは「休息」そのものであって、仕事や勉強など現実から離れ心と身体をリセットするためのまとまった期間のことを指す。だから旅先でもゆったり過ごすのがポイント。なぜならタイトなスケジュールで動いていてはバカンス本来の意味がなくなってしまうから。私はホストファミリーとのバカンスでひと街につき最低は1週間滞在するというとても贅沢な体験をした。また普段は行かないレストランでの食事で “Entrée”(前菜)から ”Dessert”(デザート)までをゆったりと楽しんだ。



このようにフランス人はバカンスを生きがいにし、それまではごく普通に生活する。

その中には「もの」に頼らない幸せと言おうか、満たされた心があると思う。

そうゆう意味で彼らには「物欲」と言うものが存在しない。

それはきっと ”Vive les Vacances!”(バカンス万歳!)

バカンスがもたらす時間の余裕ゆえの心の余裕なのかもしれない。

私はフランスでの生活を通して、何に価値を見出すか、本当に大切なもの、本当の幸せとは何か? そんなクエスションを投げかけられた気がする。

それはフランスが教えてくれた「幸せのヒント」を元に、これからの自分の人生をどう生きるかで答えを見出していきたい。



p.s. 写真はAnnecy(アンシー)の写真。リヨンから電車で約2時間のところにあるバカンス地。



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