My Favorite Things #2 / おもちゃ
愛しい“あいつ”が見つかるアンティークトイショップ。
Photographer: Junsuke Obi
Writer: Aika Matsuzaki
By / 2021.02.03
「古くてチャーミングなもの」をキーワードに、
今回CREOLMEデザイナー兼ディレクター:工藤三咲さんがお話を聞いたのは
「おもちゃ」を偏愛する、スタイリストの原田学さん。
おじゃましたのは、
下北沢にあるアンティークショップ「SOUNDSGOOD(サウンズグッド)」さんです。
「古いものの雰囲気が、やっぱり好きですね」
と、アンティークトイへの偏愛ぶりを語ってくださった原田さん。
90年代に流行ったアメカジや古着から派生し、アンティークトイが気になる存在に。純粋な趣味から、スタイリストとしての仕事で使う小道具としても。
今回はそんなアンティークトイの“チャーミングな話”、たっぷりと聞いてきました。
工藤:原田さんと「SOUNDSGOOD」さんとの出会いはなんですか?
いまはもうなくなってしまったのですが、昔、ここの奥に古着屋さんがあって。仕事などでそこに通うことが多かったので、ついでに、みたいな感じでも来ることが増えました。スタイリングで使うためにトイをリースするようになって、オーナーの内野さんとも話すようになって。僕も古着屋さんの知り合いが多いので、知り合いが繋がっていたりして。自然と仲良くなっていましたね。
工藤:古着屋さんとアンティークショップって繋がっているんですね。
そうですね、内野さんがアパレル出身ということもあり、共通の知り合いも多くて。家具や雑貨のお店と、古着屋さんってまたルートが違ったりするんですけど、古いもの繋がりというのもあって。
工藤:「SOUNDSGOOD」さんの特徴的なところってどこですか?
とくにアドバタイジング系のキャラクターが豊富ですが、アメリカ系のジャンクものなら、なんでもあるといった感じ。いろんなおもちゃや、ちょっとした雑貨とか。古いものもそうですけど、オンタイムであっちで売ってるものも売ってたり。例えばクリスマス限定やハロウィン限定のグッズとか。ちょっとしたシリアルの箱とかそういうものまであって。グッときますね。
工藤:いろんなものがあって、見ているだけでも楽しいです!
ここに来るお客さんには、自分でお店をしている方も多いようなので、そういう方が買うくらいの品揃えですね。買い付けに行くときは、お客さんからのリクエストも含めて買ってきたりもするみたいですよ。
工藤:「SOUNDSGOOD」さんでは、撮影用の小道具のリースもよくされるとか?
そうなんです。例えばモデルさんに持たせる紙袋だとか。ちょっとした紙袋ひとつでも、こだわりたい。紙袋なんていくらでもかわいいのありますけど、古い紙袋とか海外の紙袋を持ってたら、それだけでグッと素敵な世界観の写真になったりする。だからここに来ると、紙袋やジュースの古いボトルとか……「いろいろ買っとこう」って、なるんですよね(笑)。
工藤:お店でリサーチもされるのですね。
『THE SUKIMONO BOOK』の制作のときも、すごくお世話になりました。この界隈の人たちがいろいろと教えてくれたから、あの本が完成したといってもいいかも。内野さんをはじめ、お店の方と情報交換してるといろいろな発見があって。
ユニークなものを買い付けてきてくれるから、本当にありがたいです。いい感じのモノを買い付けてきてくれる彼らのセンスを、ちゃっかりいただいています(笑)。
工藤:原田さんのセンスでも、お店が開けそうです!
よく言われますけど……絶対売れないです(笑)。僕が欲しいものは、売れない気がする。なんでそれなの?っていうモノばかりが集まりそう(笑)。
工藤:原田さんの好きなキャラクターってなんですか?
いろいろ、変わっています。昔はアメコミのキャラが好きで、フィギュアかったりもしましたね。シンプソンズにハマった時期もあったし、スヌーピーを集めたことも。アドバタイジング系のあまり知らないキャラクターを発見して「これかわいい!」とハマったりもしました。
それこそ、お店で「こういうのあるよ」と教えてもらったり。お店は情報交換の場でもありますね。
工藤:なんか、すごく楽しそうなコミュニティ!
みんな、そんな感じですよ! リサーチや買い物もそうですけど、お店の人に会いにお店に行っています。
工藤:リース以外でも自分用にも買いますか?
いまは自分で集めてどうこうっていうよりは、スタイリングに使えるものを探して買っておこうということの方が多いのかな。自分で「かわいい」と心に刺さって買うことは、なんか少なくなっちゃいましたね。でも、知らないキャラクターを新発見してかわいかったら、やっぱり買ってしまうかも(笑)。
工藤:原田さんがアンティークトイにハマったきっかけは?
90年代ぐらいに古着やアメカジが流行ったんですが、お店でもキャラクターものがよく売られていたんです。フリマで買い付けた古いマーベルの人形だったりとか。90年代アメカジとか古着好きだった人は、キャラクターが好きなんじゃないかな。自分ももれなく、そのときがきっかけで。中学生くらいのときに、アメコミのキャラクターを見て「カッコイイ!」ってなってましたね。
工藤:古着と一緒になってるって、カルチャーとして面白いですね。
そういうのが好きな人は、必ず通る道なのかも。誰もが好きなキャラクターがありましたね。誰かの好きなキャラを見つけたら「集めてるから、買ってあげよう」と思ったり。あの人はあのキャラ集めてる、この人はこのキャラ集めてる、ってのがありましたね。
工藤:なんか、アツい時代です!
ほんと、キャラクターがすごい流行ったんです。アンティークトイを扱うおもちゃ屋さんも、いまよりいっぱいあったんじゃないかな。洋服屋でバイトしていた頃に向かいにあったオモチャ屋(ZAPP)。その店がアンティークもあれば、現行のアメリカのもので日本に入ってきてないものもあったりして。その時代から、やっぱり好きでしたね。
工藤:今まで買ったなかで、思い出深いものは?
『ビートルジュース』という映画のキャラクターのフィギュアかなぁ。まだ中学生くらいの頃、映画を自分たちで観に行き出した頃、すごく好きな映画でした。後になってフィギュアを見つけて、「うわ、懐かしい〜!こんなのあるんだ、ちょ〜欲しい!」ってなって。なんか思い入れがあって、実家にずっと置いてありますね。
工藤:「うわ懐かしい〜!」って感覚、大切にしたいですよね。
そうなんですよ。内野さんともそういうので盛り上がったりもします。僕ら世代の人しか分かんないラインナップっていうのも、それはそれでなんかイイ。
というか、新しいものをコレクションする感覚があまりなくて。10年〜20年たって古くなってきたら、そのときがやっとそこがスタートラインというか。古いものを、蓄積させて置いておきたい、みたいな。持ってる人が少ないものを、自分が持っているということに喜びを感じるんです(笑)
スタイリングする小道具でも「モデルさんが持ってたらかわいいかな」と思うものは、やっぱり古いものですね。
工藤:最後に……「古くてチャーミングなもの」の魅力を教えてください。
すごく必要というワケではないけど、ずっと家に置いておきたいもの。売りもしないし、捨てもしない。例えば断捨離するとしても、新しいものより古いものを残しちゃいます。なんでだろう、やっぱりその雰囲気が好きだからですかね。
「みんな知らなくて自分だけ知ってる、っていう、自己満足がいいんじゃないですか。洋服やインテリアと同じで」と、アンティークトイのチャーミングさについて、熱く語ってくださった原田さん。そうそう、自己満足でいいんです!だからこそ、ずっと変わらず、こよなく愛せるのかもしれません。
原田学/1972年京都市生まれ。スタイリストとして20年以上活躍している。ファッションからインテリアまで、ビンテージやアンティークを取り入れたスタイリングに定評があり、ファッション業界からの呼び声も高い。著書『THE SUKIMONO BOOK』は、「好きなんだからしょうがない」という、“好き者”たちが集めてきたビンテージアイテムを紹介した1冊。
SOUNDSGOOD
住所:東京都世田谷区北沢2-23-6
TEL:03-5433-3758
営業時間:月〜日 13:00~20:00/日・祝 12:00〜20:00(※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間が記載と変更となる可能性がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。)
定休日:不定休(買い付け時休み)
OTHER RECOMMEND.
他にもこのお店!
1. 2000toys Antique Mall & Habitable(土浦)
「何かが凄いって規模が凄い!店の大きさに置かれている物に量にジャンルの幅広さ。本当に好きです。何時間も見てられます。都内からも行く価値あり。SUKIMONO BOOKのキャクター本でも色々と教えてもらったり商品をお借りした店。みんなに行って欲しい!」(原田さん)
2000toys Antique Mall & Habitable
住所:茨城県土浦市永国1048-3
TEL:029-895-8960
営業時間:12:00〜20:00
定休日:水&第3木曜
2. SECRET BASE GINZA(銀座)
「フィギュアなんかを作るトイメーカーの店だけどヴィンテージトイが多く売っている。ココが作るフィギュアは’90sのアメカジやアメトイブームを感じさせるアイテムが多く気になるのです。そんなメーカーがチョイスするヴィンテージもやはり自分の好みのモノばかりです」(原田さん)
SECRET BASE GINZA
住所:東京都千代田区有楽町2丁目5-1阪急MEN’S TOKYO 7F
TEL:03-6252-5435
営業時間:11:00〜19:00 (当面の間時短営業)
定休日:なし(元旦除く)
My Favorite Thingsのアーカイブはこちら
Tag
Writer
-
CREOLME
“VINTAGE(過去)×STREET(今)”をコンセプトに、直感や本能でファッションを楽しみ、伝統的なものにユースカルチャーの要素を落とし込んだコンテンポラリーなデザインのアイテムを展開するウィメンズのアパレルブランド。