異国感あふれる路地にある小さなタイへ

My Favoritr Things #3_3 / ハンサム食堂

異国感あふれる路地にある小さなタイへ

Photographer: Junsuke Obi

By / 2022.04.19



「古くてチャーミングなもの」をキーワードに展開中の人気企画“My Favorite Things”。
第三弾はCREOLMEデザイナー兼ディレクター・工藤三咲さんの馴染み深いスポットが集まる「JR中央線沿線の街」がテーマ。第3回目の今回は、彼女が昔住んでいたという街「西荻窪」です。






「5年くらい前に西荻窪に住んでいたのでよくこのあたりを歩いてました」という工藤さんはこの西荻エリア内で何度か引っ越しをするほど好きな街なんだとか。「可愛い雑貨屋さんもあるし、飲み屋さんもたくさんあって、バラエティに溢れている街だなと思います」



住んでいた時に、よく訪れていたというお気に入りのタイ料理店がここ「ハンサム食堂」。まるで現地のお店のような雰囲気が漂うこのお店で、店主の三品啓介さんと西荻窪トークをしていただきました。







工藤:昔、西荻窪に住んでいたんです。街が好きすぎて、西荻窪内で何回か引っ越しました(笑)。

三品さん(以下敬称略):西荻窪に住む方ってこの街の中で引っ越す人が多いですよね。

工藤:やっぱりそうですよね! 居心地が良いからでしょうね。ずっと気になっていたんですが「ハンサム食堂」のネーミングってどこから?

三品:実はあんまり深い意味は無いんです。お店を始めるときに、仲間と「名前を決めないといけないな」ってなったので、みんなで井の頭公園で集まって色々書き出して。その中で一番覚えやすそうだったという理由で「ハンサム食堂」に決まりました(笑)。

工藤:語呂がすごい良いし、ちょっと気になる名前ですよね。

三品:銀行とか行くと恥ずかしいですけどね(笑)。でもこの名前でよかったこともたくさんあって。クレイジーケンバンドがちょうど「ハンサム」って言葉をよく使っている時で、彼らのファンの人たちがたくさん来てくれるようになったんです。さらにその後には、メンバーの方々も来てくれました。

工藤:すごい! 名前からそんな広がりが!!

三品:おかげさまで、お店を始めたばかりの時にはずいぶん助けてもらいました。2号店が出来た時もお祝いにと昔使っていたギターを送っていただいたり。もちろん大切に保管しています。

工藤:それは宝物ですね。西荻窪でお店を始めようと思ったのはなぜですか?

三品:最初は西荻窪でする予定はなかったんです。一緒にお店を始めたメンバーとは元々一緒に吉祥寺のお店で働いていたこともあって。最初は吉祥寺を中心に探したんですけど、結局中央線沿いの街を全部見て、西荻に決めたんです。もう20年くらい前の話ですね。

工藤:もうかなり経ちますね!

三品:お店を始めた当初、この通りは真っ暗だったんですよ。空いている物件ばかりで、おばあさんが一人でスナックやってるお店くらいしかなくて。

工藤:そうなんだ! 今じゃいろいろ入っているのに。

三品:地元出身の人は親に「この通りに近づくな」と言われているくらい、怪しかったらしいです。酒好きたちがゾンビのように歩いている道だったみたいで(笑)。

工藤:たしかにこの通りだけディープな感じしますね(笑)。この20年でずいぶん印象は変わりましたか?

三品:そうですね。賑やかになりましたね。昔はもっと静かでゆるい感じだったのがここ10年くらいで一気に変わった印象です。前は住んでいる人以外は降りないような街だったんですけど、今は休日に遊びに来るひともちらほらいて。

工藤:私のイメージだと西荻って若い子が来るって感じです。雑貨屋さんとかも多いしオシャレ。と思えばディープな飲み屋さんもあって本当にバラエティーに富んでる。

三品:アンティークの街なので家具屋や雑貨屋などを昔からされている方は多いですね。一本向こうの路地にある「やきとり戎」がある通りは昔から変わらない景色で。ここに最終的に決めたのはその「らしい」景色があったからかもしれません。

工藤:何か惹かれるものがあったんですか?

三品:お店を始めるとき、タイとかの屋台ってお店と外の境が曖昧な感じが良くてあんな感じを出来ないかなって話してて。「やきとり戎」さんの景色もそういった感じと通じるものがあって。ここだったら車も通らないからいいんじゃないかなって。お店を初めてすぐに「昼市」も始めましたし。

工藤:あ! 行ったことあります!オーナーさんがきっかけだったんですね。

三品:ありがとうございます。うちが始めました。何とかこの通りを盛り上げられないかなって思って。その時あったお店の方々に声をかけて持ち込み自由にして、値段も安くして。今も自然発生的に特に声かけるわけでもなくそれぞれのお店が準備し始めるんです。すごく面白いですよ。



工藤:三品さんは西荻窪のどんなところが好きですか?

三品:「いい湯加減」ですよね。お店を始めるようになって、この街に今住んでいるんですけど、休みの日とか1日散歩して終わるとかありますよ。いつも退屈じゃないっていうのが良い。美味しいお店も多いですしね。

工藤:確かに。おいしいご飯屋さんはたくさんありますよね!

三品:美味しいものを食べようかってなった時に、わざわざ他の街にいくことなくなりました。もう大体決まっています。まさか家まで西荻窪で買うなんて思ってもみなかったです。

工藤:私も中央線沿いの街は結構いろんなところに住みましたが、結局西荻窪が一番好きかもしれないです。いつかまた住みたいな。




【DATA】
ハンサム食堂
住所:東京都杉並区西荻南3-11-5
電話:03-3335-5468
営業時間:11:30~20:00
定休日:月曜、第1・第3日曜日後は月火曜

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