「THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE」出版記念座談会-後編-
ACME Furnitureのオリジンに迫る! vol.2
Contributed by kimura kei
By / 2018.04.18
座談会メンバー
Two Virgins:後藤 佑介
Two Virgins出版企画担当。「annabooks」をはじめ熱量の高いカルチャー系書籍を多数手がける。
ACME Furniture:田中 健一郎
ACME Furnitureディレクター。ACME Furnitureに出合いアメリカンヴィンテージ家具の世界に引込まれる。
ACME Furniture:勝山 龍一
ACME Furnitureセールスプロモーション。ACME Furnitureの社外コミュニケーション部隊として多くの案件を手掛ける。
Mo-Green:須藤 亮
anna magazine編集長。自社媒体をはじめ、様々なクライアントワークを統括する。ACME Furnitureとは10年来の付き合い。「THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE」全体ディレクションを担当。
木村 慶
「THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE」編集担当。ACME Furnitureのシーズンカタログ制作も担当する。
◯ヴィンテージ家具シーンを盛り上げる起爆剤に。
須藤:今後はどんな展開を考えているんですか? 欧米でも展開するとか。
後藤:海外のエージェントとも相談中です。Amazonやアメリカのブックストアに卸してもらえたらいいなと。
木村:逆輸入的な感じで、アメリカで人気がでそうですよね。
須藤:本は完成後のPR活動も大事ですね。
後藤:はい。イベントは色々計画していきたいですね。まずは、田中さんのトークショーでしょうか。
須藤:CONTAINERで田中さんのインテリア連載企画もスタートしたいです。
田中:最近は都市開発によって新たにオープンした商業施設ばかりが話題になって、町の個人商店への注目度が落ち込んでしまっているような気がします。もう一度ヴィンテージ家具などを扱う個性溢れる個人商店にも目を向けてもらえるような連載にできたらなと思います。
須藤:そういう個人商店の人たちが集まってシーンを盛り上げるコミュニティを作れるといいですね。
◯アナログだった初期買い付け旅。
須藤:木村君は編集するにあたり、どんなところにこだわりましたか?
木村:L判写真がメインコンテンツとはいえ、せっかくなので今までメディアに出ていないようなヴィジュアルも入れることにしたんです。例えば、買い付け時に使用した地図だったり。
勝山:昔は買い付けのとき、カーナビ禁止だったらしいです。助手席のスタッフは地図を見るのが仕事。
田中:地図を見ることで、その街の特徴が理解できるんですよ。おかげで、今は地図なしでどこでも好きなところにいけるようになりました。
木村:携帯も今のように普及していなかった初期の買い付けでは、家具屋を探す時も、電話ボックスの電話帳でざっと調べたとか?
田中:はい。“thrift”と書いてある住所を調べて行っていました。
須藤:行ってみたら全然関係ない場所ということもあったり?
田中:あります、あります。そういうのばかり。“thrift store”と”tire store”って綴りが似ているから間違えて入っちゃったこともありました(笑)。
須藤:買い付けは基本、カリフォルニア近郊?
田中:10年以上前まではロサンゼルスがメインの買い付け場所でした。近年では買い付けるプロダクトの特徴の幅を広げるため他の地域にも訪れます。インダストリアル系のプロダクトが多い東海岸や、カントリー調の家具が多い内陸部など、地域によってプロダクトの色が違うのも広大な国土を持つアメリカの魅力だと思います。
※anna magazine編集長 須藤氏
◯本というプロダクトの価値
須藤:今回制作させていただいてやっぱり本は素晴らしいなと思いました。全体がパッケージで俯瞰して見ることができるから。特にアーカイブコンテンツに関してはWEBだとあまり魅力を感じられない。奥行きが見えないんです。本だとひと目で「こんなにたくさんあるんだ」って感動があります。あとは順番通りに見せていける、っていうのが本の強み。WEBだと編集した全体の意図が伝わりづらく、機能的なアーカイブにしかならないですから。
後藤:Two Virginsとして今回のような上製本の制作は初めての試みだったので、いろいろと難しい部分もありましたが、やり残しのない素敵な一冊になりました。ACME Furnitureの長い歴史をきちんと伝えることができる内容になったと思っています。
須藤:「ACME Furnitureの歴史はこの一冊に詰まっています」と本を渡したら、「あ、そうなんだ」ってすぐに理解してもらえそうですね。
勝山:これからはスタッフにこの本を渡して「これ全部覚えてきてね」と言おうかなと(笑)。この本で、またヴィンテージ家具が盛り上がると嬉しいです。
木村:新しいヴィンテージ家具のムーブメントが生まれるかもしれませんね。
勝山:実際のところ、オリジナル家具はとても売れています。ですけど、ACME Furnitureの本当の価値はそこだけじゃないと常に思っているんです。僕らのオリジンってこれだから、と伝えていきたいです。
木村:すごくいい形で本にできて嬉しかった。長く売れる本になって、逆輸入でアメリカでも注目されることを期待してるんです。
後藤:その時はアメリカまで何冊でも担いでいきますよ(笑)。
以上で「THE AMERICAN VINTAGE FURNITURE」についての座談会の記録は終了です。この三社の熱いトークを聞いて興味を持たれた方はぜひ、書籍を購入してみてください。今回の座談会の内容に嘘偽りがないことがわかっていただけるはず。今後もContainerでは、志を同じくする人たちや企業の方々とどんどん面白いことをしていきますので、注目していてください!
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kimura kei
LUKE magazine編集長。 制作会社Mo-Greenで広告制作などの仕事に精を出す傍ら、“anna magazine”編集としてアメリカ国内を取材。いまは男性向け情報誌“LUKE magazine”創刊へ向けて、企画作業の日々。