純喫茶のような街とプリンと<br>フルーツサンドと。</br>

My Favoritr Things #3_1 / ぽえむ MANO A MANO COFFEE

純喫茶のような街とプリンと
フルーツサンドと。

Photographer: Junsuke Obi

By / 2022.03.15



「古くてチャーミングなもの」をキーワードに展開中の人気企画“My Favorite Things”。
第三弾はCREOLMEデザイナー兼ディレクター・工藤三咲さんの馴染み深いスポットが集まる「JR中央線沿線の街」がテーマ。第1回目の今回は、彼女が学生時代からの遊び場だという「高円寺」です!






「高円寺によく遊びに来るようになったのは高校生の頃からですね」と工藤さん。服飾学校に通っていたときの友人たちと当時流行していた古着屋をよく巡っていたそう。「今でも友達の遊ぶのはほとんどこの辺りで、洋服も髪も服も全部高円寺です(笑)」。と話してくれました。



そんな彼女がおすすめする喫茶店が「ぽえむ MANO A MANO COFFEE」。プリンとフルーツサンドが大好きで、最近よく遊びに来ているとのこと。いつもすごく混み合っている人気店でコーヒーをいただきながら、気になるお店のこと、街のことを聞かせていただきました。







工藤:このお店のプリンとフルーツサンドがとても好きで、取材前にすでに何度か訪れていました(笑)

店主:ありがとうございます! お店自体は50年前からあるんですが、私がこのお店を運営するようになったのが1年半ほど前で、プリンとフルーツサンドはそれから始めた新しいメニューなんです。

工藤:そうなんですね! 始めたきっかけってなんですか?

店主:元々ヨーロッパで働いていた経験があって、最初は焼き菓子を中心にしようと思ったんですが、お客様は地元のおじいちゃんおばあちゃんも多く「頼みづらい」「よくわからない」と言われることもしばしば。それで、「みんなに愛される食べ物ってなんだろう」って考えて、プリンを始めるようになりました。きっかけがおじいちゃん、おばあちゃんだったこともあり、おやつとしてコーヒーと一緒に食べていただけるかなという感じだったのですが、それが逆に若いお客様にすっごく人気になって。

工藤:そっか、なるほど。逆に新鮮さを感じるのかもしれないですね。

店主:なので、「あ、プリンってこんなにたくさんの世代に愛される食べ物なんだ」って思いましたね。

工藤:フルーツサンドは元々あったものなんですか?

店主:フルーツサンドもなかったです。「喫茶店で食事」はもちろん需要があると思うんですけど、コーヒー屋をするからには、「コーヒーと一緒に食べていただくもの」を提供をしたくて。だったらやっぱり甘いものはコーヒーと一緒だとより幸せを感じるものだろうなと。以前はカレーやサンドイッチを出していたようなのですが、私が運営するようになってからは甘いものしかお出ししてないんです。フルーツのサンドイッチは「軽食」というイメージもありますけど。

工藤:そういうことだったんですね。

店主:ありがたいことにその後、すごい勢いで「フルーツサンドブーム」がありまして…。そんなムードも相まってお店は大変若いお客様に人気になったんです。

工藤:週末いつもたくさんのお客様で、入れないことも。

店主:やっぱりたくさん並んでいらっしゃいますね。ただ、うちだけじゃなく、高円寺のお店はどこもそんな感じだと思います。

工藤:常連の方が朝一番に来られたり?

店主:もちろんです! やっぱり、こういうお店は常連のお客様でお店は成り立ってますので。

工藤:そんなところも「喫茶店」って感じですね! 若い子だけのお店じゃないっていう。
先ほど甘いものしか出していないということでしたが、こだわりのポイントとか教えていただきたいです。

店主:コーヒーと一緒に食べていただくことは私の中で絶対だったので、プリンは固めに仕上げています。柔らかいとどちらも液状のようになって、口の中で一緒に楽しめないので。うちの場合は本当に硬いから、プリンケーキと言った方が良いのかもしれない。(笑)



工藤:ここでお店を始めてから感じた「高円寺の魅力」ってどんなところですか?

店主:私が店を始めたのがコロナの緊急事態宣言が始まってしばらくしてからなんです。なのでお店にほとんど行けてないし、「通常運転の時の高円寺」というのを実はよく知らなくて。なのでそれを踏まえての意見になってしまいますが…(笑)

工藤:もちろん!それを踏まえてで大丈夫です!(笑)

店主:やっぱり個人商店が多い。特に若い方がたくさんお店をされています。でもその中に長い歴史のあるお店がたくさんあって、いろんな意味でぐちゃぐちゃに入り混じっている印象です。それぞれのお店の個性やコンセプトがとても強いお店が多いとも思いますね。

工藤:確かに1つ1つのお店がかなり個性がありますね…。毎回訪れるたびに新しい場所を見つけられる感じがします。ところでお客さんはどんな方が多いですか?

店主:やはり地元の方、それと最近のレトロ喫茶の流行で若い女の子が多いです。ビジネスを始める際、全然想像していなかった客層なのでびっくりしています。おじいちゃんおばあちゃんがお茶をしている隣に孫のような年頃のお客様が座っているのを見ていると、ああ面白いなって。喫茶店をやってよかったなと思う瞬間ですね。

工藤:それは面白いですね。高円寺の街の印象と似てる。最近は純喫茶ブームだし、逆に今っぽい風景なのかもしれないですね。

店主:私はこの仕事をしているので、こんな風景がずっと続いて欲しいなと思います。ブームで終わらずに。日本の喫茶店って「文化」だと思うので、いつも若いお客様が来てくださって、この文化がずっと残っていけばいいなと思いながら営業しています。

工藤:確かに! 日本の大切なカルチャーとして純喫茶がずっと盛り上がり続けて欲しい!



【DATA】
ぽえむ MANO A MANO COFFEE
住所:東京都杉並区高円寺南4-44-5
電話:03-3316-0294
営業時間:10:00~20:00
定休日:無休

Tag

Writer