“Travel is ENCOUNTERS” (カリブ篇) #7

“Travel is ENCOUNTERS” (カリブ篇) #7

Contributed by T.T.Tanaka

Local / 2018.09.05

Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

“ピンクカーペット”
テールドオー, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

坂道。
カリブはスペイン、仏、英国などとの激しい闘いがあったところだ。
この坂道の上にもナポレオンが建てた要塞が残っている。
今では要塞には島の人たちより圧倒的に多い観光客がひっきりなしに訪れている。
そうそう、ワンちゃん住民もその中で生活しているよ。
5月末にはrainy seasonに入って極暑の夏となる。
日本とは逆に観光客は減るのね。

ピンクペイントの帯は普段は観光客が歩く道なんだけど、今日はのんびりワンちゃんがゆく。
お尻の動きがかわいい。
急な坂だから、やすみやすみ。
Vividなピンクはハリウッドのカーペットみたい。記者たちもファンたちもいないけど。。
おっと、一人だけどカメラマンの僕をおいていっちゃうよ~。待って~~‼︎




Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

by T. T. Tanaka

“風上のカリブ”
グアドループ(フランスの海外県@カリブ)Guadeloupe
一枚目;グランドテールGrande Terre,
二枚目; テールドオーTerre de Haut;


海からの風が強い。
Kite surfingの海を切る音がシャープにまた迫ってくる。
カラフルなディンギー(dinghy:一人乗りヨット)が視界の左へ、また右へとすべってゆく。
空は明るく、海も明るく、そしてグリーンが混ざっている。

左はアメリカ、フロリダ。
正面のはるか奥はスペイン。フランス。右はアフリカ。海はつながっている。空気も。フロリダで体いっぱいに南から受けた風はここで生まれていたんだね。
そう。フロリダからはちょっと風上に、いや時間的に、歴史的にもだいぶさかのぼったところにきていた。。




by T. T. Tanaka

by T. T. Tanaka

“ダイキリが飲みたい”
グアドループ(フランスの海外県@カリブ), Guadeloupe
一枚目;ムール Moule,
二枚目; テールドオー Terre de Haut


カリブ海の古い港町、ムール。炎天下歩き回ってたどりついた海岸のレストラン。
こんな遠くまで来たのにメニューを笑顔でわたされたリズムにのってエイッと注文してしまった。
一番上に手書きでかかれたシーフードのクリームパスタ。これが倒れるほどおいしかった。ポンパーノ(アジの一種)の切り身入り。テーブルサイドのペッパーのキャラクターもにっこり笑っていた。

食べ終わっても海を聴きながらしばし座っていたかった。赤い柱におしゃべりする女性のシルエットが綺麗にゆっくり動く。フローズンダイキリが飲みたくなった。サトウキビベースのラム酒と砂糖、オレンジと氷をカラカラッとまぜる。ダイキリはカリブのキューバ鉱山労働者たちの考案ドリンクレシピらしい。
一日の、いや、今までの歩みの疲れをちょっぴりいやしてくれる。
自分のヒストリーとカリブのヒストリーがシェイクされてカクテルになっていた。。



Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

“香りに振り返る・・”
テールドオー, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

午後5時。あと二時間くらいで陽が沈む。
地元の人たちとにっこりすれ違いながら海から高台へ歩いていくと、開けっ放しのあちこちの家から人々の声が聞こえてくる。
ふと、いい香りで振り返ったら目の覚めるようなピンクのプルメリア、後ろの大きな緑は葉っぱじゃなくて壁のペンキだった。
プルメリアはハワイの白い花が有名だけど原産地はカリブエリアらしい。
オレンジブロッサムのような香りの中でしばしたたずむと、ふとフロリダのオレンジ畑と、静岡のミカン畑の景色が頭に映写されていた。甘くて素敵な思い出とともに。。




Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

“来たの?”
テールドオー , グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

電気カートで、ホテルからビーチに。ビーチからビーチに。観光客がやってくる。
「お、この辺で止めるとビーチにいけるぜ。よいしょっと」
「あ、上に誰か来た~! わあい。今行くから待って待って~!」
トコトコトコ。。。

カートから降りたおじさんのシャツは鮮やかなブルー。
さっきヤギ君たちが見ていた海の色じゃん。。

そう。ヤギが島に沢山いるんだ。
昔、ヨーロッパから連れてこられたんだけど、増えて野生化もしている。なかには暴走してしまうヤギもいるけど大体は観光客との距離感を心得て共存している。

カリブには色々な歴史の爪跡が残っているけど、この素敵な自然の中で色々な命や人々のやさしい毎日が繰り返されている。
おっと。見上げたらイグアナのシルエットが崖を上っていった。。



“Back to the vivid! ヴィヴィッドに戻れ!”

Vividな色って大好きだ。
ドキドキするもの。

フツーの赤じゃなくて目が焼けちゃうような紅色、
フツーの緑じゃなくて明るく苦いライムグリーン、
フツーの黄じゃなくてまぶしく酔っぱらってしまいそうなレモンイエロー、
なんだろう。太陽に反射して圧倒的に鮮やかに明るい色なんだ。

Vividな色に出会うとイキイキいきいきする。
本能にささって命を感じるっていうのかな。。

家の壁や窓のつやつやペンキ、過ぎ去る女性のドレスのアクセント、キラキラ光る海原のヨットの帆、ビーチを舞うカラフルな水着、街路で目いっぱい存在アピールする草花たち、そうそう、ドリンクのグラスのトップに添えられたオレンジスライス。。
毎日の生活にフツーにあふれているvividな色たち。
カリブにきてから生きている実感がするのはそのせいかな。。

おっと、この感じ、思い出した!
こどもの時の感覚だ。出会うもの出会うものにドキドキしていた。蝶々に遭遇しても、お花に出会っても、自転車に触れても、バスに初めて乗ってもね。
あ、音もだね。初めて生で聞いた大人のドラムにもサックスのフレーズにも。。そうそう、クラスの異性にもドキッとした。

東京の毎日。最後にvividな感覚をもったのはいつだったろう?

ありがとう。カリブ。
うん。Vividに生きていくことにするよ。

陽はさっき真っ赤に落ちちゃったけど、顔を出したばかりのオレンジの月に会いにビーチまでいってくるね~。もちろん。Vividなフローズンダイキリにも。

Photo/essay by T.T.Tanaka



イラストレーター by 瀧口希望


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