![“Travel is ENCOUNTERS”<br>ラトビア(バルト海)篇 #47](https://container-web.jp/wp-content/uploads/local_post/43741/20220121/46ace23257b0c6113b6b31836aee8496.jpg)
“Travel is ENCOUNTERS”
ラトビア(バルト海)篇 #47
Photos, essay by T. T. Tanaka
Local / 2022.01.24
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“Latvian blue”
わー。どこまでも平らに・・静かな湖のような湾。
もうすぐまあるいリガ(Riga)湾に陽が落ちてゆく。
濃くなってゆくブルーにのんのりピンクがまざってきた。
バルト海に面するLatvia.
その首都Riga中心部から20kmほど西、ビーチリゾートの町、ユールマーラ(Jurmala)。
この湾の向こう200kmほどのところにはスウェーデン、ストックホルムがある。
自転車でお散歩の人が・・。近くに住んでおられるのよね。
いいなあ。
ゆっくり流れる空気をいっぱい吸い込みたい。
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訪れたのは6月頭。夏になった頃だったけど最高気温は20度。
日が傾くとどんどん冷えてくる・・・。でも二人で手をつなぐとちょうどいい感じで夜が近づいてくる。さっきより濃いオレンジに藍色がまざってきた。素敵な日没、ありがとう。
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朝が静かに明けた。
雄鶏のシルエット。ブルーになりだした空にくっきりと見えてきた。
この塔は聖ペトロ教会で高さが123mもある。
教会としてはリガで一番古い。13世紀初めに建ったもの。
雄鶏さんは17世紀に取り付けられている。
今日も雄鶏さんは朝のリガの町を見下ろしている。
ながーい歴史の中、みんなを今も守ってくれているような気がして・・・
見上げると元気が出て嬉しい。
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あ、鳩さんも元気に飛び出したね。
お日様があがると澄み切ったブルーがどんどん広がった。
リーガ大聖堂の雄鶏さんは金色にキラリキラリ。
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あら、これは本当の鳥さん。
やっぱり止まりたくなるのね。
できた年号が刻まれているのかしら・・・。
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カモメもスーッと飛んできた。
バルト海のスカイブルーの中を飛んでゆく。
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“Smiles on the street”
旧市街中心にあるリーガ大聖堂。
1211年から建設が始まって歴史的な変遷がこもっている。
前の広場は休日を楽しむ市民たちや、観光客たちでにぎやか。
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子供たちも、ほら、こんな感じで、はしゃいでいます。
いろんな時代の建物のある空間で普通に遊べるって素晴らしい。
いろんな国の人たちにも出会えるしね。
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あ、こっちは赤ちゃんね。身長が高い僕をみつけました。
ママと一緒に石畳の上でご機嫌。
手を振ってはい、ポーズ。
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あ、これ、あの国にもあったような・・・。
みんなが足でこいでゆく移動バー。知らない人同士がもりあがって一緒に体をゆすっている。楽しい一体感が過ぎてゆく。
はい、ハンドルさばきだけど運転手さんは飲みません。
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はい。ビール飲めます。
外のビアガーデン!
これ、ラトビアのビール。ウィーンタイプの苦みが効いているらしいんだって。寄りたいんだけど、ちょっとまだロケ中なので・・・
スマイルが素敵。
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通りに面したレストランやバーからのグラスやジョッキの音、歓声が石畳に反射してくる。楽しそう。
黒板にも楽しんでね~と元気よく書いてある。
飲んでも飲まなくてもたくさんの笑顔に出会えると嬉しい。
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“Sound steps”
足元にリズミカルな歩幅が見えたと思ったらワンちゃん。紐がながーく石畳の上に伸びている。ぐいぐい飼い主さんをひっぱっています。お散歩、楽しいのよね。
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こちらはカップルのステップ。お買い物もして歩くと楽しい楽しい。
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こっちのおじさんはもう得意満面、歩きながら一緒の友人たちに広場の解説中。
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すーっと流れてきた風。
その風に乗って広場では、サックスとクラリネットの音色がまざって聴こえてくる。仲間が集まって見知らぬ人たちの前で練習だよね。僕が知らないクラシックのフレーズだけど、ちょっとウキウキする。教会の壁に反射してgood sound!
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広場の隅に歩いてきたら、民族音楽風のバイオリンの音色が・・・。 黄色い服をきた少年が目を落として弾いている。
しばし遠慮しながら立ち止まって聴いていたら、こっちを見てウィンクしてくれた。
ちょっとほっとした。
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石畳を降りてゆくと石壁の前でアコーディオン奏者が。
彼の前を観光客がいったりきたり。
お、ちょうど、僕の好きな曲「ラ・メール」(Beyond the sea)が流れてきた。
ドイツ製の楽器が揺れる。
夕暮れが近づく中とっても素敵な演奏だった。
僕はユーロ紙幣とともに会釈して歩を進めた。
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“Now and then”
「自由通り」(Brivibas Bulvaris)には1935年に建った「自由の記念碑」(Brivibas piemineklis)」。
自由・独立・主権のシンボルで、ラトビア独立戦争(1918-20)で犠牲になった兵士に捧げられている。
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この場所もこの像も列強との苦難の歴史の流れの中にある。
観光客が見上げる先には、ラトビアのシンボルの星を掲げている女神がいる。
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石灰華のパネルに「祖国と自由のために」(ラトビア語; Tevzemei un Brivibai)が刻まれている。塔の下には、誰かが捧げていったブーケがおかれていた。
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今も残る運河の一部。かつてこの辺りは運河が何本か流れ町を守る役割もあった。今は埋め立てられて公園と大通りとなっている。
こんな感じでナローボートが時々ゆっくり往来、観光名所ともなっている。
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EUに加盟したラトビアには外国から訪れる人たちも増えたとのこと。
ラトビアの魅力に触れて、ほら、こんな感じで元気よく歩いています。
僕もその一人・・。
今までに見られなかった新しい笑顔も増えているんじゃないかしら。
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“Warm twilight”
あっという間に黄昏が・・・。
陽がしずんでくると、あら、お家の中からは、ほんのりオレンジの光が目に入ってくる。歩道に張り出したファサードの下にはお店のテーブルも出て、食器を準備する音も、芳しいお魚やお肉の香りも漂ってくる。
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うっすらとピンクの空の下にほんのり暖色の壁が浮かび上がる。
ああ、もう沈む。
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一気に暗くなった街並み。シャープな建物に街灯や車のヘッドライトが反射する。
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横断歩道を足早にお家に急ぐ。大人も子供も。
あ、そうそう。にぎやかに仲間で繰り出すのはやっぱり楽しいよね。
冷えてきてもあったかな気持ちになれるもの。
“バルト海の真珠”
コロナになる前のある日、ひょんなことでラトビア(Latvia)のカフェでフォトスライド&トークをやることになった。ちょうどそのころ、日本ではバルト三国(ラトビア、リトアニア、エストニア)は素敵なかわいい国として一部の女性の間で注目されつつあった。僕はたった一枚だけど、ラトビアの首都、リガ(Riga)の抑え目ながらカラフルで上品な街並みの写真を丸の内の行幸通り地下で目にして以来、ずっとそれを覚えていた。でも歴史的にも地理的にもラトビアの知識はほとんどなく、その国のイメージは皆無に近かった。
ラトビアの人口は約200万人。そのうちリガには60万人。面積は九州と四国を足したくらい。緯度的には日本の北限よりはるかに北。地理的には、ヨーロッパの西海岸の北部にあって、バルト海をはさんで北西200kmにはスウェーデンがある。北はエストニア、南はリトアニア、東はロシア、南東はベラルーシに接している。歴史的にはポーランド、スウェーデン、ドイツ、旧ソ連に占領されてきた悲劇がある。元々このエリアは緑深く森と暮らす人々も多い。古くからの自然信仰が根付いた固有文化や言語が大切にされてきている。 そういえば高校の歴史の時間でその名前だけは教わった記憶があるハンザ同盟。リガは12世紀後半から栄えたハンザ同盟の大都市であったのだ。バルト海からロシアへの玄関として注目された豊かな町で「バルト海の真珠」とも言われきた。繰り返し占領されてきたのはそれだけ魅力的だったということかと思う。
初めて降り立ったラトビア。
リガ湾ユールマーラ(Jurmala)の湖のような海への静かな日没。
石畳のリガの旧市街。
まるで風が吹いてきたかのようにあちこちから流れ来る楽器の音。
町を歩いているときにすれ違うひとたちの控えめな表情。
でもお話ししていると時折見せる笑顔。
厳しい冬の気候も、自然を大事にしているからこそ乗り越え、
歴史上悲しくつらい時期も、人々の心を大切にしているからこそくじけず・・・
ラトビアで歩いていると僕が感じたなんともいえない、体がほぐれていくような感覚。
それは、長年この地に培われてきた本当のやさしさに身をおいていたからじゃないかしらん。
ここではGDP世界何位とか成長のスピードなどの発想はあるのだろうか?
一方で、他との関係性はとっても大事だし、さらに「自分たちは何なの?」という問はもっともっと大きいのかもしれない。
ラトビアで過ごした数日の中から、”バルト海の真珠”を拾い出して、皆さんとこれから何回か、シェアしていければ嬉しいなあと思っています。
次回もお楽しみにね~。
Photos, essay by T. T. Tanaka
(※2021年より前の取材を元に書いております)
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T.T.Tanaka
のっぽの体形からつけられたニックネーム、トーキョータワータナカ。出身は兵庫県。フォトグラファー/エッセイスト。今までに30ヶ国以上を旅してきている。アメリカではフロリダ州などに在住経験あり。マーケティングの世界に身を置きながら同時にフォトグラファーとして国内外で活動してきている。国内外各地の風景、街、人、いきものたちのお茶目なサプライズを自由に切り取って写真制作および展示、スライドショーを展開してきている。写真集ENCOUNTERSシリーズ(Ⅰ,II,Ⅲ,Ⅳ,V,VI,VII;日本カメラ社)は幅広いファンから愛されている。最新刊ENCOUNTERS in Pakistan (みつばち文庫)は子供たちのピュアな笑いがいっぱい。
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