Aya Ueno exhibition「A Lives」story
Contributed by Aya Ueno
Local / 2022.04.13
はじめての個展の写真を撮るという口実をつけて、2021年のおわり、ロンドン行きの飛行機に飛び乗った。
今日は、その当時オミクロン真っ只中に決行した渡英と、この個展への想いについて書きたい。
ガラガラの飛行機。
いきなりだけど、わたしを成長させてくれるのは、いつだって人との出会いだ。
例えば東京に越してしばらく経ったころ、わたしの好きなことをまさに体現し、尚とっても楽しそうにされている方に出会った。
その人はとにかく楽しいことが大好きで、ジャンルを問わず、とっても物知りだった。人たらしとはまさにこの人で、愛に溢れてもいた。もしかしたら計算なのか、またはその人懐っこさ故なのか、人を楽しませるのが上手な分、周りを引き寄せて巻き込み、好きなことを仕事にも変えてしまうのも上手な人だと感じた。
その人は「あやちゃんが知ってて僕が知らないことなんてないよ」と、冗談半分に、でも何度もそう言ってきた。彼の言葉にわたしは、悔しくも本当にそうだと思った。
わたしだってもっともっと未知な物事や考え方を知りたいし、そしたらそれをもっと表現したい、こんなふうに人をドキドキさせたいと考えを巡らせていると、焦りなのか、気持ちの高ぶりなのか、心がいっぱいいっぱいになって、思い返せばこの時期一人になるといつも涙が止まらなかった(笑)。
A Livesのはじまりのきっかけはこのショッキングな出会いで、あの時はすごくしんどかった(楽しくて、またその為に辛かった)けど、今思い返せば、本当によかったなと、心からそう思う。
こうして始まった個展は、大好きな人をテーマに、その舞台をロンドンとした。この街は決して広くはないけど、相変わらずほんとうにいろんな人がいるのだ。世界中から集まった彼らの胸には、一人一人違ったストーリーが秘められていて、わたしはそんな彼らに会いに、イギリスへ行くことに決めた。わたしが知り、魅了されたロンドンの魅力が表現できたら、そしてそれにどきどきする人が一人でもいたらどんなに素敵だろうと思ったのだ。
昔と違って私は会社員だし、コロナは依然として落ち着かないし、たかが旅行でも、こんな時期の渡英は決して簡単ではなかった。最後まで不安でしょうがなかったけど、だからこそ、その頃の私には必要な経験だと感じた。
やっとの思いでロンドンに着くと、そこは2年前とほとんど変わらない、私が知っている街だった。わたしは留学時代の知人を訪ね歩いて再会劇を繰り返し、バス停、地下鉄、道端、カフェ、空港、あらゆる"なんでもない空間"ではまた新しく素敵な出会いに恵まれた。大好きな大切な人は、1人また1人と増えた。
わたしの好きな人とは、子供みたいな心で好きなことに夢中な人だ。そんな人の言葉、表情、オーラは、とてつもなく美しく、わたしの心をドキドキさせる。
彼らに、"ロンドンを一言であらわさないといけないとしたら、何という?"と聞いた。二十人以上に聞き回ったけど、驚くことに、即答した人は誰一人としていなかった。みんな、うーんと唸って、これは大事な問題だというように真剣に考え、思い思いに書いてくれた。
いつも、その時持ち合わせていた紙に彼らの字で書いてもらっていた。
これは、何かのレシート。
毎日持ち歩いていたノートと色鉛筆。
この展示の主人公は、そんなわたしの大好きなロンドナーたち一人一人のライフ。わたしが彼らから感じたものを、そのまま伝わることを願ってシャッターを押し、その空間に似合う言葉をあれこれ頭を巡らせて探した。このギャラリーに足を踏み入れた人が、まるであのグレー色の空の下をわたしと一緒に歩いているような気持ちにさせられたらいいなとおもう。そして、またこの展示会で、たくさんの出会いがあることを願う。
最後に撮った写真。
Aya Ueno exhibition「A Lives」
■会期:2022/4/22(FRI) 〜 4/24(SUN)
OPEN時間:12:00-19:00 Entrance Free
※4/22(FRI)のみレセプションのため、18:00-21:00
■会場:Container Graphic Gallery
東京都渋谷区南平台町8-11 Mo-Greenビル2F
※最寄り駅:JR山手線渋谷駅から徒歩11分/東急電鉄東横線代官山駅から徒歩12分/京王井の頭線神泉駅から徒歩12分
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Aya Ueno
兵庫県神戸出身、東京在住のWriter/Photographer。学生時代に渡ったイギリス留学を機に、人や、取り巻く空間を魅せる表現に興味を持ち、現在Containerをはじめ、カルチャー、フードメディアにて発信中。
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