夏の北海道でソロキャンプ

deepest ocean #1

夏の北海道でソロキャンプ

Photo & Text: Kyogo Hidaka

Local / 2023.01.24

昨年末、Container Graphic Galleryにて自身2度目となる展示『deepest ocean』を成功させた写真家・Kyogo Hidaka氏によるアフタートーク。1人訪れた北海道でのロードトリップ10日間、そして沢山の人と言葉を交わした展示まで。1人の時間からみんなとの時間へと変化した『deepest ocean』の“はじまりとおわり”。

#1

去年の夏に初めて北海道へ行った話。
もともとキャンプが好きで、初ソロを飾る場所を探していたら、湿気も少なく気温も過ごしやすい北海道にまだ行っていないことに気がついた。知床にも足を踏み入れたかったし、ランドスケープの写真を撮影するのに間違いなく良い場所だと思って、夏に少し旅をすることにした。

僕は写真を撮る人で、プライベートは日常に寄り添った写真が多い。今は東京に住んでいて、一緒に出掛ける仲間や訪れた場所で気になった瞬間にシャッターを切っている。そんな自分が自然の中で撮影する写真に前々から興味をもっていた。

旅はいつもノープランで今回も新千歳空港で車をピックして、なんとなく知床を目指して出発するところから始まった。







北海道は広く、キャンプ場もたくさんある。その日移動できそうな辺りにあるキャンプ場から静かで心地良さそうな所を選んで点々と移動していた。
たまたま運が良かったのか、もとより数が多いせいなのか、どこのキャンプ場も2.3組程しかおらず、森で1人でいるような感覚を味わえた。
熊が少し怖かったけど。

キャンプの醍醐味は焚き火の炎だと思う。
風に揺れたり、バチっと火の粉が舞ったり、絶え間なく変化して表情を変える姿は、いつまでも見ていることができる。1人でただただ眺めていると、少しずつ炎に引き込まれて無心になったり、自分と向き合ったり。瞑想に近い感覚だったと思う。







湖や森、自然の撮影はいつまでも向き合っていられる。日の光、雲の動き、水面に映る反射、どこで切り取るのか、その時の気持ちも影響される気がした。昔からランドスケープの写真を見つめるとだんだんと引き込まれて写真の中にいる感覚になるのが好きで、ファインダー越しにリアルに体験できたあの時間は心地良いものだった。




「暗闇を照らす焚き火の炎は、僕の心を穏やかにしてくれる。目に映るものだけではなく、写真には心情も現れる。」






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