アリゾナノート
essay by T. T. Tanaka
Local / 2019.02.12
日本からのアクセスは比較的簡単で、LA(ロスアンジェルス)やSF(サンフランシスコ)乗り継ぎで、州の最大都市Phoenix(フェニックス)や、Tucson(ツーソン)などの大き目の都市に2時間くらいで着く。日本からのツアーもあるけれど、可能だったら、車で移動できると何倍も楽しめるよ~。レンタカーは各社そろっているけど、右側運転に慣れるまでちょっ心配だったら今や大都市になってしまったPhoenixよりTucsonをベースにする方が安心かも。。
アリゾナ州は、1912年にアメリカの50ある州では大陸で一番最後に州になったところ。
日本にいると大陸というのがぴんとこないけど、アメリカはやっぱり巨大な大陸なんだ。各州はその面積がとっても大きい。アリゾナ州の面積も29万平方キロメートルもあってイタリアやフィリピンに近い。日本の北海道を除いたくらい大きい。なのに、人口は640万人で横浜市+大阪市のサイズしかなくほぼ大都市に集中している。だから大都市を出ると人に出会うことは一気に減ってしまう。
僕もアリゾナは砂漠に柱サボテンかしらとイメージしていたけど、実際には、地形も気候も多様性に富んでいる。北部はグランドキャニオンがあってユタ州に接している。1500~2000mの高い山もあちこちに続き松などの常緑樹が育ち、雪が積もるところもある。西にはグランドキャニオンを数千年浸食してきたコロラドリバーが流れ、カリフォルニア州に接している。真ん中から南にはSonoran砂漠が広がり、柱状のSaguaroサボテン他様々なサボちゃんが育っている。土地は全体的にフロリダのようにかつて海底のサンゴだったから白い砂エリアというところはなく、全体に赤っぽいところが多く乾いている。硬ーい感じ。太古から恐竜があちこちにすんでいたところで足跡やらも残って、更に地球上ではめったに見れない隕石の跡も何カ所もある。
ちなみにPhoenixは北緯33度だから長崎県の五島列島や愛媛県くらいのところに位置しているよ。ちょっと意外な感じ。。。
アリゾナの名前の由来は色々あるようでインディアンや、また、スペイン語やら諸説。
歴史的には、スペインと強い関係のあったメキシコの一部だったんだけどアメリカの一部になったのが1848年。
また、アメリカ全土がそうだけど、ここも日本人ともDNAがつながるアメリカインディアンの様々な部族が住んでいたところで現在も数カ所居留区があり、全米でも一番人口に占める割合が高いとされる(それでも2%・・)。インディアンの部族ごとに特徴があって例えばアートもそれぞれデザインがユニークで素晴らしい。アリゾナには彼らの新旧の作品を州立ミュージアムやプライベートのギャラリーやお店でも見ることができる。
それに、悲しい歴史なんだけど、第二次世界大戦でアメリカと日本が戦ったことから、在米日本人は全米に設けられた10ヶ所の強制収容所に3年間隔離されていた。アリゾナには2カ所(?)あって、一つがカリフォルニア州に近い西のPoston, もう一つがGila川沿いのTucson(ツーソン)に近いところ(Gila river)にある。日本にも偉大な作品があって、日本人のファンも多く愛されている故イサム・ノグチもPostonに収容されつらい時を過ごした。アメリカの大建築家フランクロイド・ライトに精神的にもいろいろ支えてもらっていたそうだ。
アリゾナはアートやデザイン的にも多様な背景があるからこそ楽しめる。Phoenix近くのScottsdale(スコッツデール)にはシカゴにいたライトがこの砂漠に作ったデザインスタジオ タリエセンウェスト(Taliesin West)があって時代を先行して自然や地元の人々と調和にチャレンジした素晴らしい空間があり見学することができる。
気候的には砂漠気候で乾燥している。夏は50℃を超えることもあり、電気が引けてエアコンが普及して快適に住めるところとして人口が増えてきたんだ。
砂漠エリアなので水のない川!(ピンとこないでしょ。。。?)があちこちある。その川を道路がよぎっていたりするが、No entry when floodingと標識がある。そう雨が怒涛のように砂漠で降って一気にできた川が道路をブワーっとクロスする。その中に入ってしまうと車ごと流されてしまうので決して入ってはならないんだ。大自然をドライブする醍醐味は「現代人」の想像を超えているかもしれない。凸凹の未舗装を延々30㎞以上走るし、途中では飛べない鳥ロードランナーがよぎるし、どこまでも続く視界の向こうに山が見えているし、太陽や月も見える。大地を五感で人間として感じることができるし夜は圧倒的な満天の星降る空だ。
自然になじんでいくと、どんどん色々な命が見えてくる。小さな花やバッタ、さまざまなサボテンなど。きっと、それを体験すると「不毛の土地」なんて言葉は使わなくなるかもしれない。。
是非、機会があったら、この自然の中に身をおいてみてね~。
by T.T.Tanaka
イラスト、ロゴデザイン by 瀧口希望
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T.T.Tanaka
のっぽの体形からつけられたニックネーム、トーキョータワータナカ。出身は兵庫県。フォトグラファー/エッセイスト。今までに30ヶ国以上を旅してきている。アメリカではフロリダ州などに在住経験あり。マーケティングの世界に身を置きながら同時にフォトグラファーとして国内外で活動してきている。国内外各地の風景、街、人、いきものたちのお茶目なサプライズを自由に切り取って写真制作および展示、スライドショーを展開してきている。写真集ENCOUNTERSシリーズ(Ⅰ,II,Ⅲ,Ⅳ,V,VI,VII;日本カメラ社)は幅広いファンから愛されている。最新刊ENCOUNTERS in Pakistan (みつばち文庫)は子供たちのピュアな笑いがいっぱい。