“Travel is ENCOUNTERS” (アリゾナ篇) #12

“Travel is ENCOUNTERS” (アリゾナ篇) #12

Photos, essay by T. T. Tanaka

Local / feb.12.2019



“サボサボ~!”
ソノラン砂漠, アリゾナ州
Sonoran Desert , Arizona; by T.T.Tanaka


“おー、サボ~!”
“わー、サボ~!”
“キャー、サボ~!”
Phoenix(フェニックス)空港からレンタカーで10分も経っていない。。高速脇に突然見えたサボちゃん。柱のように背の高い、映画や漫画でよくみるあのサボテン。もう出会えただけでウキウキしてしまう。



緑の柱。大きいものは高さ15mくらいもあって200歳くらいにもなると言われている。
アメリカは大陸。砂漠も数か所ある。メキシコに近いアリゾナにはSonoran(ソノラン)砂漠が重なっている。この地域にしか育たないのがサグアロ(Saguaro) サボテンといわれる柱サボテンだ。赤っちゃけたカラカラの大地。そしておっと、遠くの山の斜面に緑っぽく見えているのもこのサボちゃんたちの緑なのだ。双眼鏡でのぞくと緑の柱が密集している。すごい不思議な景色。
何年か経つとアリゾナに無性にまた来たくなるのはこのサボちゃんに会いたいからなのだ。
すぐ近くに行くと昔から生きてきた巨人に会えた気がする。



“こんちは~。久しぶり。元気?”
“うん。あたぼーよ。寒いとこからよくまた来たな。”
“先輩。ちょいと太めになってません?”
“最近急に豪雨が来るからさ、一生懸命水すってるとさ、太っちゃって。だからほら、手広げてひねりエクササイズしてんのよ。”
“結構しぶいグリーン、はやりっすか? 体のひねりもなかなか決まってますぜ~”
“いやこりゃ定番の色だ。でもしぶいだろ? 今晩は満天の星。ふふ。ほら、見えるだろ、あそこの手上げてる彼女とデートなんだ。冬はな、人も動物もあんまり来ねえからグッドなんだぜ。”





“みずみずしいお身体・・”
ソノラン砂漠, アリゾナ州
Sonoran Desert, Arizona; by T.T.Tanaka


人間の体の60%は水分と聞いてびっくりした覚えがあるけど、サボちゃんは80%がお水なんだ。
ほら、幹がアコーディオン状態でしょ?
ここの砂漠では一年に何度か洪水になるくらい雨が降る。そのとき、サボちゃんはアコーディオン蛇腹を伸縮させてポンプのように一気に水を吸い上げる。体の体重は7tくらいのもあるから500mlのペットボトルウォーター1万本以上! も蓄えているんだね・・!
それも今の生活じゃなくて将来のために。。 Pump for future!
みずみずしいお身体。だから長生きできるんだね。大体寿命150~175歳。長寿だと200歳以上なんだって。
砂漠はカラカラと思いこんでいたけど実はいつもみずみずしい命たちがすむ自然なのであった。
あ、僕も見習おうっと。。




“サボちゃんのお友達・・”
ソノラン砂漠, アリゾナ州
Sonoran Desert, Arizona; by T.T.Tanaka


Sonoran砂漠にはサボちゃん以外のお友達や仲良しご近所さんもいる。Good neighbor ね。足元には1㎝にもならないかわいいお花が小石の中に咲いていたりするんだ。
よく出会うのはOcotillo(オコティロ)といわれる木で思いっきり地面から天に向かって手を広げていて5mくらいにもなる。トゲトゲしていてサボテンみたいだけど、落葉樹で、3月~6月には真っ赤な花が咲く。つぼみでもほらこんなにつやつや。このつぼみは一晩ねかせると美味しいジュースになるらしい。飲んでみたい! このつぼみは砂漠の中の揺れる赤いつぶつぶ。砂漠のサンゴ(Desert Coral),やCandlewoodともよばれているらしい。ふむふむ。





砂漠の中に身をおいてゆっくり呼吸していると段々景色の中の様々な色のスパイスが見えてくる。
サボちゃんはこのスパイスの四季の変化も味わっているんだね。そうそう。サボちゃんも春になると真っ白な花が咲くんだった。。。と思っていたら、ブガブガブガ・・・と体の後ろから低い声が。。あら、頭上に黒い鳥が元気よく飛んでゆく。低い声なので野豚ちゃんが来たのかと思っちゃったよ~。

赤っぽい丘の向こうのいろんなスパイスを見ながらテリヤキビーフジャーキーをかじっていたら、やたらステーキ食べたくなってきた。。。 Marineモーテルのおじさんに教えてもらったAgave Grill。行こう行こう。もちろん、Coronaビール、飲も飲も~!!





“ソノランでスキップ”---Skip in Sonoran----
ソノラン砂漠, アリゾナ州
Sonoran Desert, Arizona; by T.T.Tanaka


サボちゃんて人間みたいなの・・。
思いっきり、なんでそこから手を伸ばしてくるの?
あらら、このサボちゃんは、なんでそんなお目目でにっこりしてくれるの?
なんとサグアロサボちゃんたちは、70歳くらいにならないとそれぞれの個性的なスタイルは出来上がってこないらしい。
お、君も、あなたもいい味、素敵ね。いかん。僕はまだまだスタイルできていないよ~。

ごつごつの砂利道を四駆レンタカーでゆく。気がつくと時計の短針がまたひとつ右下に進んでいる。人には全く出会えないし、冬の寒く乾いた空気だけど、次から次に色々なサボちゃんに会えて楽しい。




雲が抜けてお日様がまぶしくさしこんでくると更にうきうきしてくる。
にぎやかなサボちゃんの中にいると、男女が手をつないで回って踊ってはねるメロディーがよぎった。
思わず砂漠でスキップしちゃった。。 愛を感じるメロディーとともにぐるぐる、ぐるぐる。。。






“Teen’s love”
ソノラン砂漠, アリゾナ州
Sonoran Desert, Arizona; by T.T.Tanaka


大きなサボちゃんはどーんと目に飛び込んでくるのに、ちっちゃなおサボちゃんを見つけるのは意外に大変なのだ。種からゆっくりゆっくり育ち 8年で2.5~4cmにしかならない。
ようやく見つけたのは10㎝くらいだった。中学生くらいになっているのかしらね。
青春真っ只中じゃん。
お兄ちゃん、ロン毛で決めてるね。
お、そこのカップル、ぽっとピンクに染まってんじゃん。
10代のデート~!!
かわいい。


「不毛」の大地?

サボちゃん。特にSaguaro cactusといわれる柱状サボテンが大好き。人懐っこく思えてまたアリゾナに会いに行きたくなってしまう。
Saguaroサボテンは、アリゾナの中部~メキシコにかけてのSonoran砂漠エリアにのみ育っている。
水が少なく厳しい自然で育つサボテンだからつい応援したくなっちゃう。
だけど、そもそもサボテンという言葉の由来を知ってびっくりしてしまった。なんとシャボン(石鹸!)からきているんだ。シャボン玉のシャボンね。16世紀後半(江戸時代)にオランダから長崎の出島にウチワサボテンが持ち込まれたらしい。なんと、サボテンの切り口で服や住宅の油よごれがよくとれてシャボンのような植物だということで石鹸体(シャボテン)に。。

大木のように育ったSaguaroサボテンは200歳くらいにもなる。
大きな体形の変化は70歳くらいになってから。
雨の時には筋肉みたいな体を伸縮させて水を大量に吸い上げて、将来の水不足の時に備えている。
葉は退化して尖がった針になって自らを動物から食べられることから守っている。
激しい砂嵐、強すぎる日光、そして冷気にも耐えている。
春には可憐な花を咲かせ、蜜を鳥たちに提供し、よく鳥たちの巣にもなったりしている。
150歳を超えて寿命がきて倒れると、サボテンたちの体内の骨のような芯(維管束)は、人々に束ねられ家の梁に使われてきた。。。。

動き回りこそしないものの、地球の上でしっかり生きぬいてゆくこの生命力はすごい。
サボちゃんに出会うたびにその素晴らしさに感心するのだ。素敵。
僕の頭の中から「不毛の大地」という言葉はとっくに消え去っていた。。

すごい。ぎゅーっと抱きしめたい。
お・・痛いじゃん。。
でも、ぎゅ~!!

フォト、エッセイ by T. T. Tanaka



イラスト、ロゴデザイン by 瀧口希望

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