Travel is ENCOUNTERS
Once Upon a Time in Micanopy” –ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ミカノピ
フロリダ II 篇 #70
Photos, essay by T. T. Tanaka
Local / 2024.01.24
“Old and New”
私; 「こんにちはー。あらー ご機嫌ですね。可愛い。」
女性; 「ありがとー。そう、わたしたち、この町が大好きなの。ここは初めて?」
私; 「町には何回か来てるんですけど、泊るのは初めてなの」
女性;「なかなかいいわよ。今朝もいろんな鳥が鳴いていて気持ちよかったの。」
私;「わー。楽しみ。ワンちゃんもいい一日をね~」
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
ここはフロリダ北部のMicanopy (ミカノピー)という町。フロリダ大学から南に車で15分くらい。600人くらいが住む古いちっちゃな町。
寄れたらつい寄ってしまうところなんだ。
あまり知られていないんだけど、全米のかわいい小さな町ベスト12などに選ばれたりしている。(HUFF POSTとかね)
っと、後ろでブォンという低い車のエンジン音がした。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
振り返ったら目に飛び込んできたオレンジのスポーツカー。おじさんが車から降りてきました。
私; 「すごーい。かっこいいですね~。スレィングレイ(Corvette Stingray)ですよね。いい音。」
おじさん;「ありがとー。ちょっと前に手に入れたんだ。音は僕のお気に入り。」
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
私; 「こんな車で旅できると最高ですね。」
おじさん;「生産現場で働いていたんだけど去年引退してね、前から欲しかったこの車、ようやく手に入れたんだ。気に入った町にこいつと行っているんだよ。」
私;「後ろ、シャープですよね。 撮ってもいいですか?」
おじさん;「いいよー。矢(arrow)みたいだろ?」
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
ここはちょうど泊っているB&Bの駐車場。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
なんと、隣に並んで止まっているのがホテルの車、フォードの1930年代の車。
この形、存在感たっぷりでかっこいい。
えっ、この建物(Herlong Mansion)は1845年に出来ているとのことだから、こういう車がここに実際止まっていたかもしれないんだ・・
今と昔、Old and New. タイムマシーンに乗ったみたいな光景ね。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
道路側からみるとこんなふう。
大きな煙突も立派だし、二階と一階には強い南部の日差しをよける屋根付きのテラスが見えている。アメリカ合衆国 国家歴史登録財(National Register of Historic Places)になっている。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
中ではいろんなアンティークと遭遇できて楽しい。古い時計もこんな感じでお迎え
この邸宅を維持していくのは大変だと思うんだけど、B&Bとして普通に宿泊することができるようになったのだ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
この時計は三角のお帽子をかぶったみたいでかわいい。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
アンティークのKodakのカメラの後ろに先住民の酋長の絵が飾られている。
そうそう、この町、Micanopyというのはこの近くに住んでいた先住民の酋長の名前。この建物がつくられる(1845年)少し前までこのエリアでは先住民との激しい戦いが繰り広げられていた。それより大分後の1883年に鉄道がここまで敷設されている。
昔も今も時計の1分の長さは同じなのかもしれないけど、この空間にいるとゆったりした気分になれる。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
暗くなるとほんのり灯るあかり。ステンドグラスのカーブも光もやわらかい。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
朝はこんな感じで外の緑を背景に食堂に明かりがついているんだ。
いい香りがただよっていて・・・、ほら、ね、
来ましたよ~!
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
できたてキーシュとパンケーキの朝ごはん。りんごと苺がそれぞれに。
ベーコンとほうれん草入りキーシュは定番よね。
パンケーキも素朴なスタイル。僕はイチゴのシロップ漬けの上から更にメイプルシロップをかけまーす! 大好きな芳しい香でノックアウト・・・
あ、コルベットスティングレイのおじさんも後ろの席でご満悦表情。食後のコーヒー飲みながらウインクで挨拶。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
窓際にはゲストノート。フロリダ州内のTampa(タンパ), Orlando(オーランド)から・・ お、東部海岸北のメイン州からもこられていますね。ここにfrom Japanって記入できるのもちょっと嬉しい。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
二階の板張りの古いテラス。
見下ろすとアメリカ国旗のはためくアプローチが道路まで続いている。ガラスのないこの空間、ロッキングチェアに座るとパームツリーの葉っぱが風に揺れる音がして心地よい。
“SLOW, CHILDREN AT PLAY(徐行, この先子供たちに注意)”
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka a
さ、Micanopyの町、歩いて来よう!
扉の手前には、アンティーク?じゃなくてアンティークを素材にしたアートが並んでいる。これはもはや手には持てないけど、持つところが鶏になっちゃったステッキ。お散歩するお客さんをお見送りしているみたいで可愛い。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
いい朝ね。目の前を頭の上をいろんな鳥が行き交う。
全身がほんのり赤いこの子は頭のてっぺんが僕の寝起きの感じみたい。Northern Cardinal(ショウジョウコウカンチョウ猩々紅冠鳥)かしら・・?
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
垂れ下がるスペイン苔に朝の光がもれささる。
ワンちゃんが元気よくご主人と歩いてゆく。
暑くなりそうね。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
小さな町のダウンタウン。
大きく育った樫木とスペイン苔。
この通り、Michael J. Foxが出演した“Doc Hollywood”(ドク・ハリウッド) のロケでも使われているんだ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
緑がいっぱい。お家より高く、大きく育ったこの景色。しばらく見ていないと無性にまた見たくなるんだ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
子供あそんでいるから注意、徐行~!!の古い標識。今はあまり子供たちいないんだけどね。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
未舗装の白い砂のままの道がカーブして、またカーブしてゆく。
きもちよくってついその先まで、またその先まで歩いて行ってしまう。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
おっと木の上から降りて道の真ん中までササササっと動く小さな影が・・と思ったらリスちゃん。樫木の実を拾っていたんだね。すっと立ち上がった姿が可愛い。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
はい。ちゃんと横断。
車の速度制限は15M.P.H. (約24km)で遅いけど、ちゃんと気を付けてね。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
あらら、こんどはワンちゃんがお散歩。ご近所からのお出まし。僕がずっと立ち止まっているもんで何しているのかなー?って感じで振り向いたのね。君も気を付けるんだよ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
歩を進めるとワンワンという吠える声。おうちをちゃんとガードしているワンちゃんね。えらいえらい!
すみません。旅人、突然立ち止まったりして。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
と、後ろからタイヤの音がシュシュシュシュっとするなと思ったら、カートに乗ったおじさんとワンちゃん。ワンちゃん、右側から行く先をチェック、運転手といい連携。この先のお家に一緒に帰るのね。
人は少ないし、子供たちも見ないけど、いきものたちにはあちこちで遭遇する。
“SLOW! 気を付けて。いきものたち AT PLAY”
“DELECTABLE COLLECATBLES” (美味しい収集品)
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
この場所、さかのぼると、スペイン人の探検家が小さな村を1539年には発見している。フロリダ内ではずっと人が住み続けている最も古いコミュニティの一つだそう。ダウンタウン自体がアメリカ合衆国 国家歴史登録財(National Register of Historic Places)になっている。
この古い壁にコカ・コーラのロゴが描かれている建物も、もともと1896年に建てられ、1950年代までは鉄道駅・卸し屋さんだったそう。今はコミュニティの歴史を知ることのできるミュージアムになっている。(※今は壁のペイントは描きなおされています)
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
古いお家を改造したカフェやアンティークの店が通り沿いにあって素敵なんだ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
朝のお散歩の人達もかわいいですよね~
南北戦争のころのものもあるアンティークショップが並んでいて見て回るのも楽しいんだ。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
レンガ造りの建物に入ったこのお店もずっと前からあるのね。
“DELECTABLE COLLECATBLES” (美味しい収集品) というお店。
入ってみよう入ってみよう。
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
あらま、ショーケースの上で堂々とのんびり黒猫ちゃんがお食事中。
かわいいけど、ちょっちょっとその、商品見えないんですけど・・・ (ふふ・・)
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
お店のおかみがスッと現れて、
おかみ;「あらー。ごめんなさーい。その子の大好きな場所なんです。ついお邪魔してしまって・・。」
私;「カメオが沢山並んでいてびっくりしました。こちらのシルバーとターコイズのアクセサリーたちもなかなかいろんな珍しいデザインがあって見事ですよね。」
おかみ;「あらー。嬉しいことおっしゃるわねー。シルバーコレクションずっと続けているのよ。どちらからなの?」
私;「日本からなんです。前にフロリダ住んでいたことがあってこの町も大好きなんです。」
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
私;「猫ちゃんの絵もあって猫ちゃんLOVEなんですね」
おかみ;「そうなの。かわいいでしょ?」
私;「猫ちゃんと一緒にお写真とって日本の読者にお見せしてもいいですか?
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
おかみ;「わー。嬉しいわ。こんな感じでどうかしら?」
私;「ありがとうございます。猫ちゃんも決まりましたよ。あとでお送りしますね。」
おかみ;「とっても嬉しいわ。でも、羨ましがられるかもしれないからまわりには内緒にしておくわ・・。」
その後も話がはずみ、あっという間に時間が過ぎ・・いかんいかん
Micanopy, Florida, USA by T. T. Tanaka
おかみと私の記念ショットもとったし、失礼しなければ。
私;「ありがとー!! 嬉しい時間でした~ お会いできてよかった!」
おかみ;「はーい。ありがとー。日本の皆さんにもよろしくね~」
ドアを開けて通りに出た瞬間、あ、アンティーク、買うの忘れてた!
あのシルバー/ターコイズを・・・
あわててお店に戻る私でした・・
“Once Upon a Time in Micanopy”--ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ミカノピ
もう何年前なんだろう?
フロリダのクラスで隣にすわった学生から、休み時間に、「Micanopyって小さな古い町があるの。画家や陶芸家たちも住んでいるしアンティークも面白いの。素敵なところだから是非行ってみるといいわ。キャンパスから車で20分くらいよ。」 と教えてもらったのだ。
Micanopy—ミカノピ というその不思議な町の名前。それは先住民の酋長の名前から来ていたのだった。アメリカには先住民にちなむ名前の町が沢山ある。マサチューセッツ、ミシシッピー、シカゴ・・・・・。
大きなモールもレストランチェーンもない小さなところなんだけど、何回いっても、大人たちが住み続けている。少しずつ次の代に替わりながら・・・。
映画ロケにも使われたメインの通りから横にそれると今でもずっと残る未舗装のままの道。フロリダ内陸の真っ白な砂の通り。カーブしながら大きく育った森林の中を鳥の声をききながら、リスに遭遇しながら歩いていくのは心地いい。森の中に散在する小さなおうちたち。歩いているとワンちゃんや猫ちゃんたちにもご挨拶できる。
最新のスポーツカー、Corvette Stingrayと1930年代のFord車。
スマホで見るGoogle mapと目の前に広がる古い町。
アンティークとモダンアート。
Old and New.
そんなふたつを味わうことのできる町, Micanopy.
僕の中でも歴史の中でも素敵な時間を刻んでくれる。
Once Upon a Time in Micanopy, Florida, USA.
ありがとう。また、来ます。
See you again.
そうそう、もちろん、来ますよー
だって、ベーコン・ほうれん草キーシュとストロベリーパンケーキ、美味しかったもの。
Photos, essay by T. T. Tanaka
旅はENCOUNTERSアーカイブ↓
フロリダ篇
カリブ篇
アリゾナ篇
ワイオーミング篇
アソーレス篇
グリーンランド篇
ネブラスカ篇
ラトビア-バルト海篇
台湾篇
Tag
Writer
-
T.T.Tanaka
のっぽの体形からつけられたニックネーム、トーキョータワータナカ。出身は兵庫県。フォトグラファー/エッセイスト。今までに30ヶ国以上を旅してきている。アメリカではフロリダ州などに在住経験あり。マーケティングの世界に身を置きながら同時にフォトグラファーとして国内外で活動してきている。国内外各地の風景、街、人、いきものたちのお茶目なサプライズを自由に切り取って写真制作および展示、スライドショーを展開してきている。写真集ENCOUNTERSシリーズ(Ⅰ,II,Ⅲ,Ⅳ,V,VI,VII;日本カメラ社)は幅広いファンから愛されている。最新刊ENCOUNTERS in Pakistan (みつばち文庫)は子供たちのピュアな笑いがいっぱい。