“Travel is ENCOUNTERS”
台湾篇 #57
Photos, essay by T. T. Tanaka
Local / 2022.12.19
屏東(Pingtung), 台湾; by T. T. Tanaka
熱帯の台湾。日が暮れてきた・・。
ほんのりオレンジに染まる中、人々が帰路についてゆく。
屏東(Pingtung), 台湾; by T. T. Tanaka
屏東(Pingtung)駅近くの寺院、慈鳳宮の境内。今日は風もあまりなく穏やか。バイクや車の往来の音が段々高まってきた。
屏東(Pingtung), 台湾; by T. T. Tanaka
ぼんぼりさんに灯がともった。あ、この子はここでお母さん来るの待っているのよね。もうすぐお家に帰れるからね~
屏東(Pingtung), 台湾; by T. T. Tanaka
速い足音がシルエットと一緒に近づいてきた。
お母さんかしら・・?
足元のタイルの模様が素敵。
屏東(Pingtung), 台湾; by T. T. Tanaka
電源が入って一気に天井が明るくなった。
夜が来ちゃったね。
屏東に別れを告げて電車でお隣の高雄に戻ろう。
“にぎやかさ、お久しぶり・・”
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
台湾の西南部で大陸に面した高雄(Kaohsiung)市は台湾最大の港があって人口270万人。久しぶりの大都市。ちょっと人恋しくなってきたせいか思いっきりにぎやかな夜市に行きたくなった。夜市はいくつかあるんだけど、地元人気第一の瑞豊夜市(Rueifong)に行こう。
わ、もう、上からも横からもいたるところから人々の歓声や食器や色んな音がひびいてくる。
「日式 黄金魚蛋」という看板が目に飛び込んで来た。黄金色のお魚のすりみボールを日本のおでん みたいに温めて出してくれるお料理。カレー風味で黄金色のすり身は香港で人気なんだよ~。
台湾×香港×日本ね。
いいにおいがしてきた。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
こっちの看板には、「阿婆滷味」と書いてある。「滷味」は「煮込む」ということのようで薬膳の食材を煮込んだ醤油ベースのスープ。材料はお肉も魚介類もお野菜もあるんだね。あ、麺もあるの。トングでザルに好きな食材を選んでいれ、調理をお願いして、グツグツとお鍋で煮込んでもらうの。わあ、旨味がとろけている・・・とっても辛い大辣dà làから小辣xiǎo là、辛くない不辣bú yàoまで好みに合わせてくれる。
夜市でお食事もできちゃうね・・・
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
色んな国から来た人たちがまざりながら湯気の中、おいしそうにつっついている。
あら、お箸頑張って使っている。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
香ばしい香りがすると思ったら馴染み深い焼きトウモロコシ。
あとでタレをつけてゆくんだ~。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
このお店では「沙茶」「古早味」「素食」の三タイプを選べる。ヒラメなどの魚介類ベースに香辛料や油を煮込んだ沙茶醤というソースの味付けか、昔からの味付けの「古早味」か、お肉やお魚をベースに使わない「素食」タイプか。私は屋台では辛味をきかせて**味だわとか、いやー俺はとれたてのトウモロコシにはやっぱり甘さがひきたつ**味だよ~とかいいながらもりあがるのかしらん・・。食べたいんだけど、我慢・・ああ・・。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
あちこちでたのしい気持ちが浮かんでいるよ。トウモロコシ君がVサインでイエィ!
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
「狀元糕」これは? 古くからある糯米粉(もち米粉)(白玉粉)ベースのホットスイーツケーキ。糕はケーキのこと。「狀元」は中国の官僚の科挙試験で主席だった人に与えられる称号のこと。え、意味がわからない・・・。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
その主席の被る帽子は先が尖がっていたんだって。ほら、このおじさんがもっている筒の上がその帽子に似ているでしょ?
トッピングされた小ぶりの熱いお餅のようなものが手際よく次から次に出来上がっていくので見ていて飽きない。
調理方法はうまく説明できないんだけど、このテーブルの下にはお湯がお鍋でぐつぐつ沸いていて、フタの穴に直結した管がテーブルの上までつきでていて湯気がどんどん出る。
そこに、上部を白玉粉でふさいだ中空の木の筒を湯気の出ているその管にかぶせるんだね。白玉粉はじょうろみたいな形で上にのっかっていて、お帽子を木の筒の上からかぶせるとものの一分くらいで、一気に蒸しあがる。すると、木の筒ごと片手でもちあげて、お帽子をはずして、筒ごと尖がった別のスタンドのような棒(おじさんのお腹のすぐ前にある)に刺すとできあがったホットケーキがぽろっと上からとれるってわけ。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
こんなふうにね。ちょうどクッキーのようなかたちのケーキをトングでとりだす。手前の木の筒の帽子の中には既に次の白玉粉がセットされて蒸されている・・・
「狀元糕」のお店はあちこちにあってその職人技に見入ってしまう。花生(ピーナッツ)、芝麻(ゴマ)、肉燥(豚の肉味噌) など色んな味があって楽しい。我慢できず頼んでしまったゴマ味。ほこほこ、粘り気もすこしあって美味しい。
“Exciting time”
子どもたちの歓声が沢山上がっていると思ったら、このプールには色とりどりのおもちゃが盛り上がって浮かんでいる。果物畑みたい。これ、ミニ釣り竿で釣るんだよね。ぶどうやすいかやリンゴやナシや・・・
おっと女の子がリンゴが釣れそうだったんだけど落としちゃった。ざ、残念・・。リンゴは台湾では高いのよね~
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
こっちはね。木箱に入った30個ぐらいのボールを購入して自分でコースに流し込む。ゴールに強く当たると点数がはねあがって色んなものをもらえるのよね。でも強くいれると途中ではみだしちゃうのね。そっといれると点数がしょぼい・・・
そうそう、その、あんばい(塩梅)が大切なのよ。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
そうそう、しっかりボールを握って~
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
Go! Go!
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
おっと。こっちはパチンコ台みたいなの。釘がいっぱい打ってあって、点滅しているレーンに自分が撃った玉をいれると得点になるのよね。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
発射の強さ、玉の重さ、摩擦、玉と釘の反発力などなど・・・
エイッ、え、そこの釘にあたるか、お、そんなにはじかずに戻ってきて・・
お、なんと、その緑玉きたね~ 君、もってるね~
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
こっちは麻雀ゲーム。
「麻將賓果(麻雀ビンゴ)」例えば100元払うと4回チャレンジ可能。一回ごとに牌が15枚でてきてビンゴにチャレンジ。ビンゴ、一列か二列かで景品が変わる。そのほかに四隅がそろうと飲み物が当たったり・・・
目つきが真剣だよ~
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
じっと注目しているこの目の先にあるのは、「瓶立てゲーム」なんだ。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
まな板の上に瓶を置いて・・・
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
先にリングのついた紐でビール瓶の口をひっかけて立たせれば景品をゲットできる。
簡単そうじゃん・・
と、これが殆どの人は起こせても立ったままにはできずに瓶はころんでしまうのだ。いろんな悔しい表情が続いていくんだけど店主はホクホク・・・。店主がやると簡単に成功するんだけどなあ・・。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
この店は三つとも立てると景品がでかい三連チャレンジまであるのだ・・・
結構、おなじみっぽいお客さんが来たよ。自信たっぷり。ね、こんなふうに三つひっかけて
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
エイッと気合を入れて
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
そうそう、起き上がる、起き上がる・・・!! おーっ
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
と、なんと、後一歩だったのに一本がむなしく倒れていったのであった・・・
一本ずつ三回やれば多分二回は成功して二つ景品もらえたかもしれないのに、でっかい景品ゲット目標をかかげて三連にチャレンジするんだね~ 成功確率がある限り自分の能力を信じ最大限パワーを引き出しやってみることに意義があるのだ!という誇らしげな顔がそこにはあったようななかったような・・・
“and my time”
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
漆黒の夜空。にぎやかな音がひびきわたる中、それぞれの時間がゆったり流れていたりする。一緒にちょっと長めに歩いたりもしたいし、一人で歩んでみたいときもある・・
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
自分の好きなテイストのアクセサリに遭遇したりするし・・・
屋台のスポットライトはウキウキ感を高めてくれる。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
おっと、あれ、白い小鳥さんがおじさんの前にいると思ったら、占い!「神鳥卜卦」神鳥さんうらない。自分の生命月日と名前を書いて、うらなってほしいことを先生にお伝えすると神様のお使いの鳥さん(神鳥)が占ってくれて何枚もある中からカードをついばんで先生に渡してくれる。それを先生が読み解いてくれるんだね。
二人とも真剣。彼氏のことか、キャリアのことか、金運か・・。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
行きたーいとおねだりして、思いっきりはしゃいで盛り上がってきただろう男の子。お母さん抱っこで爆沈、爆睡中・・大好きかもしれないトウモロコシの匂いが漂ってきても爆睡継続。すぐとなりのお洋服のお店にもちょっと寄るからね。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
ワンちゃんも一緒に来たけどちょい疲れ気味。
もうちょっと行こうよ~って引っ張るけど・・・
ぼちぼちお家に帰らなきゃね・・・。
ピンクのお靴に長~い髪の毛の女の子。ストーンのブレスレットもかわいい。
高雄(Kaohsiung), 台湾; by T. T. Tanaka
夜はまだまだこれからかもだけど、こどもたちはお家に帰らなきゃね。
帰りたくないよ~ そうだよね・・・
ピンクのキャラクターも、あ、キラキラ クリスマスツリーも見送ってくれているよ。
また来ようね~
今晩はぐっすり眠れるよ。
“Life is a game?”
僕は自然大好きで、流れてくる風の音や海の音に体中そまっているのは至福の時間なんだ。その背景の地球の時間や歴史の流れを感じるのも大好き。でも過ぎゆく時間の中で人恋しい波が押し寄せてくるタイミングがある。
自分にとって台湾の夜市ってそんな波の時間でもある。あふれかえるような様々な音や香。次々に出会う人々の顔。そこには楽しむ人たちと楽しませるひとたちと。いろんな知恵もそれとからむ感情もいっぱいあってexciting. それぞれにルールがあってみんな真剣にやるからイキイキしているのよね。Gameって楽しい。
屋台でいろいろつまんでゆくのも食べ物小旅行みたいで面白いし、占いも未来に飛んでいけるしね。
日本でもお祭りの日に屋台が出たりするけれど、台湾にはこんな夜市が常設されていて行きたい気分になるといつでも行ける。みんなの気軽なテーマランドみたいね。
台湾にいる間にもう一回行ってみようかな~
日暮れから行って、お食事もその中で立ち寄り立ち寄り、ゲームはしご~~
いいなあ・・
う・・・ん?
そういえば、誰か、人生もゲームみたいなもんだって言ってたね・・・。
お金と時間を入れて、大きく得られることもあるけど得られないこともある。そこにはいろんな感情もある。でもやらなければ何も得られない。勝負しなければ得られるものはない。その結果次第で寄ってくる人もいるし、結果に関係なくずっと付き合ってくれる人もいる・・・
Life is a game?
Photos, essay by T. T. Tanaka
※ 2022年より前の取材を元に書いております。現地のナビゲートや色々な情報は大塚典子さん、飯田淳さんにご協力いただきました。
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T.T.Tanaka
のっぽの体形からつけられたニックネーム、トーキョータワータナカ。出身は兵庫県。フォトグラファー/エッセイスト。今までに30ヶ国以上を旅してきている。アメリカではフロリダ州などに在住経験あり。マーケティングの世界に身を置きながら同時にフォトグラファーとして国内外で活動してきている。国内外各地の風景、街、人、いきものたちのお茶目なサプライズを自由に切り取って写真制作および展示、スライドショーを展開してきている。写真集ENCOUNTERSシリーズ(Ⅰ,II,Ⅲ,Ⅳ,V,VI,VII;日本カメラ社)は幅広いファンから愛されている。最新刊ENCOUNTERS in Pakistan (みつばち文庫)は子供たちのピュアな笑いがいっぱい。