Kana Meguro『LOVE MY SELF』

個展開催記念トークショー Vol.1

Kana Meguro『LOVE MY SELF』

Photo:Takumi Shimizu

Local / 2023.05.16

2023年4月21日〜4月23日の3日間、Container Graphic Galleryにて行われたKana Meguroさんの展示『LOVE MY SELF』。今回は特別に、個展アフター記事として初日に行われたKana MeguroさんとContainer編集部によるトークショーの内容を2本に分けてお届け!!

Containerで現在連載中の『LOVE MY SELF』撮影・インタビューの様子や、Kana Meguroさん自身が感じる「セルフラブ」「ボディポジティブ」に対する想いまで、Container編集部・担当編集が気になることを伺いました。オープンマインド溢れるKana Meguroさんの言葉で、会場もポジティブな空気感に!ご来場いただいた方も、見逃してしまった方も、Kana Meguroさんの真っ直ぐでパワフルな言葉から伝わるガールズパワーをぜひ全身で受け取ってくみてださい!!


【5/21(FRI) 19:30 Talk show start!!】



―Container連載中の『LOVE MY SELF』、10回目の連載を記念した今回の個展。
まず連載『LOVE MY SELF』について教えてください!


「自分を愛す」というのがテーマで、私自身の左肩に入っているタトゥーも同じ意味!!
自分の中身でもいいし、自分の身体でもいい。なんでもいいけど何か自分の中で愛せるもの、自分自身が何か一つでも愛せるものがあれば毎日の生活の中で自信を持って生活できるんじゃないかな? と思いました。連載では「ボディポジティビティ」にフォーカスしていて、 “身体”をメインで撮らせてもらっています。モデルは人種や体型も全員バラバラ。彼女たちの写真だけでなく「自分の体に対してどう思っているか」「コンプレックスは何か」「そのコンプレックスを克服できたきっかけ」などのQ&Aも交えて、さまざまな「セルフラブ」の形を発信したいと思い、連載させてもらっています。


―今回は連載10回目を記念しての展示ですが、10回というボリューム感はどう感じていますか?

ちょうど連載を始めて1年ほどで、改めて見た時に最初は自己満でやっていたものが、意外と「モデルさんに対しての撮り方」「フォーカスしたいところ」「魅せ方」という点で、自分自身学べたかなっていうのは正直感じました。あとは自分のやりたいようなオリジナリティも出しつつ、モデルさんに合った色味だったりとか、作品のテーマも統一感なく、あえてバラバラな感じでいけたなっていうのを改めて実感できたのはありますね。


―私は担当だけでなく読者としても連載を拝見していますが、回数を重ねるうちにどんどん表現の幅が広がっていくというか…。そこも連載を楽しめる一つのポイントかなと思いました。

確かに! まずは自分のやりたかった作品と、本当はこういう写真が撮りたかったみたいなのを実現する。プラスアルファで、モデルさんって自分に対してどう思っているんだろうとか、中身の面でも深く掘り下げて自分の中で発信していけた1年だったかなっていうのがあります。

意外とみんなしっかり質問に答えてくれてるのも驚きで、「何時間も考えて答えるの遅くなってすいません」みたいな子も多くて。それぐらい、めちゃめちゃ難しい質問をしていたんだなっていうのも実感しました。でも内容がその分ちゃんと濃くて! モデルさんってやっぱり自分のことをちゃんと理解して発信できる子たちだなっていうのも分かったし、意外とこういうことも思っていたんだっていう新たな発見もできたので嬉しい気持ちが大きいです。今後はもうちょっとこの発信を大きく広げられたらいいかなっていうのが目標で!


―ぜひお願いします!
連載についてもう少しお話をさせていただきたいんですが、目黒さんの作品は『自分自身の身体』『自分を愛すこと』にフォーカスした作品ということと、インタビューが印象的かなと感じます。このテーマを取り上げたいと思うきっかけは何かありましたか?


そもそもこの写真を撮り始めたきっかけがあるんですけど、友達が「20歳の私のヌード写真を撮ってほしい! それを思い出として残したいんだよね」と言ってくれて。ただ私もカメラマンをやっているけどヌード写真は撮ったことがなくて。でも興味はあったから、練習として「やってみたい!」と思って。彼女自身「思い出として残しておきたいものだから載せたくはない」という思いもあって、この写真はSNSに載せていない。でも、それが1回目のきっかけで、もしかしたら自分では撮ろうとは思わないけど、きっかけがあれば自分の若い時の身体を写真で残しておきたいって思う人が意外といるんじゃないかなっていうのを思って。

それで聞いてみたら意外とみんな「やってみたい!」みたいな。例えばモデルさんだったら「カメラマンが男の人が多くて緊張する」とか、「なんか気持ちがポジティブになれない」とか。あと、写真だけじゃなく、何かもうちょっと伝えられるものがあるかなって思った時に、自分の身体についてどう思っているんだろうって疑問に思って一緒にフォーカスしてみようかなと。最終的にQ&Aの5問とモデルさん自身の身体と顔っていうのをフォーカスしてやりましたね。だから40歳、50歳、60歳、70歳、80歳とか“自分がおばあちゃんになった時に若い時の写真を見返したい”という思いが一番最初のきっかけ。



―最近は「ボディポジティブ」「セルフラブ」という言葉もよく聞くようになってきましたけど、この連載もパーソナルなことから始まったからこそ自分の内側の部分から発信したいというか、自分自身をポジティブに表現することのきっかけにも繋がりますね!

女の子たちが少しでも自信を持ってくれたら嬉しい。今回の10人のモデルさんたちも、いまだにコンプレックスを克服していない子たちもたくさんいるし、「愛してはない」って正直に言ってくれる子もいれば、「愛せるように努力してるけどわからない」みたいな子とか、正直に書いてくれる子がすごい多かったです。だからこういう子も本当に多いよっていうのを、もっと見てほしくて。「痩せなきゃいけない」を「別に痩せなくてもいいんじゃないか?」っていう気持ちに軽く変えてほしい。このQ&Aを見た上で、同じ考えの人がいるんだっていうのを知ってほしいし、これからもうちょっと大きく発信できたらいいなっていう。

日本でも最近になってやっと体型とか露出だったり、昔に比べたらちょっと自分に対してポジティブになってきている子が多いと思っているので幅広く、それこそ10代、20代、30代、何歳でもいいんですけど、女性とか女の子にもっと煌びやかな女性、女の子として生きてほしいので、ポジティブになれる一声がこの中に1個でもあって、それがその子の救いになると思ったら、私はとても嬉しいので今後も発信していきたいなって思います。


―素敵な考えです!! 今お答えいただいたみたいに「セルフラブ」っていう言葉自体が、だんだんと日本にも浸透し始めていると私も感じますが、その言葉自体に目黒さんの期待みたいな気持ちはあったりしますか?

期待…なんだろう? 自分自身「LOVE MY SELF」っていうタトゥーを左肩に入れてるんだけど、私自身も100%自分を愛してるかって言ったらいまだに愛せてない。なんなら全然自分に自信がないし、モデルさんよりも一番私が自信ないぐらいな感じなので。自分自身も含めていろんな形があって、体型に限らず性別も。だから性別も何も関係なしにいろんな人が自分自身をもっと愛して、煌びやかな人生を送れるきっかけ? また同じことになっちゃうんですけど、一人でも一日でも多くの人にそういう自信を与えられたらいいなって。プラス、私もこの作品と関わることでモデル本人からエネルギーをもらうっていう。それで自分も自信を持てるエネルギーにつながればいいという期待と、作品をきっかけに「セルフラブ」してくれる人がもっと増えればいいなっていう期待はありますね! 自分自身にも期待して!


―目黒さんの連載は一貫しているというか、テーマと想いがしっかりあるので伝わってほしい読者に伝わりますね。連載や目黒さん自身の発信、今後も楽しみにしております!
次にフォトグラファーの目黒さんとしてのお話を。モデルさんの女の子たちは10人、様々な外見の子だったりとか異なるバックボーンがある子たちが多いかなと思います。目黒さんが撮りたくなる条件みたいなものはあるのか、またモデルさんにはどういう風にお声がけしたり、撮影でどういうところを心がけているのかをお伺いしたいです。


条件は確かにあります! 正直に言うとタイプで決めてるんです。自分が男だったらこの身体タイプだなっていう子をフォーカスしています。あとは極端にがっちりした体型の人とか、もとから細身で太りにくい体質の人だったりとか。確かにいろんなタイプはあるけど、私が一番最初に「すごい美しい女性」っていうのを感じた人たちに声をかけさせてもらいました。みんな私の友達周りなのでアポイトメントは取材させてほしいとオファーしたり、こういうのを撮りたくてっていうイメージを伝えたり。でもやっぱり一番最初に言う言葉は「自分の若い時の写真、撮ってみない?」って。それを一発目に言ってみると「やってみたかった!」みたいな。それが一番の答えになって、みんな口をそろえて「やってみたかったけど、きっかけがなくて」とか「もしやってくれるなら是非お願いしたい」って言ってくれたので一番簡単にモデルをオファーできる方法というか、意外とみんなそういう風に思ってくれていたんだっていう。


―それがあれですね! 最初のきっかけというか。

そうです! 確かにそうだなと思って。いい思い出として作品を残したいなと思う人は思うし、どうせならちょっとおしゃれに残したいとか。あとは身体についてどう思っているかを発信したいっていう、人のつながりのつながりで答えてくれる人も結構多くて。そのつながりを大事にしてアポイントメントを取っていました。


―撮影についてもう一つお伺いしたいんですけど、目黒さんの作品は一人一人のパーソナリティが出ている撮り方というか、テーマは同じでも彼女たち自身の色味がそれぞれ出ているのかなと思います。パーソナルな作品を撮るときに彼女たちとのコミュニケーションはどうしているのかなって。そこが気になりました。

そのときそのときで全然記憶がないんですよ。気付いたら撮ってたみたいな。だから家に帰って見返して、こんなの撮ってたっけ? みたいな。
会話は日常会話がすごく多い。あとはボディを撮る上で大事にしてるところは「一番自分が見せられる」とか、「一番フォーカスしたいパーツはどこ」っていう彼女たちの意見を大事にしています。あとは写真を撮りながらここの角度めっちゃいいっていう、撮ってみないとわからない部分? 写真を見せて「意外とここめっちゃ綺麗に写る!」とか、「意外と私くびれてんじゃん!」とか意外な発見をできる撮影でもあったので、撮ってみて「お! 新しい発見!」みたいな。そういう時間をめっちゃ大事にしてましたね。

なので撮り始めてからが本番というか。モデルさんに写真を見てもらって「自分、こういう感じで意外と大丈夫だった」みたいな子が多かったので、そういう一瞬一瞬を大事にして、「じゃあもうちょっとここを撮ってみよう!」みたいな。見せ方とかも、一枚一枚写真を見せながら展開していくっていうところは大事にしました。


―友達というか、割とラフに、じゃないですけど。

はい!フランクな感じで!


―それがきっと、彼女たちが自然な姿でいられる理由ですね。

そうですね。私もかしこまってバチバチやるのは緊張しちゃうので友達同士みたいに喋ってる感覚でシャッターを切ってる方が気は楽です。モデルさんも自然な姿と表情を出してくれるので、そこを大事にしながらお互いラフな感じで、かしこまらずみたいな。モデル側はいつもより露出が多いから緊張してるけど、でもそこは楽しんでほしくて!





―次にインタビューについて。目黒さんの作品は写真だけでももちろん魅力的なんですけど、質問があることで見ている側もホッとしたりとか、後押しされたりとか、勇気づけられたりっていう子達もすごい多いんじゃないかなと思っていて。元々はフォトグラファーとして活躍している目黒さんがインタビューも一緒に行おうって思った理由とかは何かありましたか?

そうですね。私自身っていうよりかは、前ボディポジティビティについての写真コンテストみたいなのがあって、写真と一緒に質問アンケートを出すんですけど、そのアンケートが20問くらい全部ボディポジティビティについての質問で。私はある程度答えられるだけ答えて提出したんですけど、結局何も結果はなくて。

でもその質問内容を見た時に、今私が撮ってるようなことって多分同じような内容だなって思って。それで動画だったらまだしも静止画だけじゃ伝わらない部分があるから、私が実際に受けたQ&Aのクエスチョンっていう部分でフォーカスしてモデルさんの本心というか、自分の体の本音を語ってくれたら100%伝わる部分が120%伝わるなって思って! カメラマンとして写真では伝えられるけど、プラスしてもっとこの写真をよく見せたいなって思った時に、何か文章とかコメントがあった方が絶対見やすいというか、Q&Aを見た上で写真も見てもらえればなんかもっと他に触るものがあるなと思って今回Q&Aをやらさせていただきました。


―目黒さんの写真はすごく素敵だからこそ、可愛いけど自分はどうかなって置き換えた時にやっぱりハードルが高く感じちゃう人もいると思います。でもQ&Aがあることで「こういう子たちもこんなことを思ってるんだ」って思えて、それこそ読者へのボディポジティビティの提示に繋がっているなっていうのを感じて、改めて素敵な企画だなと思いました。

めちゃくちゃ言いたかったことを言ってくれました!


―ありがとうございます!



次の記事では連載『LOVE MY SELF』でもモデルさんに質問しているQ&AをKana Meguroさんに質問し、お答えいただいた内容をお届け♡
今回のインタビューで印象に残った言葉『ポジティブになれる一声がこの中に1個でもあって、それがその子の救いになると思ったら私はめっちゃ嬉しい』というKana Meguroさんの言葉通り、こんな素敵な女性もいろんなことを感じて、いろんなことにチャレンジしているという等身大のメッセージが次回のQ&Aで伝わりますように…。

To woman is the world … ♡



Photo:Takumi Shimizu(@takumi___shimizu

【Profile】

Kana Meguro
1998年4月25日生まれ。フリーランスフォトグラファー。
ナチュラルなポートレートから、被写体の内面を映し出すようなビビッドな作品を得意とし、自らモデルを務めることも。
IG: @kna_mgr425
HP: https://kanadnc0425.myportfolio.com/

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