「大丈夫。今日も生きている」刊行

我が子の生きる力を信じて、カメラを向け続けた日々の記録。

「大丈夫。今日も生きている」刊行

Contributed by anna magazine

Local / 2020.10.16

数々の雑誌や広告、CMなどで活躍中の写真家・田尾沙織さんが、自身の出産と超低出生体重児として生まれた子どもの成長を写真とともに綴った『大丈夫。今日も生きている』が刊行されました。

2015年秋、写真家の田尾沙織さんは妊娠25週4日で、500gの奏介君を出産しました。しかし、医師から最初に告げられたのは「72時間が山だ」の一言。

“生きている時間が残り少ないとしたら、産まれた事実を残してあげたい"

田尾さんは、産んでよかったのかという疑念、自分に母性があるのかわからない戸惑い、解消されない悔やみを抱えながら、それらを「生きてほしい」という希望に変換し、奏介君の生きる力を信じてカメラが向けられました。

本書は、田尾さんの出産から奏介君がNICU・GCUを退院するまでの256日間を、写真とともにつつづった命の記録です。この本には母の情熱と生きようともがく子どもの命の強さが詰まっています。



今回、発刊を記念して田尾さんにメールインタビューを行いました。

Container:この本を作ることになった経緯を教えてください。
田尾さん:インスタを始めてから、沢山のNICUに入院していたり、出産に問題があったお母さん方からDMで質問をいただくようになりました。私も入院中、同じような状況の赤ちゃんがいないか検索をしたので、できる限り真摯に返信をしていました。その中で、友人の家で会ったくらいの繋がりだった友達から、 推定1000gの赤ちゃんを産む予定だと相談の連絡があり、話を聞きました。その際にその子が「先生や他の人の言葉は耳に入ってこなかったのに、田尾ちゃんの言葉だけ届いた」と言われたことをきっかけに、いつかこの経験を本にまとめられたらと思うようになりました。

Container:記録として写真を撮っていた時の心境はどのようなものでしたか。
田尾さん:本にも書いているのですが、はじめはカメラを向けていいのか戸惑いました。でも、残さなくてはいけないと思ったので撮り続けました。普段、作品はフイルムカメラで撮るのですが、作品というよりは本当に記録だったので、大体は小さなデジカメで撮って毎日見返していました。フィルムもたまに使ったりしていました。

Container:この本をどんな人に読んでもらいたいですか。
田尾さん:同じ様なNICUに赤ちゃんがいるお母さんが、自分はひとりじゃないと思ってもらえたらと思います。多くの人は「元気に生まれました」とSNSに投稿している世の中ですが、出産は本当に命がけだということ、いろいろな出産があるということを赤ちゃんがいない人や男性にも、分かってもらえたら嬉しいです。



普段生活している中ではあまり意識することはありませんが、人が生まれてくることの奇跡、命の尊さ、母の愛。この本をきっかけに、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

『大丈夫。今日も生きている』
写真・文:田尾沙織
発売日:2020年9月16日
定価:本体1500円+税
発行:赤ちゃんとママ社

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