Travel is ENCOUNTERS (グリーンランド篇) #35

Travel is ENCOUNTERS (グリーンランド篇) #35

Photos, essay by T. T. Tanaka

Local / 2021.01.25


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

“Dog charge”


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

うん...? この標識なんだろう...?
逆L字で横にながーい。
しばらく坂を上ってわかったよ~。
雪原を走る「そり」なんだ。
「そり」がここを通るから注意。犬ぞりね。観光シーズンが終わる9月頃はまだ。2~4月がピーク。
雪到来を待つオフシーズンはこんな感じでそりが・・・


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

4000年も前から今に続く犬ぞり。
そり犬は他との交配は許されておらず、大事に人々と共に生活している。
雪のない季節は彼らは仕事がなくてのんびりなんだ。
雪原を雪煙あげて走るそりにのりたいな~。
この子、とっても精悍な顔つきでしょ?
きれいな毛並み。耳も大きい。
目も優れていて、薄い氷だとちゃんと立ち止まるんだって。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

こっちは春先に生まれた子犬たち。
オフシーズンだとお母さんと一緒。
犬小屋から顔を出した子がいると思ったら、あら、もう一頭、顔を出しました。
前足可愛い感じだよね。
お母さんが見守っています。
あったかい。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

この子たちは1歳くらいかしら。
お友達とじゃれまわっていたんだけど、僕をみつけて駆け寄ってきました。左の子はボールをくわえているね。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

岩盤斜面。この辺、まわりに木という木はありません。
雪がふるとあっという間に真っ白に。
今日はお日様をあびてあたたかそう。
すぐそこの冬に向けてチャージ中かしらね。
つかの間のお休み。
うとうとの夢は真っ白の雪景色かしらん。





Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

“雪山?”


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

Ilulissat(イルリサット)の町のはずれに1時間~2時間ほどのnature trailが3本あって楽しめる。ここから世界遺産エリアに入るっていう刻印メタルがウォーキングボードに埋め込まれている。訪れたのは9月中旬だったけど、もう僕以外誰もいない。
海岸、フィヨルド沿いに丘まで上がって回ってくるループロードに入ってゆく。
ボードのはるか向こうに白い雪山! っと思ったけど、あれは海に浮かぶ氷山なんだ。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

大きな氷山の手間を雁(wild geese)たちが群れでラインになって飛んでゆく。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

丘を上がってゆくと、氷山の上部しか見えてなかったのが段々下まで見えてきた。氷山の斜面だね。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

あらー。まるで火山の火口みたい。中にはブルーの光がまわっている。
その下には別のコバルトブルーの「火口」が。。あの中に身をおくとどんな光が見えるんだろう? どんな景色が見えるんだろう?


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

こっちはまるでアルプスの山頂。
あ、また、忘れていた。この「雪山」たち、海に浮かんでいるんだった。。





Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

“フィヨルドに立ち尽くす”

海岸すぐそばの壁のような坂を上がりきると、いきなり視野が広がった。
そこは大きなしわしわの岩盤が。木は一本もない。
目の前にはフィヨルド。陸の奥から流れてきた雪(氷)たち。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

一面に埋め尽くされた「氷」。
朝日を受けて影が一面に散らばっている。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

大きな波が激しく押し寄せる海は見たことがあるけれど、雪のかたまりが波のようにひしめきあっているのは初めてだ。リアス式海岸が雪で埋まっちゃった感じかしら。。
ぷかりぷかりじゃなくて一面に凹凸のある大きな絨毯みたい。一部が少し盛り上がったり模様の部分部分が色んな方向に動いたり。。不思議な感じの入り江。
ギューギューいう音も、細かいプチプチという音も。
その上を風の音が流れてくる。
あの絨毯の上に寝転んでみたらすごい景色なんだろうね。お昼寝はできないと思うけど。。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

河原に降った雪のように見えるけど、海の上の小さく砕けた雪(氷)のかたまり。
浮いているのもあれば、大きなかたまりの上にのっかってまたくっついてしまったものもある。となりあっていてもその動きが違う。
ほんのり青っぽいのは年月がたっている。年齢もいろいろね。





Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

“Fool on the hill”

気づいたら崖っぷちに「水たまり」。
カチンカチンに凍っている。海の氷は動いているのにこっちはビシッと固まっている。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

段々冷静になってきたら、あるわあるわ足元に。
凍ってしまった水たまり。
それがどうして、こんな紋様ができるんだろう。
沢山の輪になっていたり。
30~50cmくらいの幅の中でいろんなドラマが生まれている。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

こっちはほんとに浅い水たまりだろうからそのままブーツでチャプチャプ歩いて行けばいいやと。行ったら、あらー、おバカなことに、まさか全部凍っていてそのままズザーっと大転倒。僕の目の前に迫ってきた氷の中には枯れた葉っぱのCotton grassが。
あ、あれー! ここの氷はまんまるに穴があいている。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

丘の南側に行ってみたらこんなフィヨルドの岩盤斜面にCrowberryが一面に。よく育つよね。緑が少し残っている。
え...? そのまま行き過ぎるところだったけど、どうして、ここに太めの枝があるの? どうみてもこの丘には木はないもの。というかこの町にはほぼ木はないもの。まさかの風さん? 鳥さんが運んできたの? 宇宙人なの?
氷紋はあるし、凍った水たまりはあるし、一面に見える絨毯フィヨルドはあるし、謎の枝はあるし。ね、Fool on the hillじゃなくてこの丘の仙人さん、教えて~。

※ “ Fool on the hill’ ”は同名の大ヒット曲があります。検索してみてください。





Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

“Soul in the Arctic”

立ち去る大決心をしてフィヨルドの丘から下りていく。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

かたいかたい岩盤はちょっと向きを変えて振り返るとがっしりしたシルエット。
わ。ここにスズメちゃんたちがいた。みんなでちゅんちゅん。おっと一羽がジャンプ。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

光った水たまりは全部凍っていることがわかったので、大小の凸凹の岩盤をすべらないようにおそるおそる下りてきたら・・・
えーーーー!
墓地。。岩盤に十字架が並んでいる。向こうは氷山が細かく白く浮かんだ北極海。後ろには浮かんでいないディスコ島といわれり大きな島が見えている。
ここは風が直接ぶつからないし落ち着いて美しい景色を望める場所だ。
僕ひとりしかいなかった。
風が止んだ気がしてほっこりあたたかい気持ちになった。
先祖には一番いい景色を見続けてほしいもの。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

少しおりると雪のかたまりが流れてゆく景色。
その中のアパート。
わ、素敵な海の色、空の色。氷の色、水の色。氷山の色。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

ブルーが町にある。みんなの頭に自然にうかぶカラーね。
段々陽があがってきた。
仕事に行ってきます。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

車のバンパーに積もった雪が今日はとけるかな?
通り過ぎるお兄さんのステップが元気。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

そうそう。寒くっても素敵な歌は嬉しい。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

頑張って~。
忘れない笑顔、素敵です。すべらないようにね。


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka


Ilulissat, Greenland, Denmark; by T. T. Tanaka

リズミカルな歩みと、ときおりこぼれる笑顔。
北極圏にただようソウルフルな空気が嬉しい。



“Freezin’?” “No, it’s Breezin’”

北極圏は寒いし、遠いし、ほんとに行くの?
観光シーズンから少し遅れた9月下旬。
結構多くの人に言われたんだけど...。
Greenlandの空港に着いたそのときから自分の体中の感覚はうれしくなっていた。
すでに昼間でも0℃を越さない日はまさにFreezingだったけど。

かわいい船だったけど氷山たちを海から見れたし、氷河はヘリコプターでそのど真ん中の上流まで行くことができた。
でもやっぱり自分の足で歩いて味わってみたい。
氷河の流れこむフィヨルド(入り江)に面した丘をのぼれるnature trail.
世界遺産の中にある。

Nature trailは不思議な感覚にあふれていた。
遠くに見える氷山はまさにアルプスの雪山さながらだったし、フィヨルド一面に満ち満ちていた氷山たちは動く絨毯のようだったし、気が付けば足元周りにたくさん展開される氷紋はさまざまなパターンで這いつくばって撮ってしまったし。
まさかの墓地と、冬を待つソリ犬。
トレイルでは人ひとり遭遇しなかったけど、どういうわけかさびしくはなかった。
町に戻ると時折みせる笑顔の人たちに遭遇。

気が付けば湿度ゼロでうっかり霜焼けにもなっちゃった。 Freezin’?
いえいえ、たくさんの息吹を自然の中でも町でも感じて、心地よいBreezin’ .

自分の頭の中が、体の中が、今までにないくらい一気に広がって、爽やかになっていった。

※ “ Breezin’ ”は同名の大ヒットしたJazz曲があります。検索してみてください。



Photos, essay by T. T. Tanaka
イラスト by 瀧口希望
(※2021年より前の取材を元に書いております。)


グリーンランドに関することはこちらのグリーンランドノートをチェック。


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