California/Hayama
カリフォルニアと葉山、 ファインダーの向こう側に見える風景。
Contributed by anna magazine
Local / 2022.04.15
Photo by Yoichi Onoda
葉山芸術祭の一環で写真展を開催することになったきっかけは?
一緒にサーフィンやスノーボードをしたりしていた友達の斎藤淳太くんが葉山の一色BASEを経営していて。葉山芸術祭には彼が毎年参加していたんだけど、コロナ禍で2年連続開催できなかった。ようやくまた今年開催できるようになって、ちょうど僕が葉山に引っ越してきたということもあって「オビジュンの写真でなんかできないかな?」っていう話から始まったんです。彼は生まれも育ちも葉山だけど、僕は鎌倉出身だから、都内から葉山に引っ越してくるのに、いろいろ情報をもらった。結局一色BASEのすぐそばに家を建てたんだけどね。
鎌倉がルーツの小尾さんが葉山に引越したのはどうしてですか?
やっぱり次の世代に何か残してあげたい、という気持ちが強かったんです。土地を購入してゼロから家を建てたいということで、最適な場所を探し始めた。今回家を建てた葉山の土地が見つかったのは本当に偶然だと思う。タイミングが良かったというか、いろんな要素がうまくいってこの場所と奇跡的に出会えた。「呼ばれた」というのが近いかもしれないね。葉山は鎌倉よりちょっと田舎でのんびりしているし、今の僕にはとても雰囲気が合うんだよ。何も無理しないでいいのが気に入っている。
展示イベントのトークショーには同じ写真家の横山泰介さんも参加されるとのことですね?
泰ちゃんは僕たち2人もよく知ってる間柄で、すごく大切な先輩なんです。彼も葉山に住んでいるしカリフォルニアのこともよく知っているから、せっかくなら対談をしようかって話になって声をかけてみたら快諾してくれました。
写真展は「カリフォルニアと葉山の暮らし」がテーマとのことですが、カリフォルニアにはいつごろ住んでいたんですか?
1979年にカリフォルアに渡って、90年の手前くらいまで10年ぐらい住んでいたかな。すぐ上のケンって兄貴がいて先にカリフォルニアに行って飛行機学校で先生をしていただけど、その頃高校を中退した僕も彼を頼ってアメリカ行って、セスナのライセンスを取ろうとしたのがきっかけだね。
写真を学びに行ったわけじゃないんですね。
そう。カメラを始めたきっかけは最初に通った英語学校にカメラマンの先輩がいたことかな。その人と仲良くなって彼がよく仕事をしていた日本のメディア向けのコーディネーターカンパニーでバイトを始めたんだ。コマーシャルの撮影隊が来たときにお世話する仕事。主にドライバーとか通訳をやっていたんだけど、その時に撮影っていうものがすごい面白いなって感じて。いろんな撮影にすべて同行していたからね。でも写真学校には行ってないよ。UCLAで少しだけ基礎クラス取ったくらい。
ほぼ独学なんですね。
まずはアシスタントついて、日本人はもちろん、ドイツ人やアメリカ人のカメラマンなんかもいたっけ。大きなコマーシャルのセカンドアシスタントなんかをしながら、色々学んだ。今キャノン使っているのは、その時のカメラマンがキャノン使ってたからだよ。
カリフォルニアの印象的な風景をたくさん撮影されていますよね?
半分以上は仕事での撮影期間で撮影したものだね。撮影の期間中っていうのは、ずっと写真を撮っている。特にクライアントからオーダーされたわけじゃなくても、そこで僕の感性に触れたものはすべて写真に収めていたんだ。それがいつの間にかたくさんアーカイブされていった。そこに住んでいたから、当然カリフォリニアが被写体になることが多くなったんだよね。
©︎Junsuke Obi
©︎Junsuke Obi
©︎Junsuke Obi
©︎Junsuke Obi
なるほど。小尾さんにとってカリフォルニアのイメージってどんな感じですか?
やっぱり光が強い。刺すような光。僕はずっとサーフィンをしているのだけど、海の上のように開けた場所からは、いつも太陽の光に照らされた景色がたくさん見えるんだ。そういう強い光が作る陰影の中で毎日暮らしていると、立体感がある風景がすごく好きになる。僕の写真は陰影が強いものが多いのだけど、それはそういう理由だね。
ざらついた特徴的なイメージは鎌倉じゃなくて、カリフォルニアの光が関係しているんですね。
そうだね、鎌倉はあまり関係ない。青い空とかパームツリーみたいに誰もが思うカリフォルニアのイメージじゃなくて、西海岸の強い光が僕の写真のルーツだね。特に夕方の光が好きなんだ。太陽が傾いてくると、どんどん世界がオレンジ色になっていく。光の強さも増してくる。横から射す強い光が対象物に当たると陰影がさらに強くなる。その感じが好きなんだ。
ところで写真を撮るとき一番大事にしているのはどんなことですか?
なによりも、素早く撮る、速く撮るってこと。時間をかけてしまうと人や風景とかのテンションがどんどん変わっていってしまうから。瞬間的に撮影することによって、テンションとか動作のひとつひとつを撮り逃がさないように、できる限り素早く撮るんです。物事はいつだって自分の予測に反して、いろんなことがどんどん移り変わっていく。僕はそういう予測の外側に起きる瞬間を、切り取りたい。なるべく素早く撮ることで、見逃していた瞬間が自分の手に入るという状態を作れる。だから瞬間的な集中力がとにかく大切なんだよ。
今回の展示ではどんな写真をチョイスしたんですか?
まずは「部屋に飾ってもいいな」と思えるような写真を選んでいますね。パネルのものと額装してあるものがあるけど、どちらもそのまま部屋に飾れるようになっています。展示自体は、一色BASEという場所は壁が細かく分かれているから、それぞれの壁ごとにカテゴリを分けて写真を編集しています。例えば海のイメージ、砂漠のイメージ、モノクロで撮影したイメージという感じにね。
展示情報
Lifestyle of West Coast ×Isshiki Hayama
●写真展 2022年4月23日(SAT) 〜 5月15(SUN) 11時〜22時(一色BASE営業時間に準じる)
●写真展会場 一色BASE 〒240-0116 葉山町下山口1506
●入場料 来店時に店内メニューより飲食のご注文をください。
SPECIAL TALK LIVE 小尾淳介 x 横山泰介
「西海岸カルチャーに学ぶ、葉山の暮らし方。」4月23日 17時〜 (YOU TUBE LIVE配信予定)
●会場 一色BOAT HOUSE @一色海岸
●問い合わせ (046)876-6588(一色BASE) isshikibase@isshikihayama.com
Tag
Writer
-
anna magazine
「anna magazine」は、ファッションからライフスタイルまで、ビーチを愛する女の子のためのカルチャーマガジン。そして、「anna magazine」はいつでも旅をしています。見知らぬ場所へ行く本当の面白さを、驚きや感動を求めるたくさんの女の子たちに伝えるために。