“ 佐渡 in snow ”

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“ 佐渡 in snow ”

佐渡島篇 #81

Photos, essay by T. T. Tanaka

Local / 2024.12.18



“ 雪が止んだ ”

夜に雪が止んだ。風も止んだ。
寒いけど気持ちいい朝。
そうだ! 雪景色のお寺を見に行こう!!


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


島の真ん中あたりにある妙宣寺。雪の中の五重塔。
そのシルエットに目を奪われてしまった。
美しく、思わず足取りが軽く・・・


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


そうそう、この時期になると門に松が飾られる。
この門は仁王門。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


左右一対の仁王像。
彩色の跡がわずかに残っている感じだけど、このにらみはずっと続いている。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


妙宣寺は佐渡配流になった日蓮に仕えた日得上人が1278年に開いたとのこと。
五重塔はそのずっと後の1825年に相川の宮大工によって建てられている。日光東照宮を模したものとされ、新潟県で現存する唯一の五重塔。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


石灯籠と手水鉢がひっそり。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


お寺のお守りのための神様が祀られている番神堂。階段には人の足跡がない雪。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka



妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


本堂の前の池は一面凍った上に雪がうっすらと積もっている。
人影がまったくない境内に真っ白の水面が美しい。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


空からピーヒョロとかん高い声のトンビ。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


境内には750年も前からの様々な時が流れている。

※島内最大の20m超の四面の本堂(文久3年-1863)、宗祖の木像(1274年)の収められた祖師堂、佐渡随一の大角材で作られた茅葺大屋根の庫裡、また、地頭本間氏の戦国期16世紀前半の城(雑太城)跡など・・・


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


鳳凰の鳥が彫られていたり・・


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


五重塔には火を吹く龍かしら? しっかりにらんでいる。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka



妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


下から見上げると大きく育った杉が五重塔と交わりそう。


妙宣寺, 阿佛防, 佐渡 by T. T. Tanaka


頬に気持ちいい風がすっと流れてきた。
ヒッ、キッ、カッカッと枝の中から鳥の声が・・ かわいいオレンジ色のお腹の小鳥。すずめよりちょっとちっちゃいジョウビタキみたい。大陸から冬に渡ってきたのかしらね・・・
あーっ飛んで行っちゃったよーー(撮れなかった・・涙)


“ 雪の中の奈良時代 ”

妙宣寺から車で3分。
奈良時代の国分寺跡にやってきた。741年の聖武天皇の詔(みことのり)により諸国にひとつずつ建立された国分寺。764年あたりが完成とされる。ここには七重塔!!もあったらしいのだけど、1301年の落雷で焼失・・・ 1529年の火災でも建物がなくなり・・今は礎石だけが残っている。当時の奈良の東大寺式の。


佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka


2000平方メートルもある広さの中に金堂、中門、回廊、七重塔、新堂、南大門の礎石がそのまま残っている。


佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka


この礎石にはまあるい穴が・・・
ここに柱とかが立っていたのかしらね。
たまった水に落ち葉が・・・


佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka


ここに回廊があったのかとか、七重塔があったとか1500年以上も昔のことに想いをめぐらして歩くのも楽しい。


佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka


建物がずらっと並んでいたんだね。
当時の壮観! 見たかったなーーー


佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡国分寺, 佐渡 by T. T. Tanaka


杉の木々の間に雪。
つばきの花が落ちている。
その花はゴールドみたい・・・
あ、ここ、日本のやぶつばき(藪椿)の北限なのだった・・!


“ 海だよ、海 ”


佐渡 by T. T. Tanaka


雀が枝にとまってかわいい。
時々雲が薄くなって青空がのぞいているし・・
そうだ、海だよ。冬でも海。
そのまま西海岸にどんと向かってとにかく海がみたいの。


佐渡 by T. T. Tanaka



佐渡 by T. T. Tanaka


振り返ると1,172mの金北山。


春日岬,相川鹿伏, 佐渡 by T. T. Tanaka


着いたよ。西海岸、春日崎。
お日様、傾いているけど、日没まではまだ少しあるね。
ちょっと雲がかかっているけど、ゴールドの光線がキラキラ・・


春日岬,相川鹿伏, 佐渡 by T. T. Tanaka



春日岬,相川鹿伏, 佐渡 by T. T. Tanaka


放射状の光線。
展望台が逆光で美しい。


千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka


そしてここは千畳敷。
ここが大陸だった!痕跡。
火口からの溶岩流が数枚重なった跡。平らな岩に一気に波が寄せて白波が左右に広がってゆく。


千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka



千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka



千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka


傾いたお日様がゴールドの光を発して雲が影になってきた。


千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka



千畳敷, 下相川, 佐渡 by T. T. Tanaka


そして、オレンジに。
冬の佐渡の日が暮れる。


“ 佐渡in snow ”

最初に佐渡に来たのはコロナ禍下の冬だった。
両津港に着いた日の夜はまだ雪が少し降っていた。
朝起きたら雪は止んでいて、穏やかにお日様があがってきた。

泊まる場所以外は、殆どどこを訪問するか無計画だったのだけど、
上るお日様を見ていたら雪の中の五重塔のお寺に最初に行ってみたいと思ったのだ。


案の定、人影は全くなかった。
門への階段には足跡のない雪が積もっていた。
見上げたらそこには五重塔のシルエット。
美しかった。

そしてその割と近くにあった奈良時代の国分寺跡。
びっくりした。
目の前に1260年ほど前のものが・・
広大な敷地に綺麗に礎石がそのまんま・・
ここに当時、七重塔があり東大寺のような門もあったとは・・
そのまわりには水が流れていて、雪の中に北限のヤブツバキ(藪椿)の花が落ちていた。

白い雪に染まりながら、
島にいて空の青が見えると、海の青も見たくなる。
いそいで日没までに見なければ・・・。

見えた!
そこにはゴールドに染まる光線。
目を細めながら見えたのは、
白く、でもコバルトブルーまじりに砕けてゆく波。
体中で感じる海。
ああ、この感じを体験したかったんだ。
海。冬の海も素敵なのだ。
雪の佐渡にきてよかった。
ありがとー。


Photos, essay by T. T. Tanaka



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