“Georgiaに入ったよ~”

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“Georgiaに入ったよ~”

フロリダ II 篇 #64

Photos, essay by T. T. Tanaka

Local / 2023.07.26



“Sweet Georgia Train”

わー。寄ってきたね~
君、口元ピンクですよ。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


ここはね、交差点なの。フロリダとの州境近くの小さな町、Kingsland。Georgia州。歩道の修復工事中・・。いつもお仕事のおじさんたちと一緒なんだね。
いい子して待っていたんだけど、旅人(僕)が来たもんで、わーい、こんにちは~って感じかしらね。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka



Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


おじさん;「おいらの犬、可愛いだろ? 君はどこから来たんだい?」
私;「Tokyoからなんです」
おじさん;「えー。そりゃ珍しい! 初めてかい? 海行った?」
私; 「はい、Amelia Island寄ってきました。ここの町並みちょっと古くていい感じですよね。 フロリダにもこんなところあるんですね」
おじさん;「(にんまり笑って)おいらもあのビーチ大好きでよくいくんだけどよ、ここはGeorgiaだぜ。」
私; 「あ、ごめんなさい。Georgiaでした!(汗)」
横で作業していた二人も手を休めてワンちゃん相手しながら笑っている。
おじさん; 「久しぶりの旅行だろ? 楽しんできな~ もう暑いから気を付けてな」
私;「はーい。ありがとうございます!」
そういえば、おじさんのT-shirtのデザインが伝説のロックバンド、エアロスミス(AEROSMITH)! しかもUS ツアー ‘74ってプリントしてあるもんね。グラミー賞4回受賞、ロックの殿堂入りグループ。おじさんこのツアーに行ったのか聞こうと思っていたのに聞き忘れちゃった・・・(涙) でもどうみても大ファンよね。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka



Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


振り返ったらカンカン照りの中、
おじさん、てきぱき。
ワンちゃんはみんなと一緒の空間にいるのね。
もうすぐランチタイム。元気でね~。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


ドキっ! なんと、ハリケーン時の避難ルートとラジオ情報の標識。Georgia州はアメリカ南東部の中では直接の襲来はあまりないけどそれでも10年くらいの周期ではやってくる。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


その近くに100歳は超えている松の大木。厳しい嵐にも何回か襲われただろうけど、めげずに力強く育っている。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


Kingslandというバナーの向こうの青空がまぶしくなってきた。
手前には踏み切り、線路の向こうにStationと書かれた建物が見えている。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


鉄路の踏切の向こうと手前にならぶ標識たち。
STOPとRR(Rail Road)。八角形と まあるいのと。あ、X もあった。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


まっすぐの線路。ちゃんと使われている線路よね。ちょっと錆びがあるから頻繁には走らないんだろうけど。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


踏切まできたよ。東(大西洋側)に向かって林の中をカーブしてゆく線路。
これずっと行くと気持ちよさそう。どんな列車が走るんだろう?
列車の音、聞きたいんだけど。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


振り返るとKingsland Station(キングスランド駅)と書いてある古い建物が・・。
なんと、この建物、108年前、1915年に製材工場として建てられたんだそう。そのあと、教会として使われていた。今は駅になっているんだ。右側は列車の昇降用ホームなんだ。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


週末や休日になると様々な観光特別列車が走る。蒸気機関車も含めていろいろな機関車が引っ張っている。大湿地帯や昔の街並みを見ながら東隣りの川沿いの美しい町、St. Marysと往復しているんだ。残念、今日は運航されていない。
列車の中では様々なショーが演じられ飲み物も楽しめる。このstationまわりでも開拓時代の小屋や衣装を着た人たちの演出もあり、建物内舞台ではエンターテイメントが繰り出される。ファミリー向けのこれらを楽しめるチケットもちゃんとあるのよね。
え! 今度の土曜日の出し物は、MURDER TRAIN(殺人列車)!って? WINE飲み放題?
そうそう、この看板はアルファベットを一文字ずつ並べて掲示する昔ながらのタイプ。

アメリカには思った以上に鉄路が張り巡らされている。大体が100年以上前にひかれていて、道路が発達し車が庶民のものになるまでは、鉄道の駅中心に町が発達していっている。この路線はGeorgia Coastal Railwayという短い路線。さまざまな所有者の変遷があるんだけど、今は観光業に貢献している。

ああ、ここの列車に乗ってみたかった。
あのおじさんたちとワンちゃんたちフレンドリーだったし。
Sweet Georgia Train だね。

※ “Sweet Georgia Brown” という曲が1925年に作曲・作詞されている。とっても軽快で楽しい曲。ビートルズが歌っていたこともあるし、マリリン・モンローの映画「お熱いのがお好き」の中でも歌われ、数多くの人達にカバーされている。Jazzではエラ・フィッツジェラルド、オスカー・ピーターソン、ロバータ・フラック、ジャンゴ・ラインハルト、カウントベイシー、take 6などなど。


“Breezing along the Breeze” (風の間に間に)


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


William Henry Kingさんという人が所有していたこの一帯に鉄道が延伸してきたのは1894年。そのときに分離してKingslandという町ができた。
Georgia州南端の小さなこの町は今は人口18,000人ほど。フロリダの大都市Jacksonvilleまで60kmたらず。 町の中心には1912~1943年に建てられたアールデコスタイルのレンガ造り二階建て建物がいくつか残りNational Register of Historic Places (アメリカ合衆国国家歴史登録財)になっている。当時は 銀行やホテル、新聞社などが建物に入っていた。

なるほどとカメラのシャッターを切っていたら、自転車に乗った黒人男性がにっこり僕に
「はーい。建物の写真撮ってるの?」
「はい。この街道走っていたら気になる通りだったんで。綺麗ですよね~」
「嬉しいね。ここ先に行くとね、僕のひいおじいちゃんの大きな絵があるよ~。通ったら見ていってね~。」
笑顔がそよ風のように過ぎて行った。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


あ、この絵、この絵なんだ。
座っている人がJoe H. Josephさん。起業家精神に溢れた人で110エーカーの農地を得て様々な農作物を育て、豚の飼育をし、松から塗料用途のテルペン油を製造するなどされていた。教会の支援にも積極的だったとのこと。7人ずつ男女の子供の大家族。

立っている人はHammond Robertsさん。この地域でよろず屋の経営者だった。1900年代初頭に町のコミュニティーリーダーでエリアの学校を支え黒人教育の向上に貢献されたんだそう。こどもたちはみんな成績優秀で郵便局や農業、軍隊、社会福祉などに活躍されたとのこと。

さっきの自転車の彼のひいおじいちゃんはどちらなのかしら・・・

哀しい複雑な歴史も南部一帯にはあるのだけれど、こういうペイント画が町の中にあるとほっとした気持ちにもなれる。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


咲く寸前のマグノリア(タイサンボク 泰山木)の蕾。白い大きな炎のよう。
おひさまたっぷりのつやつやした葉っぱも20cm以上ある。
亜熱帯気候の中で元気に育っている。うーん。開花もみたかった。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka



Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


マグノリアの大木の前には教会。木々の間を気持ちいい風が抜けてゆく


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


1900年より少し前の建物たちの中を歩いていて空を見上げると、
塔のてっぺんに「Kingsland」の Kがくっきり。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka



Kingsland, Florida, USA by T. T. Tanaka

樫の木と、古い消火栓。何度も塗られてきたペンキの色が混ざり合う。
その向こうに真っ赤なお家。
ピックアップトラックの低いエンジンの音が過ぎる。
枝が風に揺れている。
昔の空気、今の風。
ふと思い出した曲「風の間に間に(Breezing along the breeze)」のフレーズが頭の中で流れた。

※“Breezing along the Breeze” は1925年にAl Jolsonが歌って大ヒットしている。


“Okefenokee Swamp”

Kinslandの交差点。
巨大なトラックが次々にやってくる。長ーい材木をたっぷり積んで・・。
State Road 40号。この道路を通り今から西に向かう先は、大森林地帯でもあるけど、北米最大級の大湿地帯、Okefenokee Swamp (オキフェノキー湿地)なのだ。


Kingsland, Georgia, USA by T. T. Tanaka


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

ついに来ました! オキフェノキー(Okefenokee) Swamp. この湿地帯はGeorgia州とFlorida州にまたがっている。いくつかの入口があるんだけど僕は湿地帯の北、Georgia州のWaycrossというところから入る。この湿地帯は国定自然史跡(National Natural Landmark)で1770km2 もある。琵琶湖の3倍弱。殆どのエリアが国立野生動物保護区になっている。Okefenokeeは先住民の言葉でbubbling waterの意味だけど、Choktaw族の使うフレーズ「Land of Natural Landmark(身震いするような地球の特別な場所)」がコピーとしてよく使われている。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

もともとここは大西洋近くの縁で砂丘のようにもりあがっていたんだけど、6500年ほどかけてピート(泥炭)がつもりその上に水がたまった。この大湿地帯の水の5%は東に流れSt. Mary’s Riverとなり大西洋に流れ込む。この川はGeorgia州とフロリダ州の境となっている。そして95%はスワニー川(Suwannee)に流れ西南方向にフロリダを横断しメキシコ湾にそそぐ。歌にもなり美しいSuwannee川の水源を一回は訪れたかったのだ。

あ、あれはボートツアーでレンジャーと一緒に巡るひとたち。奥から帰ってきたところね。あれに乗ろうっと。鳥たちのさえずりがいっぱい。水の流れはゆったり。木々の緑の映り込みが美しい。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

湿地を巡るボート乗り場にやってきた。4月頭で午前10時くらいだけど温度計は既に80℉(=26.7℃)を指している。ホワイトボードには手書きで最高予想気温92℉(=33.3℃)。横にはワニ(Alligator), 亀(Turtles), 蛇(Snakes)と書いてある。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

こんな感じで10人くらい乗るんだ。普段乗らない乗り物はウキウキするよね。
スタートすると、レンジャーが挨拶してみんなで行こう!って感じになる。
レンジャーの彼女が、「前に座っている人から順番にどこから来たのか教えて~?!」  「from New York~!」 「いえーい」 「from フィラデルフィア(Philadelphia)!」 「いえーい」・・・・・あ、僕の番、「from Tokyo, Japan」「おー、わー!!!!」大歓迎されちゃった。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

木立の中の水路をスススス~っと進んでゆく。
あ、前の男性はね、フィラデルフィアからなの。大リーグのフィラデルフィア・フィリーズのかつて大活躍したHERNANDEZ選手の背番号16 ユニフォーム。決まってるでしょ?


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

この辺りには水路を船で操るのに長けていた先住民Timucua族が住んでいたんだそう。彼らをキリスト教に改宗させようとスペイン人たちが進出してくる。その後はイギリス人たちが住んでいたんだね。この湿地の水を流そうとして水路を作ろうとしたんだけど失敗に終わっているんだって。あふれるようなこの自然に人々の歴史も流れていると思うと不思議な気がする。
ボートに乗ると歩く時より目線が低くなって、もしかしたら動物と同じ高さかもしれない。水辺ぎりぎりまで育つ木々の緑の横を器用に過ぎてゆく。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

レンジャーの彼女がボートを止めて大きなグラスを出してきた。水をすくって見せてくれる。透明できれいなブラウンの水。タンニンを沢山含み鉄分と結びついている。



Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

杉かしら。針葉樹が高ーくのびてその間をまぶしい陽の光がさしてくる。
自然に沢山育つ杉を目当てに大湿地帯のほとんどは一時期フィラデルフィアの製材会社など複数の会社の所有になっていた。そのための鉄道が数本ひかれて1942年まで運営されていたとのこと。なんと・・。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

静かな水にまぶしいホワイトが目に入った。蓮の花(Lotus Flower)。
少しゆれてゴールドの花芯が見え隠れ。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

わっ。なんと、きれい! この子は?
カラフルなトカゲ。グリーンアノール。
ピンクに喉がふくらんでいるのは雄の求愛中だって。
眼がとってもよくて数メートル離れた昆虫を見極められるらしい。
あ、じゃ、雌が眼中に入っているのね。
結構体の角度が急で下に向いていたりするけど、水に落ちても大丈夫。泳げるんだそうです。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

あまりにも普通に至近距離でいろんないきものたちに出会えるのがすごい。亀ちゃんが飛び込んだと思ったら、茂みの陰に蛇がちらと見えた。すぐ目の前にはワニが目を細めて寝ています。あら、奥にも見えた。この子はご年配に見えるけどまだまだ。ちなみにOkefenokee Joeと名前をつけられていたワニちゃんは2021年9月まで生きて80歳! 会えなかったけどクロクマも棲息しているんだよ。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

ボートがそろそろ終点につきそうになった水際にボードがあって何かと思ったら、オキフェノキー湿地で撮影された映画たちなんだそうだ。結構あるね。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

船から降りたらビジターセンター。ウッドフロアの奥にはグリーンがまぶしい。
あ、壁には昔のポスターが貼ってある。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

映画のポスター。そうか、さっきみたボードの映画たちね。
これは “Lure of the Wilderness” (邦題; ジャングルの逃亡者)1952年。迷い込んだ犬を探しに行って遭遇した沼地の奥で暮らす8年間警察に追われている男と娘。本当は無実と主張する男を救う行動に出て・・・。(Youtubeにあります)


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

こっちは1971年に地元で上映された “Swamp Girl”  Swampに住むJaneenという女性が獣用罠にかかったパークレンジャーのJimを助けたところからドラマが始まる。だんだん彼女の出生の秘密がわかってゆくのだが、黒人の老人に助けられて住んでいたのだった・・ そして・・。(Youtubeにあります)


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

こちらも1971年の “The Tender Warrior”(やさしい戦士)  1979年まで映画館で上映されていた。主人公は16才の少年で 保安官の息子。登場する動物たちが酔っぱらったり、蛇が出てきたり、雌のチンパンジーが登場したり、当時のハリウッド映画とは全然毛色の違うものだけど地方では80年代までずっと人気だったとのこと。(Youtubeにあります) この大自然の大湿地帯にはいろんな驚くような生き物も植物も、そして、歴史的にも様々な人々が住み、実際びっくりするようなドラマ展開があったので、普通ありえないようなシナリオをこの舞台で展開したくなるのかもしれない。


Okefenokee Swamp Park, Georgia, USA by T. T. Tanaka

と、奥に目を移したら巨大なワニの骨標本が・・・!!!
僕はどこの国にいるのだろう・・?
これからこの不思議なSwampからSuwannee川沿いに下りていくんだ。


“Georgiaに入ったよ~”

フロリダ半島北部を西から東に流れるSt. Marys川。元々パリと同様のセーヌ川と言われていた。一方、フロリダ半島西のメキシコ湾に流れこむはSuwannee川。フォスター作曲の美しい旋律でも有名。この両方の川の水源は北米大陸で有数のオキフェノキー湿原(Okefenokee Swamp)なのだ。琵琶湖の3倍近くもある。ここに一度訪問したかったんだ。

街道沿いにSt. Marys川を渡るとGeorgia州。通り過ぎるには素敵な街並みが見えてきて思わず車を止めた。観光地マップには出てこないKingslandという小さな町だった。100年以上前の建物が残り、列車の鉄路もホームも整備されていた。今は休日に観光列車が東の町と往復する。アメリカの発展は鉄路と深いつながりがあることを改めて感じる。線路がひかれて駅ができると更に町が栄えていったんだね。古い建物、元気に育つ大木たちがその歴史を語っている。

ここで遭遇した歩道工事のおじさんたちと人懐っこいワンちゃん。おじさんが着ていたロックバンド、エアロスミスのT-shirtが忘れられない。そして、とおりがかりの自転車から声かけしてくれた黒人のお兄さん。彼のひいおじいさんたちはwall paintとして描かれてほっこりwarm-heartedだった。

帰国してから調べてみたら歩いていたのはGeorgia州南部Camden郡エリア。昔から黒人たちが必死に自分たちの地位向上のために闘っていた痕跡が残っている。1860年頃から100年以上にわたって・・。かつては黒人だけ別乗車のバスが運行されていたし、1941年の日本軍のハワイ真珠湾攻撃からつながる大戦にはここの黒人たちもたくさん軍隊に入隊し、戦ったのだけど軍隊でも人種隔離の目にあっている。当時は外国の敵とも戦い、国内では人種問題とも戦い、その二重の敵にうちかとうという運動は “Double V” といわれたそうだ。 セメントを流し込む、 肉をひく、氷や卵を売る、子供たちの世話をする、そして松を植林したり製材工場でのこぎりをひいたり、松から塗料用液体をしぼりとったりして頑張って働いた。そのまさに製材用の木たちは当時Okefenokee Swamp付近を所有していた会社が伐採し鉄道で運び出したものだったのだ。今でも国道・州道を木材を乗せて大型トラックが過ぎてゆく景色。その歴史がオーバーラップする。

そのOkefenokee Swampはゆっくりゆっくりたっぷりたまった水が流れていた。空高い針葉樹の間から差し込む陽の光にあたると気持がよかった。ときおり頬に触れる風のまにまに聴こえる鳥たちのさえずりも、ぐっすり寝込んでいるワニたちも、甲羅干しの亀さんも、蛇たちも、あ、ミサゴ(オスプレイとはこの鳥のこと)も僕を見下ろしていたけど、たっぷりといきもの豊かな自然だった。
こんな北米有数の大湿地帯なんだけどここにも人々のさまざまな痕跡が残っていてびっくり。観光では「ジャングル」と言われ映画撮影にも使われたこの場所には、簡易鉄道で巡れるツアーもある。これは元製材会社が保有していた鉄路だし、ところどころ残る水路はかつて住んでいた人達の夢のあとだったりする。

1997年にDuPont社が保有していたエリアでチタン採掘プロジェクトが開始されたが自然を守ろう運動でプロジェクトは停止し、28km2もあった土地を会社はOkefenokee国立野生動物保護区に寄贈した。しかし、これで終わらず、トランプ政権になった2020年に1.6km2に関し水質汚濁防止法(Clean Water Act)の適用をゆるめる動きがあり、更に野生動物保護区の南東に接する2.3km2余りのエリアでチタンとジルコニウム採掘する計画が上がった。が、2022年に上院議員の反対によってこの計画はブロックされている。歴史からは学び、そして変な歴史は繰り返さないでと願うばかり・・・。

Okefenokee Swampには “Okefenokee Joe”というワニが80歳まで頑張って生きていたようだけど、人間の長生きJoeさんは大統領でも?後世のみんなのためにも頑張ってほしいものだ。


Photos, essay by T. T. Tanaka




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