“Biggest Part of Me” <br>(ビゲスト・パート・オブ・ミー)

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“Biggest Part of Me”
(ビゲスト・パート・オブ・ミー)

フロリダ II 篇 #63

Photos, essay by T. T. Tanaka

Local / 2023.06.21



“My Shining Hour (マイ・シャイニング・アワー)”

わー、久しぶりの海。久しぶりの砂浜。久しぶりのサンシャイン。
やっぱりこれです。
思いっきり走って海に入って素足でおひさまも海風も感じて一日過ごしたい。

ビーチを踏んで歩く自分の足音。寄せる波音が混ざるのも楽しい。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


ここはフロリダ州アメリア島(Amelia Island)。美しい海で人気のこの島はアメリカ東海岸の大西洋に面した細長い島でフロリダ州の一番北にあるんだ。車でthe Saint Marys River をわたるとどーんと目の前に広がっている。川の向こう岸はもうGeorgia州。

時計はまだ4時前。フロリダ、ジャクソンビル(Jacksonville)空港のゲートを出てからまだ2時間たっていない。まずは海に海に。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


白い砂浜にたたずむのは4年ぶり。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


水平線は大西洋。ピーピーッと頭の上にカモメも飛来する。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


トコトコ砂浜をゆくカモメさんたち・・・。
影もくっきり踊っている。
いいお天気よね。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


停泊しているヨットも、疾走するモーターボートも。
忘れていた景色に心が躍る。
じっとみつめたり、目で追いかけたり・・・。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka



Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


カップルたち。おもいおもいの時間が流れている。
貝殻をひろうのも、お気に入りの石をみつけるのもいいなあ・・
よせてはひいていく波の音。二度と同じ音は聞こえない。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


夏はすぐそこ。泳ぐのはちょっとまだ早いんだけど、海に足は踏み入れたいんだ。
ずぶぬれになるのは嫌だし、ちょっと怖い感じもあるんだけど・・・
もうちょっと海にふれてみたい。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka



Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


ママと一緒にいると安心。楽しんでいるママも好き。
貝殻のお話もしてくれるし、あら、網で小魚すくいチャレンジしているんだけど、あ、失敗。横に海をながめるカモメが二羽。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


あら、こちらは裸足で水際をじっと見つめている女性が・・・。
僕;「こんにちは~ 気持ちいいお天気ですね。」
女性;「はーい。どちらからなの?」
僕;「日本から。まだ着いたばっかりなんです」
女性;「それはいいビーチに来たわよ。フロリダの西海岸に住んでいるんだけど、ここは混んでなくて最近の私の大お気に入りなの。自然いっぱいでしょ?」
僕;「大西洋いっぱい感じて気持ちいいですよね」
女性;「ここはthe Saint Marys Riverも流れ込んでいて、つい最近サメの歯がみつかっているのよ。さっきから私も探しているんだけど・・。そうそう、この黒い小さい尖がったこんな感じなの。わ、残念。これは小石ね。」
僕;「えー。サメの歯! 見つかるといいですね。」
女性;「どこまで行くの?」
僕;「あんまり決めていないんですけど、ちょっとGeorgia州に入って、そのあとフロリダ州戻って西のメキシコ湾に行って・・・ うーんと、あと、フロリダ半島のど真ん中にも・・・」
女性;「いい旅をね~」
僕;「ありがとうございます! Good walk, Good findingsを~ Bye Bye」


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


彼女の影がながーい。大分陽が傾いてきたね。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


彼女とクロスしてカモメさんが歩いてきた。
寄せてくる白波が美しくてまぶしい。

私にもキラキラの時間がすぎてゆく・・・
My Shining Hour

※ “My Shining Hour” ; 同名の曲は1943年に 作曲/Harold Arlen, 作詞/Johnny Mercerで映画のために作られた。アカデミー賞は残念ながら逃したんだけど、その後も1945年にビルボード第4位になったり多くのジャズミュージシャンたちにも歌われ続けている。最近ではトランペットとボーカルの市原ひかり さんのもキラキラ。


“ここは砦だった”

この島には州立公園を含めて沢山の公園がある。ここはFort Clinch State Park(クリンチ砦州立公園)と言うところで昔の砦があるんだ。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka



Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


ビーチの後ろは砂丘。その上には砦が残っているんだ。
昔からの建物もきれいに保全/修復されている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka



Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


大西洋に面した壁はレンガ積みで、大砲の門も沢山あいている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


この島は南北戦争前にはスペイン、フランス、アメリカが複雑にからみあい、また、南北戦争時代には北軍南軍が入り乱れていた。そんなわけで島自体、8つの旗を歴史的に掲げてきたんだそうだ。現存する砦は上から見ると五角形で1847年に建設が始まったもの。全米でも19世紀の砦としては最も綺麗に保存されているものなんだそうだ。


Amelia Island Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


1861年には1500人以上もの南軍兵士たちが駐留していたが北軍を前に撤退。その後1898年にはスペイン・アメリカ戦争のためにまた志願兵たちがここに駐留・・。当時からの建物が砦の中に残っている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


隙間から見える砲門の壁。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


アーチ状のレンガの建物の中に光が漏れて入ってくる。足音がながーく響く。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


壁の一番厚いところはこんなにもある


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


これは宿舎だったのか、貯蔵倉庫だったのか・・・。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


調理場がある建物。海の音が聴こえてくるんだけど中は全く違う空気に囲まれる。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


資料館には歴史の変遷を説明するボード。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


左の方が島内部になって右の方が海。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


リンカーン大統領の写真やオイルランプや時計など・・・


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


当時の釘や工具類。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


アメリカの古い国旗も壁にかかっている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


そして出口には、見下ろすように金属製のアメリカの国鳥、白頭鷲。
これは何年前に造られたものなんだろうか。
逆Vの脚も、後ろの羽も胸の羽も鎧みたいで力強い。ぐいっと羽ばたいてゆく感じ・・


“We have come a long way”


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


資料館を出てくると、真っ青な空。
アメリカ国旗がゆれている。
美しい青空に並んでいるシルエットは昔の大砲。
あ、あそこまで行けるみたいだから行ってみよう。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


お、砲台を通過してゆくシルエット。
元気に歩いている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


わ、大砲は100年くらい前のものだろうけど、やっぱり大きい。大西洋に向かって設置されている。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


大砲の下には車輪があってまあるい鉄版の上に乗っている。そこに数字が書いてあるから方向はそこに合わせるんだね。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


そしてこの砦の土台は白ーいんだけど、近くでみると大小さまざまな大きさの牡蠣殻がぎっしりつまっているんだ。それらがコンクリートのようにかたくなっている。この辺りは牡蠣が沢山とれるからね。でもこれ、100年前には見えないから不思議。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


えっ、砦の縁を動いているちっちゃな存在をよーくみたら、トカゲさん。


Amelia Island, Florida, USA by T. T. Tanaka


こっちはちょっと大きいシルエット。
ブラックバード。大木のてっぺんで虫さんをつっついている。
そうだ。砦に育つこの木たちはわたしたちの長ーいいろんな歩みを見続けてきたんだね。
We have come a long way.


“Biggest Part of Me” (ビゲスト・パート・オブ・ミー)

コロナ禍があったし何年ぶりなんだろう?
久しぶりのアメリカ大陸。そして最南州のフロリダ。

やっぱりこのキラキラが欲しかったんだ。
まぶしいけど目で感じて、肌で実感して、波の音も思いっきり聴きたかった。

僕は特別な想いがある場所以外は、旅では極力新しいところに行くようにしているんだ。今回はジョージア(Georgia)州が目の前に見えているフロリダ最北端の島、アメリア島(Amelia Island).  真っ白なサンドビーチは大西洋に面している。はるか向こうにはずーっと続く水平線。 水際で出会った女性はサメの歯拾いをしていた。お日様の長い影。頭上を鳴いて飛ぶカモメ。今でも少し堅めだった砂浜の感触を思い出す。My Shining Hour.

そしてこの島に全米でも有数の砦(Clinch Fort)があるとは知らなかった。そこには複雑過ぎる180年前からの歴史が・・・。 アメリカ、フランス、スペインがからみ、南北戦争があり、スペイン・アメリカ戦争もあった。
アメリカ東海岸のサウスキャロライナ州から、ジョージア州、そしてこのフロリダ州のこのアメリア島まではたくさんの島が続いていいる。これらはSea Islandsと呼ばれていてかつてはSea Island Cottonという綿花が沢山栽培され、悲しい歴史もあったのだ。
時は流れ2000年代にはあるランキングで全米トップ10に入る人気島にもなっていた。それがまさかのコロナ禍。わたしたちの長い道のりは今も進行形・・・。 We have come long Way.

来てよかった。
この自然、人々。素敵な時空間だね。
それらを自分の五感すべてで感じる。
ああこの感覚こそ自分の中で大切で大きなものだったんだ。
この大きなものと一緒なら歩み生きていける。
つらいことがあるときにはそれを流しされるし、
うれしいことがあればそれとともにはずんでゆける。
You are the Biggest Part of Me.


Photos, essay by T. T. Tanaka


※ “Biggest Part of Me”  同名の曲は1980年にグループAmbrosiaがヒットさせた。ウィークリーで the Radio & Records で第1位、ビルボードで第3位、Adult Contemporaryでも3位になった。アルバムの中でカバーしたミュージシャンは少なく1994年にアカペラグループのTake 6が歌ったのがとってもカッコいい。検索してみてください。




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