ー WOMEN FINAL ー
-World street skateboarding Rome 2022-
ローマで出会ったスケーターたち #01
Photo:Leonardo Rodriguez
Interviews & Text : Aco Hirai
Local / 2022.07.22
7月2日。
イタリアのピアチェンツァという小さな街からローマへ向かった。
6/26〜7/3までの間、ローマで開かれている「World street skateboarding Rome 2022」の取材のためだ。
この大会は、2024パリ・オリンピックへの切符を手にするためのポイントを獲得できる2022年シーズン最初の大会。日本からは、去年の東京・オリンピックで日本中に感動を与えた金メダリストの堀米雄斗、西矢椛をはじめ、18人が参加しているとてもエキサイティングなイベント。
現地のフォトグラファーと一緒に、私たちが現地入りしたのは7月3日のファイナル。
2年後のパリ・オリンピックの出場権がかかった世界大会ということで、会場へ向かう私たちのテンションもだんだんと上がっていった。
ロケーションは最高で、オッピオ公園内にある会場からは、イタリアが誇る世界遺産、コロッセオを眺められた。
関係者入口から入って見えるストリートの風景。
選手たちが待機するウォームアップエリアがここ。
予選と準決勝を勝ち抜いて、ファイナルへ進めるのは、男女8名ずつ。
女子は、8名のファイナリストのうち、5名が日本人で「お、これはもしかして、もしかするかも・・・」と、表彰台に上がる日本人チームを想像してしまった。
気になる採点方法を関係者に聞いてみた。
45秒間の流れの総合で競う「ラン」を2回、単発の凄さを競う「ベストトリック」を5回、これを順番に行って、このうち、「ラン」1本と、「ベストトリック」2本のベストスコアの合計点が最終スコアになる。それぞれ100点が満点、とのこと。
さて、女子のファイナル直前の練習時間が終わったところで、日本チームが待機するウォームアップエリアへお邪魔させてもらった。もちろん、選手たちのコンディションに影響がないよう注意を払いながら。
そこには、ファイナル直前の張り詰めた緊張感ではなく、彼女たちの笑顔と、みんなでスケボーを楽しんでいる姿があった。とてもリラックスしていた西矢椛さんと織田夢海さんに少しだけ話を聞いてみた。
今日のコンディションを聞いたところ、
織田:「ん〜、どうだろう?」
―もうすぐ決勝ですね、緊張していますか?
西矢:「いいえ!」
と自信満々に力強く答える姿は、さすがオリンピックゴールドメダリストだった。
抜群の安心感を受け止めたところで、「頑張ってくださいね、応援しています」と伝え、決勝が行われるストリートへ向かった。
7:00pm
燦々と照りつけるイタリアの太陽も少し傾いてきた頃、いよいよ女子ファイナルが始まった。
セミファイナルを8位で通過したオーストラリア出身、クロエ・コベルからスタート。
クロエ・コベルと吉沢恋は本大会最年少で、12歳だとか。
クロエ・コベル(AUS)、パメラ・ローザ(BRA)
織田夢海(JPN)、西矢椛(JPN)
トリックが決まると、イタリア人たちからは「BRAVA」と歓声が上がる。
そして、たとえ難しいトリックに挑戦して失敗しても、挑戦したことに対して、選手や観客から拍手と声援が届くのがスケートボード。彼女たちが繰り出すトリックに観客は終始釘付けだった。
吉沢恋(JPN)、赤間凛音(JPN)
ライッサ・レアウ(BRA)、中山楓奈(JPN)
たとえライバル同士でもトリックを決めた後にハイタッチを交わすスケーターたちからは、仲間をリスペクトし一緒にスケートボードの楽しもうという精神が見れた気がする。
そして5回目のトリックが終わり、結果はなんと、
優勝中山楓奈(264.13点)
2位西矢椛(255.64点)
3位織田夢海(254.91点)
日本人が表彰台を独占するという快挙。
日本国旗を掲げながら歩く、(左から)織田夢海、中山楓奈、西矢椛。
ストリートの上で、メダリストたちが抱き合う姿がとても印象的だった。
そして、3位の織田夢海とわずか0.29ポイント差で赤間凛音が4位、吉沢恋が6位。
記者や関係者に囲まれているメダリストたちだったけど、タイミングよく、記者会見を終えた織田夢海さんをキャッチすることができた。
―3位おめでとうございます。今の気持を教えてください。
織田:やっと世界選手権で表彰台に立てたのがすごく嬉しいです。
―ご両親には伝えましたか?
織田:はい、お母さんは日本にいるので電話はしてなくて、ラインで伝えました。
―返信はありました?
織田:「よかったねー。昨日より楽しそうに見えたよ」と喜んでくれました。
―今回の大会で友達もできましたか?
織田:いろんな友達ができました。初めて見る子もいたので、緊張や不安もあったけど、自分の滑りができたのでよかったです。
―日本人が表彰台を独占するなんてすごいです!
織田:日本人3人で表彰台に登るなんて初めてで、とても嬉しかったです。私は海外の大きい大会で表彰台に登るのも初めてだったんです。これからも登れるように頑張りたいです。
―今後の目標はありますか?
織田:いろんな大会でポイントをゲットして、2年後のパリ・オリンピックへ行けたらいいなって思います。
―次の大会はいつですか?
織田:今年の10月か11月にあるリオですね。それもちゃんと結果を残したいと思います。がんばります!
続いて、優勝者の中山楓奈さんもキャッチ。
―優勝おめでとうございます。どうでしたか?
中山:自分のやりたかった技を乗ることができてよかったです。
―カッコよかったです。ローマ滞在はどうですか?
中山:コロッセオがこんなに近くにあって、すごく素敵な場所です。
―ローマでは何を食べました。
中山:カルボナーラを食べたんですが、フライパンに入って出てきてすごくびっくりしました。とても美味しかったです。
―残りの滞在中何か予定はありますか?
中山:観光もしたいけど、イタリアのスケートパークへ行ってみたいです。
そして次は、男子のファイナルがスタートする時間。
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Aco Hirai
2004年オーストラリア移住、2005年帰国、2019年マルタ島留学、2020年イタリア移住。 海外で活躍する日本人を取材したImhereマガジンを不定期で発信しています。(インタビュイー募集中)