サカナアレルギーとヒカリモノ。

Contributed by LUKE magazine

Pick-up a day / 2018.02.11

とある古本店で手に取ったJenny Holzerというアーティストの本。カバーがクールだったし、1800円と安かったし、とりあえず買ってみた。



Jennyは1970〜80年代に活躍したニューヨークの女性アーティストだった。

電光掲示板というメディアに格言的なテキストを映し出す手法の作品が特徴的で、メッセージ性のあるワードセンスを、現代的な手法で表現するこの作品にオレはとても魅力を感じた。今じゃ当たり前に街中に存在する電光掲示板は、信号や標識と同じような「都市記号」のひとつだとオレは思っている。
そこにはCMや、ちょっとしたニュースみたいに、ある程度予想できるものが映し出されるものだけど、まったく予期していなかったメッセージが急に流れるという驚きと、「MONEY CREATES TASTE」「PROTECT ME WHAT I WANT」「THIS IS NO FANTASY」といった彼女の意味深な警句そのものがアートになってしまうんだからおもしろいよね。



とはいえ、オレが惹かれたのは単純にビジュアルのかっこよさ。光と文字の組み合わせが好きなんだ、人工的な光がね。ネオンサインとか、LEDディスプレイとか。

例えば、イギリスのUnited Visual Artists(通称UVA)というアーティスト集団。彼らは光を自在に操り、インスタレーションやミュージックビデオ、照明デザインまで手がけている。彼らを初めて知ったのはBattlesというバンドの「Tonto」という曲のミュージックビデオだった。規則的に配置された長いLEDライトの中でバンドが演奏すると、音に合わせて色が変わったり点灯したり。シンプルに見えるんだけど、光と闇の中で人が動く映像がなんとも幻想的で、強く印象に残っている。





あと、光と音楽が連動する代表的なものと言えば、近年のライブステージがそうかもしれない。ステージに立つバンドのバックには大きなLEDパネルが配置されて、メッセージや映像が次々と映し出される。UVAはそれをアートとして捉え、The Chemical Brothers、Massive Attackらのライブの演出も手がけてきた。下記URLからその時の写真をぜひ見てほしい。本当にかっこいいから!
Maaive Attack World Tours, 2015

もうひとり忘れてはいけないのがMarc Romanekというビデオ監督。
彼もまた光を効果的に使ったミュージックビデオを数多く作っている。Coldplayの「Speed Of Sound」、Linkin Parkの「Faint」、Audioslaveの「Cochise」、Sonic Youthの「Little Trouble Girl」……。挙げはじめたらキリがないけど、LED、蛍光灯、花火、ネオン…、いろいろな光を使っている。Beckの「Devils Haircut」では、Jenny Holzerみたいに街の電光掲示板が使われていたしね。





時代の変化とともに、さらに新しい光の表現方法が現れるかもしれないね。プロジェクションマッピング、ホログラムの技術も進化しているし、これからの若いアーティストたちが光を使ってどんなものを見せてくれるのかとても楽しみだよ。

More later, my friends?

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