“Travel is ENCOUNTERS” (カリブ篇) #9

“Travel is ENCOUNTERS” (カリブ篇) #9

Contributed by T.T.Tanaka

Local / 2018.11.07

St. Francois, Guadeloupe; by T.T.Tanaka

St. Francois, Guadeloupe; by T.T.Tanaka

“トイレでウキウキ”
セント フランシス, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

ほら。トイレが楽しい。
これはもうカリブのブリジット女史のセンス!
「いろいろ」がキュッとつまっていてかわいいんです。色の面積が大きいんじゃなくってね。
彼女はグアドループでもおしゃれな町、セントフランシスからちょっぴり離れてずーっと広がるサトウキビ畑の中でオーベルジュ、“La Maison Calebasse” を展開している。隠れ家で閉じこもるという感じではなくて、部屋のどこでくつろいでいても素敵に外とつながっている。トイレでもこの通り。タオル掛けやペーパーホルダーからすべてのアイテムを彼女自身で作ったり選んでいる。
ウキウキ外に飛び出していきたくなるでしょ?
そう。今日も目覚めたら自然に笑顔になっちゃった。
青い屋根からボンジュールBonjour!




Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

“ブルーな気分”
テールドオー, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

シュワーっとスパークリングウォーターのように波がゴールドサンドに染み込んでいく。
Wednesday lunch only(←店名じゃなくてほんとだよ!)のレストランを出たらこんなビーチに出会ってしまった。ウィークエンドなら人々でいっぱいにぎわうビーチにはカツオドリがのんびり頭の上を飛ぶだけで人影はない。
足跡がまったくないビーチってこんなにきれいなんだとカリブ海にジーっと見とれていたら、ザブーンとこんな波が。。
白くキラキラ光って近づいて泡が小さくなっていく。背景はブルー。可愛い島影もチラチラと。
ああ。青。体の中にあったかたまりがきれいに青に溶けていった。
僕の中で ”ブルーな気分” が素敵に上書きされていた。。

この波はまた見たいし、触れたいし、また聴きにきたい。。




Moule, Guadeloupe; by T.T.Tanaka

“赤い葉脈”
ムール, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

カリブの島々にはかつて日本人の先祖とも近い先住民たちが住んでいた。この町もそのころから自然の港として人々が住んで暮らしていたところでサンゴがくだけて白い砂がずーっと広がっている。
ときどき出会うのは大きくつやつやした緑の葉っぱのsea grape。ほら、うちわみたいにまーるくて、葉脈が赤いでしょ。Sea grapeっていわれるのは、ブドウの仲間ではないんだけど、そう、秋にぶどうのような実がなるからなんだ。昔はワインやゼリーになっていたんだ。アメリカのフロリダ南部の海岸にも育っている。塩に強く大きいのは5mくらいにまでなるよ。葉っぱはお皿がわりや帽子作りにも使われたりしたし、なんと緊急時にはこの葉っぱに文字を書いて連絡がわりにしたんだって。

この赤いアクセント付きの元気な葉っぱの向こうに海の音を感じていたら、真っ黒に焼けたお兄ちゃんがバイクでシューっと風を切って過ぎていった。。
あ、そうか。ランチタイムだったんだ!
カリブのエビ、ペパーミントシュリンプ食べに行こうっと!
ミントキャンディーみたいなレッドストライプ入りなんだよ~。




“光るブルー ”
テールドオー, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

歩いていると、鮮やかなブルーに目が奪われる。
目の前に広がるカリブ海に、トロピカルの空に、そして女性にも。
カリブの自然の中では当たり前のブルーなのに女性が身につけているととっても素敵。そしてドッキリ光るのだ。

レストランの前でふと立ち止まった彼女。スマホをとりだした瞬間、コバルトブルーのミニタッセルがゆれた。
光るブルー。心躍るブルー。




Terre de Haut, Guadeloupe; by T. T. Tanaka

Deshaies, Guadeloupe; by T.T.Tanaka

“Dream in colors”
デエエ, グアドループ(フランスの海外県@カリブ)

カリブでは珍しい山。斜面のバンガロー。屋根のピンクのオーナメントの下をくぐった。
何とそこには赤、緑、紫、ピンク。。。ああカラフルなハンモック。
ゆっくり風で交差するヤシの葉っぱの向こうはカリブの黄昏。空にピンクがじんわりまざってきた。

実は帰国するまで全く知らなかった。ハンモックは南米の先住民たちが使っていたのが起源らしい。コロンブスが1492年にバハマ上陸5日後にハンモックに出会い、人間が木の間で寝ている! とびっくりしたらしい。
彼が初めてヨーロッパに持ち帰ってから、地面の虫よけになるし、船の上では安定するし、かさばらないしと一気に重宝されるようになったらしい。。

僕はそんな由来はつゆ知らず、昔の人たちが生まれてから死ぬまでずーっと聴いていた海の音や風の音に身をゆだねてとっても幸せな時間だった。そのままうとうとと。。。
おっとレストランに行くんだった。”Le poisson rouge” 赤い魚(=金魚)レストランだって! いこいこ。今日、真っ青な空に舞っていたカツオドリのことや、美味しくて何杯も飲んでしまったダークレッドのグアバジュースのことや、ランチのピンクワンピースのウェイトレスのこともゆっくり思い出すんだ。
あら。色とともに思い出すね。



“いろいろないろ”(色々な色)

カリブは少し歩いてくるだけでいろいろないろが頭の中につよーく残っている。
いきなり自分の色のバリエーションが増えちゃう気がするんだ。

画用紙と絵具。
小学1年生の時、学校のお絵かきで使っていた絵具は12色だったんだけど、ごほうびに親からもらった絵具は24色でとっても嬉しかった。いきなり自分の可能性が広がってどんな絵でも描けちゃうみたいな興奮だったのかもしれない。それをきっかけにお絵かきがすごく好きになったんだった。

東京にいると普段からかなり広いバリエーションの色に触れている。画面でも紙面でも、お洋服でもパッケージでも、建物でも街中でも。。
ああ。でもそのまま流れて過ぎていってしまう。自分が受け身なんだなきっと。自分でもつパレットには入っていないのかもしれない。カリブではじっくり感じて味わっているうちに気が付くと自分のパレットにもう一色加わっているんだ。



ブルーの空の中に二人で見たサンセットのパープルがみえてきた。
バングルのターコイスにマナティーのすむ海の色がみえてきた。
大きな大きなブーゲンビリアをみていたら三年生の夏休みに遊んだおしろい花の花弁が浮かんだ。
いろいろないろをいつも感じとれるように、流されずにしっかり前を向いて歩いていきたい。
ありがとう。カリブ。

フォト、エッセイ by T.T.Tanaka



イラスト、ロゴデザイン by 瀧口希望


カリブに関することはこちらのカリブノートをチェック。

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