彼は言った 彼が言った。

えもーしょん 小学生篇 #20

彼は言った 彼が言った。

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.02.29

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#20 「彼は言った 彼が言った」
(2003〜2010/カイト・小学生)

ゆっくり、光が広がる。

小さな、車の中を見下ろす。

沢山の、機械や薬が

積まれている。

3人の人の頭が見える。

2人は、男

水色の洋服を着て

マスクをしている

もう1人は、さっきの母親だろうか

心配そうにしている。

真ん中には、さっき

ソファに倒れ込んでいた

男が、寝かされている。

腕には、点滴がされている。

水色の洋服を着た

男が

寝かされている、男に

何か、話しかけている。

しかし、男は

ピクリとも動かない。

暗闇が広がる。

左下に光が見えた。

光が広がる。

壁には、たくさんの機械

そして、薬が積まれている。

目の前には

男が、寝かされている

さっき、ソファで倒れていた男だ

隣には

その、母親だろうか

1人の女性が、男の手を握り

泣いている。

男は、点滴がされている。

辛そうだ。

男の、向かい側には

もう1人、男がいる。

全身、水色の洋服を着て

男に、何か話しかけている。

が、男は

何も、反応しない。

暗闇が広がる

気づくと、光がない。

どれほどの、時間が経ったのだろうか

音もない。

すると、微かな

光が、目の前に見えた

閑静な、住宅街

男が、1人

前を歩いている。

寝巻き姿

髪は、寝癖のまま

ビーサンを履いて

片手には、コンビニ袋を持っている。

彼は歩く。

道をひたすら歩く。

すると、

道の反対側

彼と、同じ

まったく同じ彼が歩いている。

彼は、突然立ち止まる。

道の反対、彼も立ち止まる。

彼は言った

「福神漬けたっぷりのカレーライスが食べたいなぁ」



道の反対、彼も言った

「福神漬けたっぷりのカレーライスが食べたいなぁ」



彼は、歩き出す

道の反対、彼も歩き出す。

彼は

後ろに、誰かが

歩いている気配を感じた

立ち止まり、振り返る。

しかし

誰もいない。

「気のせいか」

彼は言った。

すると、

道の反対

彼とそっくりな

男が現れ

「気のせいか」

と言った

彼は、歩き出す

道の反対、彼も歩き出す。

しかし、まだ

後ろに、誰かが

歩いている気配を感じた。

十字路、車が過ぎるのを

立ち止まり

待っている。

オレンジのミラーに気づく

そこには、

彼と彼

彼の後ろには何十人も

彼らが並んでいた。

綺麗に、並んでいた

75cm 間隔を開けて

並んでいた。

アディダスのセットアップ

ベージュのビーサンを履いて

75cm 間隔を開けて

綺麗に並んでいた。

彼は、歩き出す。

すると、彼も歩き出す。

そして、彼は歩き出した。

75cm 間隔を開けて

彼は、道を歩く

ひたすらまっすぐ歩く

すると、道路の表札に

「75」

と、書いてある事に気がついた。

「75」

彼はそう、言うと

暗闇が広がる。

大きな光が

目の前にある。

そこへ向かうと

白い天井が見えた。

そして、右腕には点滴が。

左下手の指には

何か、変なものが

挟まれている。

「よかった」

と、ママが言った。

ボクは、眠っていたみたいだ。


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