デニムと女の子の関係。

Text: Keiichiro Yoneda

People / 2018.09.28

「DENIM IS FREEDOM」というファッション企画をやるほど、anna magazineはデニムが大好き。アメリカを愛する私たちにとって、デニムはファッションに欠かせない。じゃあ女の子とデニムの関係って一体なんだろう? いつから女の子は穿いてるの?とか、女の子ってどんなデザインのものを着るの?とか、そんなことが気になった。そこで私たちはジーンズを生んだ「Levi’s®」に話を伺った。Levi’s®が思う女の子とデニムの関係とは?

今、女性の間でLevi’s®︎が人気の理由とは?




マリリン・モンローに始まり、ブリジット・バルドー、マドンナ、そしてデスティニーズ・チャイルド……Levi’s®は数々のハリウッドスター、ファッションアイコンと共に歩み、時代を牽引してきた。彼女たちが穿くことで、ジーンズはいつしか女性の美しさ、力強さの象徴となったが、SNS時代の今では、むしろ一般のファッショニスタたちによって流行が広がり、Levi’s®人気を押し上げているように感じる。世界で19秒に1枚売れていると言われている話題のLevi’s®バットウィングロゴTシャツのバズっぷり、そしてバギーシルエットのウエストを絞って穿くシルバータブの人気もそう。流行はフラットに広がる時代というわけ。

もちろんデニムウエアのオリジネーターとしての信頼感やブランド力も大きな要因のひとつ。けれど、それ以上に感じるのは、Levi’s®がいつの時代もこだわってきたバックスタイルの重要性が今、改めて求められているということだ。昨今のトレンドは断然ハイライズ+タックイン。つまり、タイトであれルーズであれ、腰回りのシルエットが着こなしの肝になっている。ウエストラインがきれいに見えて、ラベルやバックポケットのステッチが映えるジーンズとなれば、デニムブランドは数あれど、本家Levi’s®にかなうはずはありません。

ウィメンズモデル、Lot701の歴史を辿る。




2015年、ウィメンズのコレクションLot700が装いも新たにスタートした。フィット感、シルエット、素材感など女性が穿くデニムを徹底して意識したこのシリーズを遡れば、1934年に生まれた初の女性用Levi’s®Lot701に辿り着く。この時代、アメリカ東部の女性たちが西部の牧場で余暇を過ごすデュードランチが流行し、女性たちはカウガールさながらにジーンズを穿くようになった。そして翌年1935年、米「VOGUE」誌がLady Levi’s®をマストハブファッションとして紹介。「ウエスタンシックの真髄」と絶賛され、人気を決定づけ、2015年はその80周年にあたるのだ。

ところで米Levi’s®本社には、そんな自社の膨大な社史を管理するヒストリアンと呼ばれる役職がある。現在ヒストリアンを務めるトレイシー・パネック氏は女性であり(さらに、前担当のリン・ダウニー氏も女性)、Lady Levi’s®が生まれるずっと前から女性たちはメンズのLevi’s®のデニムを穿いていた史実を突き止めている。これは興味深い話だが、1890年代頃の女性が穿いたジーンズ(当時は、ウエストオーバーオールと呼ばれていました)にはラベルに刻印されるサイズ表記が削られていていた。いつの時代も女性はウエストサイズを知られたくないもの。現Levi’s®のウィメンズアイテムにサイズ表記がないのも、そんな配慮が踏襲されているからなのだろう。

女性のヴィンテージの着こなしはずるい!?




約150年の歴史のあるLevi’s®には、ヴィンテージマニアが多いことで知られている。これまでは男性ばかりといった印象だったが、最近はそのヴィンテージ熱が女性にも波及している様子。そんな状況に、男性のヴィンテージ好きからは、「女性のヴィンテージの着こなしはずるい!!」という声も聞こえてくる。というのも、野暮ったくなりがちのヴィンテージデニムもヒールを合わせるだけでクールに見えるし、トップをドレスアップすればミックスコーデとしてちょうどいい。古いものをセンスよく取り入れることなら、圧倒的に女性のほうが有利というわけなのだ。



もちろん50年代などの希少性のあるLevi’s®は高価で手に入り難い。けれど、80~90年代のちょい古ヴィンテージなら話は別で、その頃のヴィンテージデニムをLevi’s®自ら選定し販売しているのが「リーバイス® オーソライズド ビンテージ」コレクション。フィットを現代的に直しているので、古着店では見つからないオリジナルシルエット。ユーズドの風合いは残しながらも古着特有の匂いはほとんどなく、それが苦手な人でも気兼ねなく穿ける。何より、伝わってくるのはデニムウエアのリユースを推進するエシカルなマインド。生産工程で水の使用量を劇的に削減したウォーターレス・ジーンズもそうだが、エコへの強い意志が感じられる。

2018年、女性に向けてのアプローチ。




Levi’s®のフィットガイドを見ると、昔に比べて格段に選択肢が広がっていることがわかる。ターニングポイントは2015年から始まったリマスタードの流れだろう。スキニー、スリム、テーパードとさまざまなフィットが選べるようになり、その一方で、バギータイプのシルバータブも復刻されレディスサイズから在庫がはけていくほどの人気を博している。めくるめく企画を打ち出していくLevi’s®だが、そのほとんどが、「今、何が求められているのか」、世界中のファンの声に真意に耳を傾けた結果なんだとか。リマスタードも、ある店舗でLot501のシルエットの直しの要望が多くきたことから生まれた企画だったようで、とにかく、耳が早いことがLevi’s®好調の最大の理由なのかもしれない。

ただ、最近ではビギナーが何を選んでよいか迷わないよう、マストハブを明確にすることも忘れていない。アイコンロットであるLot501、女性ならLot701、太めならシルバータブ、そして今季から注目していきたいノンデニムのコーデュロイパンツや異素材系やステイ・プレストなどなど。

女性はウンチクよりも、基本は着て穿いて素敵に見えるかどうか。上質なモノづくりに加えて、アーカイブにはこと欠かないLevi’s®ではあるが、そこに胡座をかかずトレンドにうつろいやすい女性を重要ターゲットとして試行錯誤をしているのだから、まだまだLevi’s®の進化は止まらないだろう。

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