高校とは

えもーしょん 中学生篇 #65

高校とは

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.11.27

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#65
「高校とは」
(2010〜2013/カイト・中学生)

たまに打ち合わせで「どんな高校生活だった?」と聞かれることがある。

「おバカな青春でした」と答えてしまうけど

本当は、今までの人生の時間で1番無駄な時間だった。

無駄な時間、無駄なことなんてない。とその言葉の意味をしっかり理解しているけど

本当に無駄な三年間だった。

行かなきゃよかったと深く後悔している。

ボクが受験勉強をしていないのが唯一の救いかも。

ボクの、高校生活は自由と不自由のちょうど真ん中だった。

ボクにとっての都合の良いものはすべて不自由に。

学校にとって都合の良いものはすべて自由に。

周りのみんなは、高校のその先のため点数のために生活しているようで

話が通じるのは、外部から週に2、3回来る美術の先生かオカルト好きの古典の先生くらい。

国語の先生が、今こうしてボクが連載を持っていると知ったら

ショックで死んでしまうかもしれない。

なぜって、ボクは三年間一度も宿題も提出物も出したことがなかったから。

それほど、高校生活時は絶望していた。

それを表すかのように、ボクは入学式から教科書を買ったことがなかったし

筆箱も持っていなかった。

机の中は、ポパイかリラックスだけで

そもそも学校も3分の1しか行かなかった。

高校に楽しいものはない、友人が出来たとしても

卒業後に会うのは2、3人。

他の人がなにをやって、どこで暮らしているかなんて

今この瞬間にアリがなにをしているか気にするのと同じくらい関心がない。

だから、高校は行かない方がボクはいいと思う。

これが、専門的な学科のある学校だったらまた話が変わってくるかもしれないけど

とはいえ、本当になにも楽しくなかったかというとそうではなかった。

ボクが通っていた高校は、ボクの卒業とともに廃校になるため

美術の先生は、好きなだけ絵具を使っていいと言ってくれた。

あの時間が1番楽しかったかもしれない。

木版に絵具絵を塗り重ね、山を作ったり

余ったキャンバスを切り刻んだり、無駄なことを贅沢にさせてくれた時間だった。

だから、高校生活で得たものはなにかと聞かれたら

無駄なことがどれほど大切かを知ったこと。と言える。

結局、高校に行かなければそれも得られないと思うなら

高校生活の無駄も大切だったのかも

最後まで読んでくれてありがとう。


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