暮らすように旅じゃなくて、もう住んでるみたい

the UNKNOWN #14

暮らすように旅じゃなくて、もう住んでるみたい

Contributed by Miyu Fukada

People / 2024.03.13

心の片隅でずっと恋焦がれていた場所、南米。その地に惹かれ続けた理由を確かめるべく、写真家Miyu Fukadaさんが再び当てもない旅に出た。はじめて訪れる地で過ごす、まだ誰も予測できない出来事をリアルタイムでお届け。

#14


3/4 DAY57



朝起きてシャワーを浴び、歯を磨いてスッキリ。展示ができるかもという可能性がいきなり目の前に現れ、朝からそのことを考えてワクワクしている。家の下のコーヒー屋さんでコーヒを飲みながらこのコラムを書く作業。

12月からこれを続けているけど頭がクリアになってなんともいい習慣。
昨日の夜、斌太が友達に聞いてくれてフィルムの現像場所がわかった。今日はそこへ行くというミッションがある。今日は初めて地下鉄でそこへ向かった。駅を降りてまず写真屋へ。そこでは現像だけでなくもちろん写真のプリントなどもしているので他のお客さんでも賑わっていた。ちょうど前のお客さんが娘のQuinseañeraと言ってメキシコでは女の子が15歳になるとドレスを着て祝うという日本の七五三みたいな行事があるのだけど、その写真の額装をオーダーしたらしくピックアップに来ていた。写真屋の周りにはドレス屋が密集しているエリアがあって、カラフルなドレスと結婚式用のドレスがショーウインドウに飾られていた。ディズニープリンセスみたいな腰からふわっとした、まさにこれぞ「ドレス」と言った感じのドレスばかり。さて現像は明日には出来るという。しかも日本より安い。旅で溜まっていたフィルム全てを現像に出すことにした。

その後はZócaloというどデカい広場へ。大統領の演説などをここでやるらしい。ど真ん中には巨大なメキシコの国旗が掲げられていて風にゆらゆらとなびいている。その近くにはジュエリーショップが多く、金やシルバーが売っている。こっちの人はペルーやブラジルに比べて比較的そういう装飾物を買う習慣があるみたいだ。メキシコは毎日晴れ。日陰がないと結構暑い。でも湿度は比較的低くてカラッとしている。

喉が渇いたのでジュース屋さんを探しながら歩いた。帰りはバスで帰ろうと駅の近くへ行くとジュース屋さんを発見。よくこっちの人がすごい大きなジュースの入れ物を持っているのを見ていたので私もそれが飲みたくて真似して大きいやつを頼んでみた。人参、パイナップル、オレンジ、生姜の入ったジュース。味は7割人参だったけど、安くて美味しかった。1Lで60ペソ。500円ちょっと。その後タトゥーショップに寄ってから家に帰り、気づいたら寝てしまっていた。





3/5 DAY58



今日はおまじないや呪文などに使うようなものが売っている市場「Mercado Sonora」へルームメイトのソルボと行ってきた。一番びっくりだったのが子犬が売られていたこと。街にはペットショップというお店はないものの、市場で売ってるなんて! ソルボの話によると、この市場はブラックマーケットとも繋がっていて、尋ねて会うべき人に会えればなんでも手に入れられるらしい。肝心な市場はというと、普通の市場とは違い変わったもの、例えば商売繁盛する液体とかそういう怪しいものが連なっていて、骸骨や見た目が怖い人形など不気味なものもいっぱい。なんだか写真を撮る気にはなれず一周してその市場を後にした。
このエリア一帯はRoma Norteとは違ってかなりカオス。人も多いし顔つきも違う。メキシコでよく見かけるオレンジ色のスナック菓子などが大きな袋で売っていて面白かったり。街の至る所で売られているお菓子は大体ここから来てるのか。

一回家に戻り、夕方写真をピックアップしに行こうと18時過ぎに駅へ向かった。写真屋さんがある場所までは地下鉄を2本乗り継いで行く。1本目の地下鉄からすでに混んでいてぎゅうぎゅう。メキシコシティにも女性専用車両がある。これは本当にありがたい。とりあえず来たぎゅうぎゅうの電車に乗り込んだのはいいけど、本当に帰宅ラッシュでやばい。メキシコ人の女性たちは比較的背が低く、おばちゃんたちはメキシコでよく見かける巨大マシュマロみたいな体型をしていて尚且つみんな、ピンク、オレンジ、赤、青、緑などの原色系の服を着ている。そのマシュマロがパンパンに詰められているのに降りる駅の前になるとドアの前に移動しようとするもんだからもう大変。
最初はこんな満員電車で動くなよ、とか思っていたけれどなぜだかわかった。駅に着いてドアが開いている時間が短いのでドアの前にいないと降りれないのだ。実際降りようと思った時には新たな乗客が押し寄せて降りれないおばちゃんを1人見た。降りる時間、乗る時間に対してどう考えても短すぎる。
写真屋さんの最寄駅で降車。すると東京かと思うくらい人がホームに入りきれずに改札の方まで列になっていた。久しぶりにこんなに沢山の人をこの狭い空間でみたな。電車の中では自分のいる場所から一歩も動かず譲らない人もいたし、なんだか日本みたいだ。

さて肝心の写真。写真屋がある一帯は電波が悪い。ネガを受け取りに行くとメールで写真は来たかと聞かれたけどそういえば来てないと思って来るまで待ってたのに閉店の時間まで10分くらい待ってもメールはこず。どうしたものかと思っていたら店のお兄ちゃんが、whats appでリンク送るから番号教えてと聞いてきた。それでようやくリンクをゲット。写真は家でゆっくり見ることにしてもう暗くなった通りに出て写真屋を後にした。帰りはバスで帰ろうと、街を歩いていたら大きなパン屋さんを発見。ウインドウから中を覗くと何やらメロンパンらしきものが見えた。朝ごはん用のパンを買おうと店内に入る。トングは普通の大きさだけどトレーが巨大。そこまで広く店内なのにトレーが巨大すぎて列に並ぶのもちょっと大変。私はトレーには3つしかパンをのせてないけど確かに後から来たお客さんで毎日食べる用のコッペパンみたいなのをトレーいっぱいにのせている人を見かけてトレーが大きい理由がわかった、かも。

さて、肝心の写真! すごく良い。もうはるか昔に感じるブラジルの写真などを見て懐かしくなった。さあ写真展で何を飾るか考えないと。







3/6 DAY59



昨日は気づいたら夜中の1時過ぎで、起きたのは9時ごろ。お湯を沸かしてお茶を入れ、昨日作ったスープを温め、昨日買ったパンと一緒に食べた。ネガのスキャンに入り込んでいるゴミに納得がいかず、写真屋さんにメールでその旨を伝えると持ってきてもらえればまたスキャンし直すとのこと。写真屋に行く前に斌太の働くお店に顔を出した。お店(以下SSS=Sigue Sigue Sputnik)の看板彫師、フランス人のGheeとche choが帰ってきていて店は賑わっていた。それからネガを持って昨日に引き続きまた写真屋へ。最初に持って行った時は翌日だったのに、今回は土曜だと。まあ、いいか。
とりあえずデータで持っている写真をプリントの質を確認するため試しに3枚プリントをお願いし、30分後に出来上がるというので周辺を歩き回って暇を潰し、写真をピックしSSSにまた戻ってきた。すると斌太がなんか入れる? と聞いてきて、まあ、良いかという流れでふくらはぎの下に両足小さいタトゥーを入れることに。斌太の練習台。

家に帰って写真を少しセレクト。18時から展示をさせてもらうことになったLoose Bluesというお店のオーナーJacquieと会うことになっている。お店に合いそうな写真をフォルダにまとめて、いざパソコンを持ってお店へ行くと、Jacquieは10分前くらいに帰ったとのこと。あれ? 今日だよな? とメールを読み返すとMiercoles a las 6(水曜日の18時)という書いてある。うん、今日だな。すぐJacquieに連絡すると、色々バタバタしていて忘れてたそう。代わりに家の近くのレストランで会おうということになった。彼女がUberを呼んでくれて、今来た道を戻りレストランへ。いつも外国人で賑わう良い値段のするレストラン。とりあえずビールということでビールを頼むとミチェラダにする? と聞かれた。ミチェラダ、最近飲んでないなと思い頼むことにした。運ばれてきたのは飲み口に塩のついたコップには黄色いレモン汁。Jacquieに聞くと、メキシコでミチェラダというとレモン果汁と、塩がついているコップにビールを入れるらしい。クラマトを使ういわゆる一般的に知られているミチェラダを頼むにはクラマトと言わないといけないそう。ほお、現地に来ると全然違うんだな。

さて、スペイン産イベリコハムと、Aguachilleというメキシコのセビーチェみたいなのをつまみながら展示の話。ほんの5日前にメキシコに着いたばかりでまさかこんな展開になるとは予想もしていなかったけど、お店のコンセプトを聞き、今後もまた戻って来れるような種まきのための展示だなと。なんとなくイメージは出来た。
あとはどこでプリントするか、どう展示するか、展示のテーマ、タイトル、などの詳細をコツコツ詰めていくのみ。







3/7 DAY60



メキシコシティに着いてからまだ1週間弱だというのに本当に住んでるみたいな暮らしをしている。4人でシェアしている斌太のアパートにお世話になって、料理したり、みんなで夜あーでもないこーでもないとか話たり、展示のためにプリントと額装をどこでしたら良いかとか、セントロまで電車で何度も通ったり、もう1ヶ月いるんじゃないかという感覚。メキシコに来る前からメキシコに住みたいと思っていたけど、やっぱりメキシコに住んでみたい。色もアートもカルチャーもどれも濃くてすごく刺激になるし、とにかく色に目がない私にとっては最高な場所。色の組み合わせなどもすごい刺激とアイデアの宝庫。今日はCoyoacanに行ってきた。フリーダカーロの美術館があることで知られているエリアらしい。その美術館には行かなかったけど、市場に行ったらトスタダスが美味しそうでお昼にそれを食べ、市場を出て歩いているとアイスクリーム屋さんを発見し真っ赤ないちごのアイスを食べ、アイスと同じ色のブーゲンビリアに見惚れ、とてもゆるい時間が流れている可愛い場所だった。

そのままぷらぷらしているとなんか催し物をしていて女性が作った民芸品を売っているらしい。中に入ってみたら美術館になっていて、オアハカのセラミックを作っているおばあちゃんの展示と、メキシコの刺繍の作品がたくさん飾られていた。南米(といってもブラジルとペルーだけだけど)を旅してきて、ペルーにも刺繍や布を織る職人がいたけど、メキシコの方がより一層そういう文化が濃く深くて色の組み合わせなどとても刺激的。
家に一回戻ってから夕方、写真のプリントと額装のラボへ値段やどんな額があるのかなどを聞きに行った。額装は日本ではすごい高いけどメキシコは安め。だけど旅中に展示をするには予算がなあ。さてどうする。







3/8 DAY61



今日は国際女性デーでセントロでは大規模なデモがあるというので今日は家でゆっくり作業。
と思っていたら午後に日本の友人が紹介してくれたメキシコ人のPachiから連絡があり会うことに。Pachiのおすすめだというタコス屋さんに連れて行ってくれた。Pachiおすすめのタコスを頼んで、色々話をしていると「おー久しぶりだなあ!」とオーナーらしき人が。今日ある本日のスペシャルタコスのメニューを説明し始めたので、オーナーなんだと理解。タコスに使っているソースの説明を店にいる店員一人一人に聞いてみるが、ちゃんと答えられる人がいなくてとうとうシェフのボスが登場。
色々説明してくれたけどよくわからないがとりあえず美味しそうというわけでPachiが何個かタコスを頼んでくれた。その間に次はなんとメスカルの味比べをさせてくれて、気に入ったやつを頼む。メキシコに来て1週間ほどたってやっと本場のメスカル! 一口目は口に広げて、二口目はクイッと飲む。とオーナーに教えてもらったのでやってみた。
うわ〜香り広がる〜。強い! メスカルを楽しんでいるとさっき頼んだタコスが次々に到着。一番美味しかったのは牛タンのタコス! 牛タンを蒸してから焼いてるらしくめちゃくちゃ柔らかくて美味しかった。そうこうするうちにPachiの友人2人がジョインして、もうこっからはただひたすらメスカルを味わいながらいろんな話をした。そのうちに後からきた2人は帰って、通りすがりなのかPachiの友達なのかもはやわからないが女性3人が加わって、なぜだかみんなでパーティーに行くことに。でももう私は疲れていて、眠たくてパーティーについてまあまあすぐに帰った記憶が。家に帰ってきたのは夜中の2:30過ぎ。久しぶりに飲んで遊んだ楽しい日だった。







3/9 DAY62



起きたら9:30、昨日帰ってきたのは夜中の2:30過ぎ。ってもう今日か。
二日酔いはないけどなんだか調子はよくない。とりあえずシャワーを浴びる。なんとなくシャキッとしないので、家の近くのジューススタンドにオレンジジュースを買いに行った。昨日連絡のあった野毛のタコス屋さん「Afro Tacos」のオーナーのなるほくんから連絡があり、なんと私が滞在しているエリアにいて今からチュロスを食べに行くという。ん? 家の下の角にチュロス屋があるけどそこのことか? この周辺で他にチュロスを売っているところはわからない。
もしかしてと思い、確認するとどうやら家の下らしい。さっと着替えて降りるとなんとなるほくん! と友人2人。みんな日本人だった。まさかのメキシコで会うとは思わずチュロスとミルクシェイクをお供に会話も弾んだ。

午後15時をまわった。今日は先週新たに現像に出した写真と、スキャンし直しをお願いした写真が送られてくる日。これで展示する写真を選んでフライヤーにしようと思ったのに時間になっても写真が送られてこない。メッセージで連絡しても返事がない。土曜だから早く閉まるのだろうと営業時間を確認したら土曜は15時で閉まると書いてあった。写真も送られてきてないし、今ネガを取りに行くこともできないし。イライラ。

今日のうちに終わらせたかったことに取り掛かることもできず、なんだかフガフガしていたらすぐ後に斌太が帰ってきたので、行ってみたいラーメン屋に行こうよ、と誘ってまだ行ったことのないエリアにある日本人のまささんがオーナーのJametaroというラーメン屋へ。いつもいるエリアとは違って昔のブルックリンみたいなエリア。

写真を撮りに戻ってきたいな。







3/10 DAY63



夜中の3時に大勢の話し声と、うるさい音楽の音で起きた。何事かと思ってリビングに出てみたら20人くらいがビールを飲みながらタバコを吸い、わちゃわちゃしている。うるさい。
ルームメイトがバンドのコンサートの間に自分のお客さんを家に連れてきたみたいだ。音楽はパンクメタルでうるさいし、リビングはタバコ臭いし、話し声もうるさいし最悪。でも斌太の家に泊めてもらっているという立場で怒ることはよくない。なのでトイレに行くついでにルームメイトに「音楽のボリューム下げてくれたら良いな〜お願い〜」とスペイン語で懇願する。部屋に戻る。音は同じ。全然寝れない! 夜に食べたタコスのせいかお腹が痛いのでまたトイレに戻る。ボリュームが変わらないのでもう一回お願いするけど変わらない。ふん! 
また部屋に戻って寝ようとするけど寝れない。他のルームメイト達は熟睡なのか?! お腹が痛くてもう一回トイレに行くと、みんなで違うところに行くからもう出るよ! とのこと。ああ、よかった。

起きたのは9時過ぎ。昨日の騒動でなんだかよく寝れてない。リビングに行くと隣の部屋のSorboがいた。思わず明け方の話に。やっぱりみんなうるさいと思っていたらしい。
写真がまだ届かないので何もやる気がしない。11時過ぎにベッドに戻り、また一眠り。起きたら13時だった。久しぶりにこんなに寝たな〜。

特に何もやる気が出ないけど、金曜に初めましてしたPachiが、ゲスト用の部屋があるから泊まっていいよと言ってくれて、その家の鍵を夕方ピックアップしに、今いるエリアからメトロバスで20分ほど南へ。今いるエリアはメキシコではgringoと呼ばれるアメリカ人が多く、レストランの値段もびっくりなところが多いけど、Pachiの住んでいるエリアはローカルが多く、観光客のいない落ち着いたエリア。至る所に見事に満開のジャカランダの紫が広がる本当に綺麗なエリア。指定された場所に行くと、Pachiと、ご近所さんの女の子。やる気がなくて全然何も食べてなかったのでタコスとセビーチェを。

夜は展示会場となっているお店のオーナー、Jacquieとショウタさんのお家へ。メキシコシティに住んでいる面白い日本人が勢揃い。やっぱりメキシコ、最後はみんなメスカル! やっぱり、メキシコに住みたい。










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