パーティーは端っこに宝がある

海と街と誰かと、オワリのこと。#28

パーティーは端っこに宝がある

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.02.22

大好きな海を離れ、アーティストになったオワリ。居心地の悪さを感じながら、それでも繰り返されていく毎日のあれこれ。「本当のボクってどんなだっけ?」。しらない街としらない人と。自分さえも見失いかけたオワリの、はじまりの物語。


ジンは「ちょっと行ってくる」と行って奥の人がたくさん居る方へ行ってしまった。辺りを見て、座れそうなベンチを見つけたのでコーヒーを頼んで端っこのベンチに座りどんな人が来ているか見ていた。インスタでよく見かけるインフルエンサーにモデル、テレビでよく見る俳優まで最初に感じたキラキラ感は当たっていた。ここのお店のオーナーは知り合いが多いようだ。

少ししてコーヒーも飲み終わってしまい、人混みで疲れてしまったので外の空気を吸いに行こうとしたときだった。

さき「こんにちは」

隣に座っていた、女性が声を掛けてくれた。人が座っていたことは分かっていたけれどよく見ていなかった。どこかで見たことのあるレザー ジャケットを着た、黒髪の女性だった。

僕「こん、にちは」

とっさに話しかけられて、変な声でしかも噛んでしまった。

さき「学大によく居ませんか?」

僕「います、最寄駅なので」

さき「やっぱり!たまに見かけます」

その言葉で思い出した、この人は以前駅で見かけた美女だ。思い出して思わず目を見てしまった。か、かわいい。。。。!!!

僕「僕もこの前見かけました、多分。後ろ姿だけだったけど」

さき「後ろ姿? 笑」

僕「はい 笑」

さき「さきと言います、」

僕「オワリです」

さき「オワリ君、何年生まれ?」

僕「97年8月です」

さき「97年!同い年だよ!」

僕「本当に?!」

さき「本当に 笑」

これ以上話す言葉が出てこない。その服、綺麗だね。と言いたいけれどジャケット着ているから変だし、髪の毛綺麗だね。なんて言ったら初対面で変態キャラ確定。どうしよう、いっそ好きです。とか言ってしまおうか。

ジンが奥の方からやってくる

ジン「オワリ、ごめんね」

ーーーー助かった。

僕「全然、大丈夫だよ」

ジン「さっき話した人紹介するよ」

僕「ありがとう」

僕「さきちゃん、またね」

さき「うん、さきでいいよ!またね」

ジンと一緒に煌びやかな方へ向かう。

ジン「知り合い?」

僕「さっき知り合ったの、最寄り駅が一緒で見かけたことあって」

ジン「ほぉ、あの子めっちゃ、くっちゃ有名だよ」

僕「やっぱり、すごい綺麗だよね」

ジン「知らないの?」

僕「家にテレビないんだよね」

ジン「雑誌とか読まないの?」

僕「読まないな、、、、」

菊池さん「ジン、」

ジン「お疲れ様です、オワリです」

ジンはそっと僕の背中を押した。

菊池「オワリ君、初めまして」

僕「初めまして」

菊池さんは短髪ですこしパーマがかかった余裕のあるダンディな人だった。名刺を渡され、驚く。今日着ているTシャツのブランドの人だったからだ。

続く



アーカイブはこちら

Tag

Writer