海と街と誰かと、オワリのこと。#38
なんとなくの男
Contributed by Kite Fukui
People / 2023.03.13
さきの撮影が終わるまでボーっと彼女の方を眺めている。ふと、毎年夏が近づいてくるとなんでも出来そうな気がするのはなぜだろうと思った。日照時間?気温?食べ物?野球選手が冬に南の方へキャンプに行くから、気温のせいなのだろうか。
最近、悩みがある。彼女と出会ってから僕は何者なのだろうかと考えてしまう。僕には何ができるのだろうか、そもそもサーフィン以外に何が得意なのか全く分からない。それに比べてさきやジンは自分自身のことをよく知っている気がする。だから得意なことで仕事をしているのだろう、ちっぽけに感じてしまう夜もある。さきやジンと一緒にいると自分は何も出来ないのに、何かできると勘違いしている気がする。2人のように僕も僕にしか出来ないことがひとつでも見つかるといいな。となんとなく思っている。
それは勝手にやって来るものなのか、自分から体験しに行くものなのかはわからないから。街を歩いて働いている人達を見ては自分の姿を投影している。不動産屋さん、バーテンダー、バリスタ、トラックの運転手。もしかしたらないのかもしれない、とさえ感じる時もある。おじいちゃんになった時に楽しく過ごしていたい。大体あと50年の間にこれだ!!!と思うものがここ東京で見つけられたらいい。
僕は何がしたいのだろうか、このままなんとなくの男として生きていくのか。それはなんだかもったいない気がするな。
続く
アーカイブはこちら