台風の目で虹を見て

えもーしょん 小学生篇 #32

台風の目で虹を見て

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / may.19.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#32 「台風の目で虹を見て」
(2003〜2010/カイト・小学生)

大雨、暴風の最中。

躍り狂う、君。

軽快なステップに合わせ

指を鳴らし

“September”を熱唱しながら。

吹き付ける、暴風をもろともせず

髪を靡かせ、ワンピースが揺れる。

「〜ちゃん! さやちゃん!」

風の音にかき消されながら

必死に、さやちゃんを

家の中へ帰らせようと必死なボク。

「邪魔しないで!」

踊り続けるさやちゃん。

「死んじゃう! 死んじゃうよ!」

とにかく、頭の狂ったさやちゃんを

家に帰らせようと

引っ張るが

「Ba de ya〜♪」

止まらない。

「もう、ボクは家に帰るよ!」

そう言って、足早に

家に入り

部屋の窓から、彼女を見つめる。

見たことのない、葉っぱや

転がる、靴や

ゴミ箱を次々と交わし

躍り狂う、さやちゃん。

遡ること、3時間前。

それは、一冊の本から始まった。

「かいとくんのママ、結構スピリチュアル系だよね〜」

家に遊びに来ていた

さやちゃんが、いつもの変な儀式を

しているお母さんを見つめ

ボクに言った。

「うん、なんかいつもやってるよ」

「それにしても、最近雨降らないと思わない?」

「もう、ずいぶん降ってないね…」

「台風が夏をさらってゆく。って言うのにね」

「全然、来やしないね」

そんな話をしていると

小耳に聞いていたママが

そっと、一冊の本を持ってきた。

「これに、雨の降らし方、嵐の呼び方書いてあるよ」

始まった…。

「ママ、やめてよ本当に!」

さやちゃんがドン引きしているだろう。

恐る恐る、横目をそらしていくと…

キラキラに目を輝かせた。

さやちゃんが…。

「やめた方がいいよ…」

と、ボク。

「やるでしょう。絶対!」

と、さやちゃん…。

家を飛び出し

本を開く。

変な、ポーズや

変な、呪文を唱えながら

“September “を歌い始めた。

さやちゃん。

「全然、ダメだよー」

と、ボク。

「ちょっと、黙ってて!」

と、さやちゃん

ボーっと空を見上げ

雲の流れを見ていた。

ん?

そういえば、雲なんて

さっきなかったよね…?

それに、なんか

あれ、なんか

雲が早いぞ!!!?

「さやちゃん! 雲! 雲が出てる!」

と、ボクが叫ぶが

彼女には届かない。

すると、今度は

ぽつり、ぽつりと

雨が降り始め

風が吹き始め

まさに、台風のよう。

「さやちゃん! やばい!」

「さやちゃん! やばいよ! お家入るよ!」

と、ボク。

「うるさい! 黙ってて!」

と、さやちゃん。

ここまでが、さっきのお話。

さて、この後

さやちゃんは、どうなったか?

みんなの、想像通り

そう。

そんな、感じ…。

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