えもーしょん 小学生篇 #68
何てこと
2003〜2010/カイト・小学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.12.09
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#68
「何てこと」
(2003〜2010/カイト・小学生)
近くのスーパーへスケボーに乗って、ガーガーとご近所迷惑だけど走った。
一本道を走ると、最後に大きな坂が待ち受けている。
登るのはとてもしんどいわりに下りはあんまりスピードが出ない変な坂。
坂から道路を渡ると、この辺では1番大きなスーパー「SEIYU」。
ボクは最近ここに秘密基地を作った。
実はあんまり知られてないけど、ここのスーパーには屋上があって
屋上は、全部駐車場になっている
屋上の駐車場からお店に入る入り口のエレベーターの前に
謎のソファが置いてあるのを発見してしまった。
ほとんど誰も屋上の駐車場を使わないので、屋上はヤンキーか
高校生のカップルくらいしかいない。
そんなヤンキーたちも使わない謎のソファ
発見した翌日、学校に行って心優しきカビゴン(のり)にソファのことを話した
のりのママはここのスーパーで働いているから、何か知っているらしい
「見つけてしまったか…」
むふふ、とドヤ顔ののり。
「あれ使っていいの?」
「勇者のみが座れるのさ、ちなみにボクは座ったよ」
「あ、使っていいんだね!?」
「まぁまぁ、待ちたまえ。そう焦るでないぞ」
「なんだよーめんどくさいよーそれー」
「いいじゃないか。付き合っておくれ」
「今日、ブタメン食べようと思って」
「ソファで!!!??」
「ソファで」
「!!!!!!!!!!」
「え、ダメなの!?」
「なんてこと」
「ダメなの?」
「いや、誰もそんなこと思いつかなかったんだよ」
「のりも来る?」
「い、いいいいいかい?」
「いいよぅ、もちろん」
と、こんなことがあってボクたちは放課後スーパーの屋上に集合した。
エレベーターの前で、まだソファには座らず
ボーッと夕日を見ていると、普段まったく動かないエレベーターが動いた。
「え…お化け…」
エレベーターが上がってくる…。
(チーン)ドアが開いた。
「なんだよー!!!」
「なにがだよ」
「のりかよー! びっくりしたー」
「??? さて、これが勇者のソファだね」
「これ古いよね」
「うん、うん、年代物だね」
「座ろうか」
「座ろう」
ずずずずずずずずずずずずず
「あ、あぁ」
「はぁぁぁぁぁ」
そのソファはまるで、校長室にある
学校一、フカフカなソファに近いものがあった。
いや、それよりも誰も座っていないからフカフカかもしれない
近くに、置いてあった謎の観葉植物を全部持ってきて
ボクとのりは壁を作った
「いやいや、よいねかいちゃん」
「いいね、のりちゃん」
「ブタメンが高級な味がするね」
「それはわかんないや…」
「ごめんね」
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!